都立高校「防災学」授業実践ノート第2回~自然災害の理解①地震と津波~

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作成者: Kenya Miyazakiさん

1 概要

『都立高校「防災学」授業実践ノート』は、筆者が都立高校定時制課程で受け持つ授業の実践で気付いたことや学んだこと、指導案や教材などをまとめています。これまでの記事は下記をご覧ください。ノートの要点をまとめた『今回の防災"共育"ポイント』を冒頭に記述します。全文は読んでられない!要点だけ知りたい!という方はご活用ください。高校向け資料ですが、小学校高学年~中学校でも充分に理解できる内容を中心にしています。

  1. 概要~生徒との防災"共育"を目指して~
  2. 第1回~オリエンテーションとアイスブレイク~
  3. 第2回~自然災害の理解①地震と津波、穴埋めシート作り~
  4. 第3回~自然災害の理解②風水害と噴火、防災ゲームの活用~

2 今回の防災"共育"ポイント

いよいよ今回から授業らしい授業となります。地震と津波について伝えることからはじめました。

  • 地震と津波が起きる仕組みを理解してもらう
  • 震災が社会現象であることを伝える
  • 地震・津波で死なない!ケガをしないポイント
  • 南海トラフ巨大地震について

★総合学科「防災学」第2回指導案.pdf

※Word版(自由編集可能)なワークノート及び解答編ノートは一般社団法人防災教育普及協会ホームページのお問い合わせフォーム<外部リンク>から「第2回授業資料希望」とお知らせください。容量が大きいためファイル送信サービスでお送りします。

3 地震と津波が起きる仕組みを理解してもらう

地震が起きる仕組みについては、東京都教育庁が公開している高校向け副読本「地震と安全」から該当部分を抜粋して、穴埋め問題をつくって板書・解説しながら伝えました。津波が起きる仕組みについては、気象庁ホームページを参考にしながら説明しました。

生徒の関心の高い地震の発生確率については、地震調査研究推進本部の確率論的地震動予測地図を配布してその内容を説明しました。また、地震には「陸域の浅い地震」や「プレート境界の地震」など、いくつかの種類があることについても、これまでの主な地震と比較しながら説明しました。

4 震災が社会・経済現象であることを伝える

地震の仕組みについて理解してもらったうえで、震災との違いを説明しました。地震は自然現象であり「ひとつ」しかないこと、震災は社会・経済現象であり、「ひとりひとりの震災」があることを強調しました。

同じ地震、同じ災害、同じ被災地であっても、大切なひと・もの・ことを失ってしまう人と、そうでない人がいること。ニュースなどで見聞きしているだけでは全て「被災地・被災者」とひとくくりにしてしまいやすいこと。自然現象としての地震の発生を予防できなくても、社会現象としての震災は、ひとりひとりの備えで予防できることを伝えました。

5 地震・津波で死なない!ケガをしないポイント

具体的にどのように身を守るかについては、阪神・淡路大震災と東日本大震災の犠牲者の死因をデータで比較して紹介しました。地震に対しては耐震補強や家具固定、ガラス破損防止などが重要であること、津波に対してはなるべく早いところへ、できるだけ早く避難することの必要性を伝えました。どちらもいろいろなところで言われる「基本的な対策」ですが、そおの必要性を客観的なデータで理解してもらえるようにしました。

6 南海トラフ巨大地震について

最後に南海トラフ巨大地震については、内閣府による『南海トラフ巨大地震、首都直下地震の被害と対策に係る映像資料』を用いて説明しました。まず映像資料を視聴し、重要だと思ったキーワードをワークノートに書き出してもらいました。その後、生徒にキーワードを述べてもらい、板書しながら解説を加えていきました。

(例)
・南海トラフでは繰り返し地震が起きている
  → 周期性(しゅうきせい)がある、備えにつなげることが重要
・強い揺れが数分間続く
  → 耐震化や家具固定が重要、火災も怖い
・長周期地震動でビルが揺れる
  → 都内でも大きな被害が出る可能性がある
  → 両親などが会社から帰れなくなるかも(帰宅困難)
・1週間後の避難者が最大950万人
  → 備蓄、特にトイレが重要
・適切な対策で被害を減らせる
  → 各種警報や津波避難ビルなどを知り、活用する

参考資料

東京消防庁地震その時10のポイント<外部リンク>、ほか地震調査研究推進本部、気象庁で公開されている資料を使用しました。

7 今回の感想・反省点

板書で書いて生徒が記入し、ポイントを説明するという流れで進めていきましたが、板書のペースが早くて記入が遅れてしまうという生徒がいました。全体的に板書のペースを落とすか、ワークノートで記述する部分を少なくするかのバランスを調整する必要があると感じました。
映像資料を視聴しながらポイントをまとめるのは、生徒によって個人差がありましたが、しっかりと重要な点をチェックしている生徒も多く、有効な手段であるように感じました。今後の授業に役立てたいと思います。

次回は「自然災害の理解②風水害と噴火、防災ゲームの活用」です。

8 実践報告者プロフィール

宮﨑賢哉/災害支援・防災教育コーディネーター、社会福祉士。一般社団法人防災教育普及協会事務局長<外部リンク>災害救援ボランティア推進委員会主任<外部リンク>などを兼務。2017年10月より都立高校定時制課程で総合科目「防災学」講師を担当。EDUPEDIAでは「防災教育実践50選」をもっと活用する4つのポイント』などを執筆。

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