1 はじめに
こちらの記事では、光村図書『河鹿の屏風』における指導の可能性を提案しています。
2 昔話を聞く雰囲気にするために
〇学び空間の工夫
・読み聞かせの際、児童がリラックスして話を聞くことができる環境を設定する。
例)静かで風通しのよい教室で車座になる
※なるべく教員の周りに集めるようにしましょう。
〇授業展開の工夫
・地域の図書館を活用してその地域に伝わる昔話を収集し、児童に紹介する。
・地域の方から、その地域の言葉で語られる昔話を聞く。
・児童が自分の好きな昔話について調べ、他学年の児童に読み聞かせをする。
point:物語の情景や登場人物の感情/人物像が伝わるように工夫して読ませる
・児童が調べた昔話の中から演劇にできそうなものを採用し、学芸会や文化祭で演じる。
・『河鹿の屏風』のような動物報恩譚の昔話を調べる。
例:『文福茶釜』『鶴女房』など
〇教科横断の工夫
★『河鹿の屏風』と理科
「両岸の木はきられて、谷は日照りにかわき、雨があがれば、川床はにごり水に押し流されてしまうであろう。」(本文より抜粋)
Q.なぜ木が切られると川床がにごってしまうの?
A.「森は、地中にはりめぐらされた樹木の根によって、土壌を斜面につなぎ止める能力を持っています。また、土壌の表面をおおう落葉落枝やかん木、下草等によって、降雨などによる土壌の流出を抑え、土砂崩れなどの土砂災害の未然防止に力を発揮します。」※引用フォレストサポーターズ「豊かな森林の役割」
★『河鹿の屏風』と芸術
「墨一色の濃淡をものの見事にかき分けた、河鹿の群れ遊ぶ図」(本文より抜粋)
Q.一色の濃淡でかき分けることができるの?
A.「物の大きさ、輪郭、光影、質感」などはたとえ一色であってもその濃淡によって描き分けることができます。
3 編集後記
テレビやインターネットの普及により、身近な音声情報には「映像」や「文字」が伴っていることが多い現代において、耳からの情報のみで理解し創造を広げる機会が少なくなっているように感じます。『河鹿の屏風』では、河鹿の鳴き声や不思議な老人の佇まいなど、美しい表現が数多く織り込まれており、児童の「聞く力」ーその場の情景や登場人物を豊かにイメージする力を養うことができる単元です。
(編集文責 EDUPEDIA編集部 大山瑞稀)
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