基礎レベルの計算も反復練習(岡篤先生)

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作成者:Kanako Nagase (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「 教師の基礎技術~若い先生へ~443号~446号」から引用・加筆させていただいたものです。特別支援学級の3年生の児童に対する算数の個別指導において、反復学習を取り入れることで対応を行った事例についてご紹介します。

岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

2 実践内容

実態把握

特別支援学級を担任していたときのことです。週に1、2回、漢字と計算の苦手な3年生の女の子に個別指導することになりました。通常学級の授業に全くついていけないということでした。

個別指導であってもその子に合った内容でなければ成果は期待できません。そのため、まずは子どもの様子を見るために、市販のプリントをコピーして渡し、1桁同士の足し算を目の前でやってもらうことにしましたが、全くできない様子でした。

そこで、100玉そろばんの小さい版(20玉そろばん)で操作をしながらやってみるように進めました。しかし、「3+1」の「3」を動かすのに、「1,2,3,4…」と3で止めることができません。こちらの顔を見ながら私が何かいうまで動かし続けていました。

市販のプリントでは難しすぎると判断し、次は同じ1桁+1桁でも5までの数字だけを使ったものを作ってやらせてみましたが、結果は変わらずほとんどできませんでした。そこで、今度は2+1、4+1、3+1、…と足す数を1だけにしてプリントを作り直しました。これなら足す数はほとんど考える必要がないため、最初に20玉そろばんに入れる数だけに専念できるのではないかと考えましたが、これもだめでした。

つまり、彼女は5までかどうかや足す数に関わらず、数字とそろばんの玉の数を合わせることができなかったのです。

発想の転換

そこで、発想の転換をしました。この子の場合、足す数が「5」のとき、「1,2,3,4,5…」と数えていくと、どこで止めたらよいのかわからず、「6,7…」と過ぎて行ってしまいます。ならば、いきなり「5」と5個の玉を動かすことができれば、1個ずつ数える段階が不要になり、この間違いもなくなるのではないかと考えたのです。

もちろん、このときは、「5」どころか、「3」でも「2」でも、さっと玉を入れることはできませんでしたが、プリントを見て、数字を唱え、その数だけ数えながら玉を入れていくというのは、この子には過程が長すぎるような気がしました。

課題の発見

■まずは目で見て練習

まず、私が玉を入れてそれをその子に言わせることにしました。
最初は、1個入れて「1」、2個目を入れて「2」、3個目を入れて「3」という具合に、1個ずつ増やしていきましたが、これは10まで言うことができました。つまり、物と数字の1対1対応はできるし、数字を10まで言うことはできるということです。

次に、私が、いきない2個を入れて「これは?」と尋ねると、「1,2」と数えて私の顔を見てうなずき、「2」と答えます。これを1個と2個をくり返し言わせてみると、間もなく数えなくても「2」と出るようになりました。また、その日のうちには「1」「2」「3」の3種類がまとめて入れて数えずに言えるようになりました。いきなりはできなかったがしばらく練習したらできるようになったということは、ここが一つの課題であるということです。

■自分でも操作して練習

次に、20玉そろばんを彼女に渡しました。そして、「2、入れて」と促しました。思った通り、「1,2」と数えて私の表情をうかがっています。私は、「いきなりできないかな?こんなふうに」と、2個を1度に入れて見ませました。「できる」と、うなずくと同じようにしてみせました。見て数を言うことと、その数を入れることがつながっていないということもこれで分かります。ここも練習が必要な部分です。

これもくり返し、「1,2,3」をまとめて入れることができるようになりました。これは、何となく、同じ事をくり返したり、毎回違うことをやらせたりしていては見つけられないことで、毎回のメモを元に、少しずつ課題を探っていった結果でした。ここからは、以上のことをていねいにくりかえしていけばよいでしょう。

計算に応用

次の課題は、これらのことを計算問題として活用することです
3+1の問題を解くときは、まず声に出して「さんたすいちは」と読ませるようにしています。次に、実際に20玉そろばんを動かします。今までのように、「1,2…」とやり出したので、手を押さえました。「いっぺんに、『3』って、できるようになったよね」と確認し、もう一度やるように言いました。彼女は、うなずき、やり直しました。「さん」といいながら、3個まとめて移動することができました。続けて「たす、いち」と玉を1個動かしました。そして、動かした玉を「1,2,3,4」と数えて、私の顔を見ました。「よし、できた!ちゃんと自分で計算できたぞ」と、私は大声でほめました。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
 1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。(2017年5月17日時点のものです)

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

当記事においては、20玉そろばんの操作を反復練習することにより計算ができなかった児童が1桁の計算ができるようになった事例をご紹介しました。この実践では、計算ができない理由がどこにあるのかを問題のレベルを下げることやそろばんの使い方に注目することで見つけることができました。苦手を解消するためには子どもの様子から課題を見つけ出すことが近道となるのかもしれません。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 長瀬加奈子)

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