ごんぎつね ~兵十につぐないをするごんの気持ちを読み取る

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目次

1 指導にあたって

本学級の児童は思い思いの考えを述べることが得意な子供が多い。物語文を読み、 感じたことを素直にクラスの友達に話をすることができる。その一方で、自分の気持 ちを友だちの前で話す事を苦手としている傾向がみられる子供もみられる。また、話 すことはできても集中して話を聞いたり、友だちの言葉に耳を傾け同意したり意見を 交換したりする事は十分にできていない。

そこで、発表をする前にまずノートに書かせたり図を用いて表わしたりすることに よって、自分の考えをまとめるよう指導を重ねてきた。思いつきで話すのではなく、 友達の意見との関連や自分の意見の根拠を述べながら、発表ができるよう支援をして きた。その結果、考えを深めることができる子供が増えてきている。

この作品ではいたずらぎつねのごんの心情が兵十との関わりの中で微妙に変化して いく様子が巧みに描かれており、情景描写も美しい。兵十の母の死を境に、兵十へ心 を寄せていく中でごんが優しさや思いやりに目覚め、けなげに償いをするようになる。 ごんの死により、ひとりぼっちであったごんと兵十の心が通じ合うという悲しい結末 は、他者を理解することの大切さと困難を物語っているようである。子供たちはごん に親しみをおぼえて感情移入しやすく、想像を膨らませ多様な読み味わい方ができる 教材である。

この学習を進めるに当たって、子供たちひとりひとりにしっかりとこの物語に対す る自分の読み深めをさせてから、授業に臨ませるようにしたい。ワークシートに自分 が重要と感じる箇所(単語~数十文字程度の文の書き出し)を挙げながら、その箇所 について何を考えるかを書き込ませていきたい。十分に書き込みを行った後に、クラ ス全体での話し合い活動を進める。

光村図書の教科書にはすばらしい挿絵が用意されており、これを利用しながらワー クシートを作成し、子供たちがごんに対して十分に感情移入をしつつ、文中に散りば められた「ごんの想い」を読み取ることができる表現に着目させたい。個々の子供た ちがワークシート書きこんだ情報を授業の中で共有する過程で、それぞれの単語や文 の表現がどのように絡み合ってこの物語の世界を構成しているのかを子供たちが考え、 感じ取ることができるように支援していきたい。

※ワークシートについて 児童は授業までに、宿題でワークシートにその日、学習する場面の大事な言葉 について、書き込みを行っている。4名の児童が、始業前に、自分がワークシー トに書き込んだ内容を黒板に書いており、授業は黒板に書き込まれた4名の児童 の考えをもとにして進められる。

2 学習目標


◎ 場面ごとの登場人物の行動について読みとり、自分の考えを深めることができる。

◎ 効果的な情景描写や比喩表現、会話などについて気づくようになる。

◎ ごんと兵十の気持ちの移り変わりや場面の様子が聞き手に分かるように音読を工 夫することができる。

3 指導計画(全10時間)


第一次(2時間) 全文を読んであらすじをつかみ、学習の見通しを立てる。
 第1時 全文を読んであらすじをつかみ、感想をもつことができる。
 第2時 感想をもとに学習の課題をみつける。新出漢字について調べる。

第二次(7時間) 表現に即して読みを深める。
 第1時 ごんの境遇と性格のかかわりを読み取る
 第2時 兵十に対するごんのいたずらぶりを読み取る
 第3時 墓地や穴の中でのごんの様子や気持ちを読み取る
 第4時 いわしを兵十の家に投げ込むことによって償いをするごんの気持ちを読み取る。
 第5時 兵十の家に毎日くりや松たけを持っていくごんの気持ちを読み取る。(本時5/10)
 第6時 ひたむきな気持ちが兵十に通じないごんのもどかしさややるせなさを読み取る。
 第7時 ごんの死という結末に至るまでのごんと兵十の気持ちを読み取る。

第三次(1時間) 読後の感想について考えをまとめ発表する。

4 本時の目標(第二次第5時)

兵十に償いをするごんの気持ちの変化や、様子を読み取る。

5 展開

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