「学校の多忙化」の改善(業務改善)3 ~具体的な業務改善のアイデア

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目次

業務改善とは


この記事では、大きな改善から小さな改善(プチ改善?)まで、学校における業務改善のアイデアを思いつくがままにアップしています。「本当にこんなことやっちゃっていいの?」 という案件から「こんなちっちゃい事わざわざアップするなよ!」という案件まで、今後もここにアップデートしてゆこうと思っています。

さて、具体的な業務改善に取り組む前に、まず業務改善をどのように考えるかについて職員全体で考え、共通理解をしておく必要があると思います。戦略を練り、何のために、どういう道筋で改善を進めていくのかをしっかり考えた上で始めなければ、
あれをなくせばいい・・・いやそれはずっとやってきたことだから・・・これは簡略化すればいい・・・いやそれは前例がないからできない・・・
と、改革が進みません。管理職を含めた職員全体で合意形成を図り、情報共有するところからスタートする必要があります。このことに関する詳細は

学校の多忙化」の改善(業務改善)2 ~学校の業務改善をどう考えるか

で述べていますので、ご参照ください。この記事では具体的にどのように改善を進めていくのか、ひとひとつ例を挙げながら提案をしてゆきたいと思います。

※ この記事は、新しい改善のアイデアがあれば今後もアップデートをしてゆこうと考えています。EDUPEDIAユーザーの皆さんからもアイデアをいただけるとありがたいです。下の方にコメント欄がありますので、是非アイデアをください。

EDUPEDIAにはこの記事の外にもたくさんの業務改善関連記事がありますので、下記リンク先も是非ご参照ください。

「教員の多忙化」というキーワード の学習指導案・授業案・教材 一覧
【五月祭教育フォーラム2018】「教員の多忙化」記事特集ページ
「学校の多忙化」の改善(業務改善)1 ~「残業の見える化」から始める
「学校の多忙化」の改善(業務改善)2 ~学校の業務改善をどう考えるか
「学校の多忙化」の改善(業務改善)3 ~具体的な業務改善のアイデア
「学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編
「学校の多忙化」の改善(業務改善)5 ~成果報告
休憩時間(時間外労働)に関する管理職の義務違反について

また、下記の著書は業務改善を考える上での大事なポイントをわかり易く解説してくれているので是非ご参照ください。

先生がつぶれる学校、先生がいきる学校(妹尾昌俊:2018)【書籍紹介】

文科省も業務改善案を出していますので、是非そちらも検討してみるとよいと思います。

全国の学校における働き方改革事例集

1 運動会を見直す


運動会は小学校の一大イベントであって、それをやめるとか改革するとかは口に出すことさえ難しいというのが現場での実際のムードだと思います。教員はもとより、地域や保護者にとっても大事な行事だと考えられているため、廃止や改革を打ち出せばそれなりに逆風にさらされることと思います。だからこそ、ここを果敢に業務改善することは「聖域なき業務改善」への意識づけになるでしょう。改革案を挙げてみます。運動会を催すことは当たり前だと思っているのは、「思い込み」かも知れません。運動会のためにかける時間を体育全般に均等に振り分けてクオリティーを上げればよいのです。運動会のために子供達が費やす時間は、子供達が実際に汗を流して運動する時間に比べてあまりにも長すぎます。もっともっと運動量を確保する方向で考えても良いと思います。

① 運動会は自分が出場する種目が「走・団体競技・ダンス」の3つぐらいになることが多いのではないかと思います。これに全校演技の「大玉運び」が加わるような感じでしょうか。見ている時間が長く、暑い時期になると観覧態度がダレてしまいます。運動会を従来の「出場or観覧」の2つにひとつという形ではなく、お店屋さん大会型(あるいは文化祭型)に変えてみるのもいいかもしれません。たくさんのブースを作って、それぞれの場所を回る形です。陸上競技大会や体操の大会のように、同時進行でたくさんの種目が行われているのをイメージしてみてください。運動場でドッジボールが行われている時に体育館でダンスが行われるといった具合です。縄跳びや長縄は教室や狭いスペースでもできます。

② 運動会の種目を減らして午前中に終わらせます。運動会で家族そろってお弁当を食べることを楽しみにしている保護者は多いと思いますが、一方ではそれを負担に思っている方も多いと思います。土日に働いている保護者にとって丸一日の休暇をとらなくても、自分の子供の出番が終われば職場に戻れるとなるとありがたい。

