西京高等学校・附属中学校が力を入れる「生きる力」の教育

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作成者: かみやん (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、中高一貫教育だけでなくSGHに指定されるほど積極的にグローバル教育を取り入れている、京都市立西京高等学校・附属中学校の竹田昌弘校長先生と岩佐峰之教頭先生へのインタビュー記事です。これからの教育のあり方や実際に西京高等学校・附属中学校が取り組んでいる学習について様々なお話をしてくださいました。

2 インタビュー

公立で中高一貫教育を行う利点を教えてください。

中高一貫制をとる学校は私立校に多いですが、公立中高一貫校には公立ならではの3つの強みがあります。

1つめは、私立校にも共通することですが、目指す教育目標の実現のために6年という期間を継続して使えることです。高校や中学校の3年だけでなく6年かけることでより充実した教育プログラムを実施することが可能となります。

2つめは、公立校がゆえにコストが安いことです。私立校では中高一貫校が充実しており選択肢が広く用意されている一方で、学費が高く払えないなどの経済的な理由から進学を諦めざるをえない子どもがいるのも現実です。しかし、公立高校であれば比較的安価で中高一貫教育を提供していくことができます。

3つめは、常に進化し続けていることです。私立校では異動がないことが多く同じ教員によって指導を行えるという強みがありますが、公立校には毎年教員の異動があるため、1年として同じ体制の年はありません。しかし、指導を行う教員が変化することで、学校全体としてどんどんと新しい発想も生みだし変化することができるのです。公立校では中高一貫教育を提供し、社会に還元できる人材を育成して行くことができる場であるのです。

その中で目指すものは何ですか?

西京高校では「グローバルリーダーの育成」と「生きる力の養成」を目標としています。しかし、一般に「良い高校」とされるのは大学合格実績を上げている高校であることが多く、進路を決める上で進学実績が信頼の基準となっているのが現実です。西京高校の目標は進学実績を伸ばすことではありませんでしたが、「グローバルリーダーの育成」と「生きる力の養成」を目標とした教育内容を広くアピールするためには進路実績も伸ばす必要がありました。そして、苦節十年、進路実現はもちろん、その中で生きる教育に力を置ける高校へと発展してきました。

目標実現のために行っている様々な取り組みについて教えてください。

西京高校では、「生きる力の育成」という目標実現を目的として、中学校3年生から高校3年生まで探究学習が行われています。

例えば、学校3年生から高校3年生では企業演習が行われています。
 中学校3年生には企業にそれぞれミッションを与えてもらう形で授業が行われます。過去に住宅メーカーと連携して行った授業では、「みんながわくわくする街をつくろう」というミッションに対して答えをグループで考えていく形式で進められました。
 高校生になると、企業から出されたミッションを遂行する形式から、高校生の視点を生かして現状の社会の課題をどう解決していくかというビジネスプランを考える形式へと変化します。

この演習では、課題に取り組む過程で一定のアイデアを出すためのノウハウを習得することができるほか、プレゼンでの発表も行うことで情報処理能力の向上も期待されるなど、一種のキャリア教育につながる部分も多く存在します。しかし、この演習において最も重要視されるべきことは、グループワークを通して自己主張だけでなく「他者尊重」の重要性を学ぶことです。

また、こうした取り組みを経たのち、「グローバルリーダーの育成」という目標実現のため、海外フィールドワークが行われています。この活動では生徒たちに、実際に現実を自らの目で確かめることで、英語を学ぶ必要性を理解するだけではなく、何か新しい発見を見つけ出し、疑問につなげていくことの重要性を学んでほしいと思います。また興味や疑問を深めていく手伝いをしていくことこそが教員の仕事です。

受験だけにとどまらない教育とはどのようなものだとお考えですか?

西京高校では既述の通り勉強にも力を注いでいますが、有名大学に入っても学ぶ楽しみを見失ってしまうという人もいます。そのため、受験を目標に先取り学習を行い、高校3年生の1年間を受験勉強に充てるのではなく、生きる力の養成に重点を置き、国際社会に貢献できる人物の育成を目指しています。

「京都ICT教育モデル『構築』プロジェクト」の研究校でもある西京高等学校・附属中学校のICT教育について、そのメリットを教えてください。

高校生活においては予習→授業→復習という流れが非常に重要ですが、現実には予習が不足しがちであるほか、授業についても時間内にすべてを教授することは困難です。しかし今後ICTを取り入れることで、予習という習慣をつけたり、授業進度を促進させたりすることができるのではないかと考えています。

3 西京高等学校・中学校について

京都市立西京高等学校・附属中学校(京都市中京区)

1886年開校の京都府商業学校の流れを汲み、1948年に京都市立西京高等学校として創設。2003年に「未来社会創造学科エンタープライジング科」を設置、翌2004年には附属中学校を開校した。エンタープライジング科では『進取(進んでものごとに取り組もうとする気概)・敢為(あえて困難に立ち向かおうとする気性)・独創(自由な発想と果敢な実行力)』の校是の下、エンタープライズシップにあふれた、21世紀をリードし未来社会を創造する人材を育成することが目指されている。

西京高等学校・中学校では、受験勉強をはじめとした受動的な学習だけではなく、社会に貢献することができる人物になるための教育に力を入れている。そのために、海外フィールドワークなどのグローバル教育プログラムや学習の効率化を図るためICT教育を積極的に取り入れ、これからの国際社会に還元できる人材の育成を行っている。

4 おわりに

今回、インタビューさせていただいた中で、生きる力を育成することこそが本当に大切だというお話が一番印象に残っています。今は偏差値や学歴が重視されがちな環境ですが、そういった目に見える力も含めた「生きる力」を育成する教育がこれから必要とされるようになっていくのではないでしょうか。

(取材・編集:EDUPEDIA編集部 宮崎俊一、長瀬加奈子、井村智史、神谷茉里)

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