【授業実践】「食と向き合う。地域と向き合う。」―ソーシャルビジネスと地産地消に着目して―

GOOD!
796
回閲覧
20
GOOD

作成者:加藤 広夢 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、昨年まで私立女子中高一貫校で5年間家庭科教員として教鞭をとられていた柏木亜依先生から提供していただいた授業実践についてまとめたものになっています。

2 担当者の想い

この授業の狙い

現代では、個人単位での生活スタイルの変化や女性の社会参画による共働きなどに伴い、食の外部化、簡便化が進行し、この影響は中高生にも及んでいる。この授業では「食」を通して人々との関わりを感じ、食を作ることの楽しみや大変さを知ることを目的としている。加えて、食糧自給率や食品ロスなど、そこから生じる様々な弊害についても考える機会とする。またTPPへの参加により、食の国際化はさらに進行している。その中で、もう一度日本の食や身近な資源について考え、作物への愛着を持つことと、食べることへの感謝の気持ちを根付かせたいという思いで授業を行った。

地域との連携

その狙いを達成するために、未来食堂さんと東京愛らんどさんと連携して授業を行った。

◆未来食堂について

2016年、神保町にオープンした食堂。1日1メニューを掲げ、それ以外に食べたいものがあれば、その日店頭にある食材を使用し、お客様のオーダーに沿った料理を提供する「あつらえ」というシステムをとっている。このシステムは食品ロスが少ない上に、お店としてもロスが少ない。また、この食堂は店主1人で切り盛りし、アルバイトは居ない。その代わりに、手伝ってくれる人がいれば、50分労働につき定食1食分を提供し、報酬の代わりとしている。この1食分のチケットは本人が使用してもいいが、家族や友人にあげてもよし、また食べ物に困窮している人などに提供したいと思うのならば、店舗の外にある掲示板にそのチケットを貼って、見ず知らずの誰かのために提供することもできる。

詳細はこちらをご覧ください→未来食堂さんのホームページ

このようなシステムの食堂で実習を行うことで、経営の効率化やソーシャルビジネス、食品ロスの軽減など様々な観点から生徒たちの興味をそそると感じた。このような興味深い取り組みをしている食堂が学校の近隣にあるということはとても幸運である。

◆東京愛らんどについて

公益財団法人東京都島しょ振興公社が運営している伊豆諸島・小笠原諸島のアンテナショップのこと。ここでは島の食材を使用したメニューや特産品の販売をしている。

詳細はこちらをご覧ください→東京愛らんどさんのホームページ

今回は、未来食堂さんと東京愛らんどさんのコラボ企画に本校の生徒も参画させていただいた。東京都の食糧自給率は近年カロリーベースで1%。よって東京都民が摂取している食料の99%を他の地域や国に頼っている。生徒はこの現状をあまり知らない。この現状をを踏まえた上で自分が生まれ育った地域の食材を知り、上手に提供することが生徒にとってのいい経験になるのではないかと考えた。

3 プロセス

春期休業中課題と取り組み

①打ち合わせ兼インタビュー(2時間)

代表生徒2名・未来食堂担当者1名・東京愛らんど担当者2名で、実習先の視察を含め、具体的な日程の調整と注意事項の確認、試作用食材の配達準備、なぜこの食堂をしようと思ったか等のインタビューを行った。

②レシピ検討、試作(4時間)

伊豆大島の明日葉、新島の玉ねぎ、八丈島のレモンジャムを使用したレシピを各々考案し、試作した。

授業内

①ミーティング(2時間)

授業の終わりに今後の活動における課題や計画について確認した。(提供日に向けて、どのくらい時間を要するか、予算と食材注文数・提供数の計算、衛生管理)

②実習1 店頭での接客や衛生管理等(4時間)

箸や御手拭き等の補充や清掃、接客体験を行った。 ※この時期に検便を実施した。

③実習2 小笠原諸島の食材を使ったレシピの提供(4時間)

自ら考案した副菜を提供した。(実施日の早朝から学校で準備し、店舗へ搬入後調理と配膳)

その他、チラシの作成や調味料調達等の準備を時間外で行なった。

4 授業後のレポート

授業後には生徒たちにレポートを提出させ、評価した。内容は比較的フリーに書けるように、項目を概要、詳細、感想考察というシンプルなものにした。

文字数、実習先の方から頂いたアドバイスを元に次回に活かそうとしているかという点を採点基準にした。何枚かあるので毎回のレポートをその都度採点し、変化が見られるかなども見た。

また、レポートだけでなく実際に実習をしている中でも計画性や手際の良さなど見て実習点で評価をつけた。

5 使用テキスト、参考文献、先行実施

教科書:実教出版「フードデザイン」
 参考文献:なし
 先行実施:なし
 検討事項:試作段階の食材及び調味料の資金捻出先(企業との密なすり合わせが必要)

6 プロフィール

柏木亜依(かしわぎあい)
中学高校家庭科教師。NGO法人プランインターナショナルアカデミー生。「家庭科を通して地域や世界と繋がる」をモットーに事業実践を行う。2018年ロンドンへ渡英して教鞭を執る。

コメント

コメントはまだありません

    より良い実践のためには、あなたの励ましや建設的な対案が欠かせません。
    ログインして、ぜひコメント欄をご活用ください。