バレーボールは難しい ~ 前段階の「簡単ルール」で練習する

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん

1 小学生には難しい

 現行学習指導要領では、小学校5・6年の「E(1)イ」において「ソフトバレーボール」を取り扱うものとされています。
学習指導要領5・6年生の「Eボール運動」の項についての「内容の取扱い」を読むと、

E(1)イ ネット型では,簡易化されたゲームで,チームの連係による攻撃や守備によって,攻防をすること。

内容の取扱い(3) 内容の「Eボール運動」の(1)については,アはバスケットボール及びサッカーを,イはソフトバレーボールを,ウはソフトボールを主として取り扱うものとするが,これらに替えてそれぞれの型に応じたハンドボールなどのその他のボール運動を指導することもできるものとする。

と補足されているので、絶対にバレーボールをしなければならないわけでもないようです。しかし、バレーボール以外にネット型の球技って何があるのでしょうか??
3・4年では

E(1)イ ネット型ゲームでは,ラリーを続けたり,ボールをつないだりして易しいゲームをすること。

という表現になっています。バレーボールをしなさいとは書いていません。小学生、とりわけ3・4年生の子ども達にとってバレーボールはかなり難しいスポーツです。5・6年生、いや、中学生であっても、指導がうまくいかずラリーが続かなかったり一部の子どもが試合に参加できていない状態であったりします。体育の授業としてどうなのだろうかと思ってしまう光景がよく見られます。

◆個人の力を育てるのに時間がかかる。
◆アタックはかなり難しく、どの子供にもできるわけではない。アタックが打てるようなトスを上げる子どももそう簡単には育たない。
◆アタックを打たせるとレシーブができない。
◆サーブやアタックが強い子どもが1人いるとそれだけで大量得点が片方のチームに入ってしまう。
◆ミスをする子どもが決まっている。
◆技術的に難しいので活躍できる子供が限られてしまう。
◆前方から飛んでくるボールには反応できてもレシーブされた自陣のボールを味方へつなげる、相手コートに返す、などの動作が困難な子どもが多い。
◆等々の理由でつながらないのでラリーにならず、すぐに得点が入る。その結果、盛り下がる。
◆結局大半の子どもの足が止まって棒立ちになっている。→→→ 運動量の確保ができない。

実際、私自身、体育の授業で4年生の子ども達に対して初めて指導した時は、散々な授業になってしまいました。活躍しているのは運動の得意な一部の児童だけであり、勝っている方のチームも負けているチームも大半の子ども達の足は止まってしまい、為すすべもなく顔を見合わせて棒立ち。そんな状態でした。クラブチームやプロでさえ、ボロ負け試合の最悪の時間帯は同じような光景が見られるのに、普通の小学生がそうなってしまうのは無理もないと思います。

なぜバレーボールのような難しいスポーツを現行学習指導要領は指示しているのか、私はたいへん疑問に思っています。普通の小学生に授業でバレーボールをさせることはいかがなものかと思います。スポーツ活動など課外活動で十分な時間をかけて鍛えた子供たちですら、なかなか試合にはなりません。ですから、
E (3) 自分のチームの特徴に応じた作戦を立てたり,ルールを工夫したりすることができるようにする。
とあるように、ある程度のアレンジを行うのは必要だと思います。授業でバレーボールをするのであれば、ルールを改正してやればいいと思います。
3・4年生であれば、大きめのビーチボールでやれば、空気抵抗で球が落ちてくるのが少し遅くなります。ホールディングしてOKにすれば、けっこう楽しくゲームができます。

2 ラリーボール

そこで、バレーボールを改造した、「ラリーボール」を提案します。3・4年生はこれで十分だと思います。指導要領にも「攻撃」という言葉は載っていません。5・6年でもまずラリーが続くことを目的に「ラリーボール」から始めてあげるといいと思います。5・6年は指導要録に「攻撃」という言葉が載っているので、全体のレベルが上がってきたら、できる子供には攻撃的な動きをさせるというくらいでいいでしょう。
ルールを柔軟に変更しながら、本格的なルールに近づけていくのが良いのではないかと思います。ボールは軽くて扱いやすいソフトバレーボールがいいでしょう。

「ラリーボール」では、どちらのコートも味方で、ラリーを続けることが目的です。強いサーブやアタックをして相手を倒すことは意味がありません。相手コートにいるチームは敵ではなく、味方(協力者)です。

① サーブは交替で全員がする。・・・サーブが相手コートに入らなくても、何回でもやり直して入るまでできます。何ならコート内から投げ入れでもOK。つまり、サーブミスでアウトになることがありません。
② ボールをとにかく向こう側のコート内に入れられるか、コート外でも相手の誰かが触ることができたら1点。
③ 連続して10点入ったら(10回ボールがコートを行き交ったら)そのラリーは一旦終了してまたサーブから始める。
④ 相手チームに返したボールがコートの外で地面についた時はアウト(「アウト」とは、ラリーの終了を意味します)。
⑤ 相手チームから返ってきたボールを取る時に、コートの外の地面に足(体)がついていても構わない。つまり、相手から帰ってきたボールがコート外であってもどんどんとってあげれば1点が入るわけです。
⑥ ボールは地面に1回ついても構わない。2回ついたらアウト。
⑦ 両方のチームでサーブが1巡したら(1巡が長ければ、「両チームが5回サーブを打ったら」などと、適宜ルール変更を)そのゲームは終わり。
⑧ 相手コートに渡るまでに全員がボールに触ることができたら、ボーナス点で2点が入る。

※ ⑤は「2回ついても構わない。3回ついたらアウト」にしてもいいでしょう。

得点は「21対14」などとせず、一つのコート(2チーム)で○点ということになります。つまり、対戦相手は敵ではありません。そうすると攻撃することに意味がなくなり、「つなぐ」ことが主目的になります。

こうした簡単なルール設定だけで、子供たちの様子はガラリと変わります。

3 ルールは柔軟に

随時、ルールはやりやすいように、楽しいように変えればいいと思います。

本格的なルールでバレーボールができるようになるまでの前段階としての「ラリーボール」です。あくまでも、つなげることが目的です。アウトになったら、ミスした人を責めて残念がるよりも、それまで続いたことを喜びましょう。

この「ラリーボール」の前段階として、円になってパスをする練習で、20~30回以上続くようになることを課題にしておくと良いかと思います。4年生ぐらいなら、「1回(2回)地面についてもOK」程度のルールにしておくと20回ぐらいが成功しやすいと思います。
小学生には難しいバレーボールも、入り口でルールをユルくすることと、子供たちのレベルに合った練習や試合をやらせるによって、ずいぶん成長の仕方が変わってきます。その時々のクラスの子供たちの状況をよく見て、柔軟にルールや練習方法を工夫しながら指導計画を立てて進めることができるといいですね。

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