算数授業の流れ ~1新要素1練習

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作成者:matui hiroshi (Edupedia編集部)さん

あれっ?落ちこぼしている!

算数の授業をした後、しばらくしてからテストをすると、「あれっ、分かっていない子供がこんなにたくさんいたのか!」と、授業の失敗が発覚したことはありませんか。授業中は何人かの子供が活発に手を挙げて発言していたのに、いざテストをしてみれば分かっていない子供がたくさんいたという経験は教師なら誰しも思い当たる所があると思います。

落ちこぼしはどうしても生じてしまう?

算数の教科書はたいていの場合、新しい要素が出てくると、その要素に関する例題と、練習問題が掲載されています。つまり「1新要素につき1練習」となっています。スモールステップです。下↓の図は3桁×2桁の計算を教える場面の教科書です。


この教科書通りに

①教科書の例題をみんなで解いて、
②教科書の練習問題をし、ある程度の時間が経ったらみんなで答え合わせをする

とします。すると、次のようなパターンの子供が出てくるでしょう。

【パターン1】塾や家庭学習で例題をする前から分かっていて、練習問題も楽勝の子供
【パターン2】例題をみんなでやれば理解できて練習問題もさっさと解き、正解できる子供
【パターン3】例題があまり理解できなくて、練習問題に時間がかかり不正解が多い子供
【パターン4】例題があまり理解できなくて、練習問題が時間内にできず不正解が多い子供
【パターン5】例題が理解できなくて、練習問題に歯が立たない子供。

【パターン3・4・5】の子供たちにとって、3桁×2桁の筆算の練習問題が6問は多すぎます。筆算をノートに写すだけでも手間取って、教師は彼らを待っていることができなくなってしまいます。この教科書だけを頼りに授業した場合、【パターン3・4・5】の子供たちの中で、授業時間中になんとか救えるのは【パターン3】ぐらいまででしょうか。練習問題の際に【パターン4・5】の子供たちをいつまでも待っていると【パターン1・2】の子供たちが退屈し始めます。ある程度で時間を切って答え合わせをせざるを得ません。

一生懸命授業をしても、分かってない子供、できるようになっていない子供、つまり「落ちこぼし」がある程度のパーセンテージで出てしまうのは仕方がないことだと思いますが、何とかして授業中に理解ができるようにしてあげなくてはなりません。なるべくどの子供も落ちこぼさないようにするにはどうすればいいでしょう?

全員ができるまで教師が丸つけをする


教科書のスモールステップをさらにスモールにして練習をさせます。

①例題をみんなで解いて、
②例題に似たオリジナル問題を1題か2題だけ出題し(たくさん出すと【パターン4・5】の子供を待っていられなくなる)、全員に解かせる(1題なら【パターン5・6】の子供たちを待っていることも可能でしょう)
③ほとんどの子供が解けるまで待って、答え合わせをする
④4~6問程度のミニプリントをさせるか、オリジナル問題を出題して、全員できるまで待って、全員で答え合わせをする・・・4~6問程度なら教師もすぐに答え合わせができるでしょう
⑤教科書の練習問題をし、ある程度の時間が経ったらみんなで答え合わせをする(場合によっては教師が全員分丸つけをする)
⑥プリントをして、全員できるまで教師が全員分丸つけをする(できなかった子供は休み時間や放課後に残してできるまで頑張らせる)
⑦早くできた子供には計算ドリル等の問題を宿題にして、やっていていいことにする。

新しい要素の難易度に応じて③~⑤は順番を変更したり、端折ったりすればいいと思います。授業は制限された時間内で行わなければなりません。時間との戦いで、できる子供のパーセンテージをどれだけ上げるかが問われます。【パターン1・2】の子供を待たせすぎないことと、【パターン3】の子供をできる側に引き上げることと、【パターン4・5】の子供をどのようにカバーしてあげるか、時間配分のバランス感覚が大事です。教科書の練習問題は多すぎる場合があるから④と⑤は逆にしてもいいと思います。⑤のミニプリントで、筆算に関しては「1新要素1練習」となるように網羅した教材を用意していますので、使ってみてください。
【教材】2年生~5年生を網羅した筆算プリント.zip
この↑プリントに関する記事はこちら↓。
小学校で習う筆算(2年生~5年生)を網羅、手軽に使えるミニプリント【教材】

⑥のプリントは、「1新要素1練習」となるように作られている「清風堂の習熟プリントシリーズ」がいいと思います。かなり丁寧に作られているので便利です。


とにかく、新しい要素が出てくるたびに、必ず全員の子供ができるようになるまで「教師が子供と一対一の関係」で丸つけをする時間を捻出することが必要であると思います。
答え合わせにもコツがありますので、下記のリンク先を是非ご参照ください。

できる子供を優先する
算数はよりシンプルに答合わせを
答え合わせをスピーディーに

教科書通りでは苦しいケースに要注意

東京書籍5年生教科書では、倍数の学習が下の様な「公倍数」「公約数」の例題で始まります。



約数の学習は下のような「公約数」の例題で始まります。

この例題から「倍数」「公倍数」「最小公倍数」(「約数」「公約数」「最大公約数」)という言葉が出てくるまでに、一切の練習問題が掲載されていないのです。そして、その後のページにも練習問題があまり多く載っていません。

この様な教科書で実際に授業をしている場面を見ましたが、子供たちが混乱し、理解している子供のパーセンテージが非常に低かったことがあります。

本来なら、「倍数の例題と練習問題→公倍数の例題と練習問題→最小公倍数の例題と練習問題」という順で、3時間かけたスモールステップで行われるべきではないかと思います。

「教科書通り」にやっていては、たくさんの落ちこぼしを生んでしまうケースがあると思います。教科書のやり方を鵜呑みにせず、「1新要素1練習」となるように準備をして授業に望まなければ、置き去りにされる子供たちが気の毒です。

算数では新要素をしっかり理解・習熟させていないと次の新要素を理解することができなくなります。たとえば、「倍数」をしっかり理解・習熟していなければ、「公倍数」を理解することが難しくなります。(そういう意味では、いきなり「公約数」を取り上げている上の教科書の流れは、無茶です)

いずれにせよ、落ちこぼしはある程度のパーセンテージで生まれると思います。どのように学力保障をしていくのかについては、下↓の記事で論じていますので、ご参照ください。
「補習」落ちこぼしをどうするか
少ない時間で適格な補習を~「補習」落ちこぼしをどうするか(2)
学力保障 ~学校の荒れを防ぐための最優先事項

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