徳性を高めることから始めよう~生徒指導の極意~

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作成者:Tomoaki Omori (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

この記事は、麗澤大学非常勤講師、寺崎賢一先生に取材し執筆したものです。
寺崎賢一先生は、公立中学校の国語科教諭を務めたのち、 現在は、カント哲学の立場から、道徳教育の在り方について深く研究されています。今回の取材では、主に生徒指導に関するお話を伺いました。

2 M・F・Cチームワーク指導

 M・F・Cチームワーク指導とは

「M・F・Cチームワーク指導」というのは、寺崎先生が長く提唱されてきた生徒指導の方法のことです。Mは「マザー教師」、Fは「ファザー教師」、Cは「チャイルド教師」の略称です。学年の先生がチームを組んで役割を分担しながら、互いに欠けるところをフォローし合い、全員で担任する運営方法を指します。この方法によって教師同士は「助け、助けられる」関係になるので、教師間の仲が深まります。

 M・F・Cそれぞれの役割

M(マザー教師)は、生徒に最後まで寄り添い世話し続ける教師のことです。生徒のカウンセリングを中心に、子どもの愚痴を聞いたり相談に乗ったりする役割を果たします。理想としては、学校の大部分の教師はM(マザー教師)になるのが好ましいです。また、M(マザー教師)は穏やかで包容力のある教師が向いています。

F(ファザー教師)は、暴走する生徒の壁になる教師のことです。集団の枠組み・決まり・方針を生徒や学年教師に明確に示し、全体をけん引する役割を果たします。5学級以下の学年であれば、F(ファザー教師)は1人で十分です。なぜなら、多すぎると教師が生徒を過剰に管理することにつながってしまうからです。また、F(ファザー教師)は、全体の引き締め役としての強い覚悟が必要です。

C(チャイルド教師)は、生徒の身近な相談に乗れる若手教師のことです。生徒の輪の中に入って、時々漏れ出す生徒の本音に耳を傾け、生徒間に問題がないかを聞き出す役割を果たします。生徒が普段言えないような、学校への不平不満を聞き出して、生徒の学校ストレスを解消してあげる役割もあります。

 M・F・Cチームワーク指導の必要性

そもそも、M・F・Cチームワーク指導はなぜ必要なのでしょうか。それは、問題行動を起こす生徒には、ルサンチマン(親に対して蓄積したうらみ、つらみ)と、乳幼児期の愛情不足愛情飢餓が重なって蓄積しているからです。このような生徒に対しては、ファザー教師が生徒を厳しく叱った後に、マザー教師が生徒を優しくフォローしてあげることが必要です。

このように、M(マザー教師)、F(ファザー教師)、C(チャイルド教師)がそれぞれの役割を認識し、役目を果たすことで、効果的な生徒指導につながります。

3 積極的な生徒指導をするために

生徒指導には、消極的な生徒指導と、積極的な生徒指導の2つがあります。

消極的な生徒指導とは、行いの悪い生徒を指導するだけの指導方法のことです。生徒に、「してはいけない」ことが何かを教えます。それに対して、積極的な生徒指導とは、子どもに何をするべきなのかを伝える方法です。生徒に「するべき」ことを伝えます。上述したM・F・Cチームワーク指導は、積極的な生徒指導に含まれます。

では、教師が積極的な生徒指導をするために心がけるべきことは何でしょうか。寺崎先生がおっしゃっていたのは、「まず教師自身の徳性を高める」ということです。つまり、教師は、生徒を指導する前提として、自身の善・徳を求める心のコップを上向きにして生きる決意をします。そして、自身の教養を深め、人生に夢・目標・志を持つことが大切です。なぜなら、生徒は教師の<後ろ姿>から様々なことを吸収し、成長するからです。生徒に厳しく指導しているのに、自分に甘いといったことは、言語道断です。掃除の時には自ら進んで清掃する、給食準備も積極的に手伝うなど、教師が率先して生徒の鏡になるのです。率先垂範です。そうすれば、生徒から一目置かれる存在となり、その教師は確実な信頼関係の中で生徒指導にあたることができるのです。

4 寺崎先生の実践から探る

ここで、寺崎先生の積極的な生徒指導について、 実践を紹介します。

先生は、公立中学校で勤務されていた時 、掃除の時間、校内のあちこちのトイレ掃除の指導に入り、素手でスポンジをもって便器を磨いていきました。すると、ある生徒が、素手で便器を磨いている先生を見て、一緒に素手で便器を磨き始めたそうです。

このように、生徒は教師が何をしているのかを常に観察しています。教師が一生懸命授業に取り組む姿、掃除に取り組む姿、生徒からの挨拶に気持ちよく応える姿など、教師の日々の徳のある行いが、生徒に大きな影響を与えるのです。

また、先生は道徳や国語の時間やHRの時間を使って、先人の生き方、人生経験の書かれた読み物を生徒に読ませていたそうです。生徒に様々な人生があることを知ってもらい、自分の生き方について深く考えてもらうためです。この活動は、まさしく積極的な生徒指導につながります。しかし、この活動をするにはやはり教師自身の教養が欠かせません。積極的な生徒指導のためには、教師自身の徳性を高めることがまず大切なことだと、寺崎先生は最後まで強調されていました。

5 編集後記

寺崎先生の実践から感じたことは、生徒指導のためには、まず教師自身が真摯に自分の徳を高めなければいけないということです。M・F・Cチームワーク指導を活用することで、一人ひとりの生徒に適した生徒指導が実現できるのではないかと思いました。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 大森友暁)

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