生徒の成長を記録する大切さ (石坂陽先生)

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作成者:高木 敏行 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2017年10月7日(土)に石川県女性センターで行われた「第3回 谷和樹&石坂陽 ブレイクスルーセミナー」(NPO法人いしかわ子ども未来ネット 主催)を取材し、編集させていただいたものです。

2 講演内容

私が教育実践、研究をする中で心がけていることは以下の三つです。

  • 嘘をつかない
  • 話を盛らない
  • 感覚的、情緒的に報告しない

つまり、できるだけ客観的で正確な報告をしようということです。

子どもの実態を正確に把握することは教育実践、研究において大切です。では正確とはどういうことでしょうか?

私は根拠をもって数値を示せることだと思います。そこで私は、「毎日記録を取り続ける」ことにしています。

これから先生自身や子どもの実態を正確に測る方法を考えましょう

「褒めた」を測る

まず、子どもをどのくらい褒めたかはどう測定できると思いますか?測定方法・検証方法を考えてみてください。
 
私は生徒への褒め言葉を一筆箋に書いて生徒に渡しています。その際に、学級の名簿チェック欄に渡した日付を記録しているのです。。1学期は全部で107枚、一人当たり平均3.45枚渡しているので、少しは褒められたかなと思っています。

▲生徒に褒めの一筆箋を渡した記録(イメージ)

「成長」を測る

作文だけで成長は測れない

では2つ目です。子どもの成長はどのように測定できますか?

よく行われるのは生徒に作文を書かせるというものでしょう。例えば、「4年生のころまで私はこうだった。でも今はこうなんだ」といったような作文です。

しかし私はこれに対して疑問があります。こうした作文には"この先生に出す作文だから、「こういうことを書くものだ」「書かないといけない」"という一種のバイアス、強迫観念が色濃く映っているはずです。客観性を欠きます。なので作文単独では実態調査の指標として不適切です。用いるのであれば、他の指標との比較材料として用いるべきだと思います。

様々な指標を組み合わせて測る

私は名簿に様々な指標を記録しています。例えば、

  • 4月に実施した漢字50問テストの総合点、基礎は何点だったのか。
  • 前期は国語のノートを何冊消費したか。
  • 好きな教科は何か(アンケートで答えさせました。1科目よりも、2科目ぐらいにした方が何か傾向がみられるかなと思い、2科目答えさせています。)

 このように様々な指標を組み合わせて分析することで、子どもの実態が見えてきます。

1学期の漢字50問テストで、4月→7月である子は66点→100点、ある子は4点→90点という結果になり、私はそのことをクラス全体の前で伝えました。そうすることで子どもたち自身が、「みんなが成長しているな」ということがわかると思います。
 
さらに個人懇談でこの記録のことを保護者に告げます。「○○君は前はこうでしたが、今はこうですよ」と伝えることができます。

記録により、見通しを立てられる

国語の授業の冒頭に行っている、2人対戦での五色百人一首早取りの記録などもします。何分何秒で百枚読み上げて、各机の上の取り残しの合計数がこの日は何枚、この日は何枚…と記録しています。
この記録から、「大体3回目くらいになると取り残しは減ってくる」という傾向を見つけることができます。

谷和樹先生(玉川大学教職大学院教授、本セミナーのもう一人の登壇者)は

「プロはどれくらい時間を費やしたらどのくらいの成果が出るかを知っている」

とおっしゃいましたが、それはこうして記録を取るから分かるんです。それをしない人は基本的に行き当たりばったりでやってしまうんです。

努力を測る

3つ目です。子どもの努力はどうやって測定しますか?よく行われるのは行動の観察ですが、どんな状態がA状態、B状態かなどの線引きは難しいんですよね。また、その日の教師の精神状態によっても変化しますよね。私は、

  • 発言回数
  • ノートの消費量
  • 家庭学習の時間調査

などの測れるものを記録として使用しています。また学級全体の集団としての力を把握するため、

  • 給食準備時間
  • 授業での「全員発言」を達成した回数

等も記録します。

3 一冊のノートに記録する

すべての記録は一冊のノートに、名簿シートを張って記録します。ノートに記録するのには、

  • 情報が散逸しない、一か所にまとまってくれる
  • 良い意味で自分を追い込める(ノートに記録すると分かっているので手を抜けない)
  • 記録がたまる楽しさがある

という意味があります。かつてはファイルに分けてやっていたのですが、上手くいきませんでした。
  
やり抜く力の高い教師のクラスでは、子どものやり抜く力も高くなると思います。子どもたちは教師を手本としてみているので、そのやり抜く力が子供たちに伝染するのではないでしょうか。
 
繰り返しになりますが、正確というのは根拠をもって数値を示せるということ。一つ一つの記録をするのは30秒から1分程度ででき、それほど時間がかかりません。それを毎日続けているので、一定の成果が出ているのではないかなと思います。

4 講師紹介

石坂陽(いしざか あきら) 石川県公立小学校教諭、TOSS会員(向山一門次世代事務局、北陸中央事務局、TOSS SUNRISE代表)(2017年10月7日時点のものです)

5 編集後記

石坂先生は、毎日様々な観点から記録を取ることの重要性を指摘されました。講演内容からも記録から見えてくることの思いのほかの多さを思い知りました。現状を把握し、細かく分析することは教員に限らず、成長したい、あるいは集団を良くしたいと思う人たち全てにとって取り組むべき第一歩なのではないでしょうか。
石坂先生は講演中、常に自信をもって物事を主張されていました。それは取り続けてきた「正確な」記録の裏付けがあるからでしょう。記録を取り続けることは根気のいる作業ではありますが、それを通して得た知見は自分のものであり、自信をもって主張できるのではないでしょうか。

(取材・編集:EDUPEDIA編集部 高木 敏行)

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