模擬選挙だけじゃない!横浜市緑区選管の主権者教育プログラム「まちづくりゲーム」

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作成者:古野 香織 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

2016年6月の法改正に伴い、選挙権年齢が18歳以上となりました。
これを受けて学校現場では、将来の有権者である子どもたちがきちんと選挙権を行使できるよう、より一層「主権者教育」の実施が求められています。

しかし、選挙権を得る年齢の高校生ならまだしも、小・中学生が「選挙」や「政治」のことを考えるのは、少し難しいのでは・・・。そう考える先生方も多いかもしれません。

そこで今回ご紹介するのは、横浜市緑区選挙管理員会が作成した小・中学生向けの主権者教育プログラム「まちづくりゲーム—プチ緑区をデザインしよう!—」です。
選挙管理員会が実施する主権者教育といえば、1時間~2時間程度の「選挙に関する講演会」や「模擬選挙」を実施することが多いのですが、このプログラムは一味ちがいます。

こちらの記事では、2017年8月18日(金)に開催された横浜市と横浜市教育委員会が主催するワークショップイベント「子どもアドベンチャー」において、緑区の小学生を対象実施された「まちづくりゲーム」の様子をお届けします。

2 本プログラムのねらい

本プログラムは、「将来の有権者である子どもたちに、身近な地域を自分ゴトとして考えてもらうこと」をねらいとしています。当初、横浜市緑区選管が抱えていた課題として①選挙に行くための「知識」は学校で教えてもらえるが、「動機」がなかなか身についていないこと、②子どもたちの関心領域に沿った柔軟な啓発事業ができていないこと、の大きく2つが挙げられていました。この啓発事業に対する2つの課題を解決する策として、ドイツのNGO「子どもにやさしいまち(Kinderfreundliche Kommune e.V.)」が作成した子ども向けボードゲーム「StadtspielerJUGEND」をヒントに、「まちづくりゲーム—プチ緑区をデザインしよう!—」が開発されました。
※元となったドイツのプログラムについては、スウェーデンの若者政策専門家である両角達平さんによって、詳しく解説されています。

『ドイツの「子どもにやさしいまちづくり」が本気すぎて学べる』(両角達平)

この「まちづくりゲーム」では、小学生が「粘土遊び」を通して自分たちの住んでいる地域のことを楽しく、そして真剣に考えることができます。このように児童期から地域を自分ゴトとして考える機会があれば、将来の投票行動への「動機」にもつながる。こういった横浜市緑区選管の「子どもに寄り添った啓発事業を」という想いから、「まちづくりゲーム」は生まれました。

3 本プログラムに使用する道具

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・地図(模造紙)
・粘土(アイデアを表現するもの)
・ふせん(思考の言語化用)

4 本プログラムの流れ(全体で30~40分)

①イントロダクション(1分)

最初に子どもたちに、「これから横浜市緑区に『あったらよいもの』を考えてもらい、それを粘土で表現してもらう」という企画趣旨を説明します。
このイントロダクションでは、このイベントを「単なる粘土遊び」で終わらせないために、子どもたちに「考えてもらったアイディアが誰に届くのか」をしっかり伝えることを意識しました。今回は、子どもたちが作成したものを区のHP、ツイッターに掲載するとともに、区役所のエントランスにも展示。緑区の市民や、まちづくりに実際に関わっている区の職員にも見てもらえるような枠組みを用意しました。

②ナビゲーション(5分)

次は横浜市緑区の地図を使い、子どもたちに地域の具体的なイメージを思い浮かべてもらいます。
小学校低学年なら「おうちはどこ?」「近くに何がある?」「どこにつくる?」など簡単な問いかけを、高学年なら「この地域は高齢者が多い」「あの道は夜暗くて怖い」などさらに詳細な問いかけを行うことによって、難易度を変えることができます。地域の細かい情報や課題を伝えるナビゲーターとして、地域のおじいちゃんおばあちゃんをグループに配置すると、より具体的な検討を促すことができます。

③クリエーション(20分~30分)

地域の具体的なイメージができたら、いよいよ子どもたちが粘土を使って、まちに「あったらよいもの」を作り、地図上に配置していきます。ここでのポイントは、「今回の企画において製作物をつくることはあくまでおまけであり、目的は地域を自分ゴトとして考えることにある」ということ。そのために子どもたちには、「なぜそれをつくったのか」について真剣に考えてもらい、その思考を言語化してもらうためのふせんを配布。自分の製作物のとなりに置いてもらいました。「作ること」に没頭しがちな子どもたちに、「考えること」も同時に促すワークとなっています。

5 編集後記

「主権者教育は、『教育』、『選挙』の業界だけのモノではなく、より広い接点を持つもの」と、横浜市緑区選管の担当者の方は話します。
主権者教育の中心的な担い手となっている選挙管理員会の皆さんが、こういった視点から多様な啓発事業を展開されていることは、非常に心強く感じました。これから模擬選挙だけではなく、このようなユニークなプログラムも増えていくとさらに良いと思います。

「世の中の様々な業界へ主権者教育への理解が広がれば、例えば子どもたちの声を実際にまちづくりに反映させるような枠組み等が生まれやすくなり、それにより子どもたちの地域に対する自分ゴト意識が高まるという好循環を生み出すことができるのでは」と熱く語っていただきました。

今後も、横浜市の啓発事業に注目です!

(編集:EDPEDIA編集部 古野)

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