③ 徒競走やリレーは参観日に実施します。5月に運動会を開催すると十分な指導をする時間がありません。運動場の取り合いがおこり、ダンス系に時間がかかるので走競技は流れだけを練習して本番まで走らせるのは2・3回というケースをよく見ます。リレーは指導をきちんとするとタイムが伸びるし盛り上がります。無理に運動会でリレーをする必要はないと思います。

リレーを盛り上げる

④ ダンス系の演技は参観日に実施します。ダンス系は見た目がよくなるようにするために、マーキングが大変です。広い運動場で見た目をよくするためには隊形移動が多くなり、位置や方向を覚えるのが得意ではない子供にとっては苦痛が多いです。体育館であまりマーキングを気にせずに「踊る」「体を動かす」ことに重きを置いたダンス系の演技を実施すればよいと思います。体育館なら運動場より音響が良く、狭い空間なら「気」を満たすことができます。木の床でステップして足音を揃えるとシンクロしている気分が高揚します。元々、体育館の方が断然優位なのですから、体育館でやればよいと思います。

2 組体操を廃止する


運動会は小学校の一大イベントであり、組体操は運動会の一大プログラムであると言えるでしょう。ここにメスを入れることによって、「聖域なき業務改善」への意識づけになるかもしれません。指導にも事故防止対策にも大きな負担を要する組体操は、廃止した方が良いと思います。組体操の廃止に関しは、廃止までの道のりの紹介を記した記事がありますので、下記↓リンク先をご参照ください。

組体操を「廃止」に導く ~事故リスクの回避

3 音楽会を見直す


音楽会を毎年開催している自治体にとって、「音楽会を取りやめる」とか「音楽会を改革する」とかはとてもじゃないけど言い出せない雰囲気があると思います。大規模校は楽器の数に限りがあるため、誰に何の楽器を演奏させるかにも気を遣います。保護者の不満が出ないように長々とオーディションを行っている学校も結構ある事でしょう。クラスごとに参観日に音楽会をすれば、時間的な制約や体育館という場所の制約を受けずにわりと好きな楽器を子供たちに選ばせてあげることができます。体育館に楽器を運んだり椅子を並べたり、観客の移動に悩まされたりする必要がなくなります。実際にクラスごとの音楽会をして、保護者から涙が出るほどの好評を得ている学校もあると聞きます。音楽室という狭い空間であれば音の反響もよく、気を満たすことも体育館よりもずっと容易にできます。

4 スポーツ活動を見直す


スポーツ活動は体育会系教員が仕切っていることが多く、強固な縦社会の中で守られてきた「聖域」に手を付けることはかなりのエネルギーを要するかもしれません。スポーツを通して子供たちの心身の健全な発達が必要である一方で、スポーツ活動のために過大な時間を割かなくてはいけない現実は見直してゆく必要があると思います。

5 卒業式を見直す


卒業式は一生に一度の節目のイベントであるから時間と手間をかけなくてはならないという想いに駆られて、ついつい業務が長大化しやすい傾向があります。入場前に思い出のビデオを流したり、掲示物に凝ったりしてなんとかして盛り上げたいと思う気持ちはわかりますが、大切なのは保護者や教師の気持ちの盛り上がりではなく、子供たちの気持ちの盛り上がりです。一旦、枝葉を取り除いたシンプルな卒業証書授与に戻るのもよいのではないでしょうか。

小学校では「呼びかけ」という形でストーリー性のある台本を作って一人一人で、あるいは全員で何か言わせる形が多く見られます。ひとつのショーにするために、順番を守ってはっきりと大きな声で「呼びかけ」ができるようにするのにはけっこうな練習が必要となるため、卒業間際にかなりの時間を費やすことになってしまいます。

それほどストーリーを作りこまなくても卒業証書をもらう前に、何か一言、話をさせればそれでいいような気がします。大声で絶叫するのもOKだし、マイクを使いたい子供にはマイクを使ってしみじみと語らせればよいのではないかと思います。

6 授業のフォーマット


授業の形のフォーマットも大事だと思います。どの教師の授業でも同じ形で進めることができていれば、子供たちが混乱しないし、教師も楽です。ノートの書き方(=板書の仕方・・・日付やめあて)も統一しておくとよいと思います。勿論、何でもかんでも統一すると教師は窮屈になるので教師の個性は大事にすればよいと思います。スタンダードを作っておき、そこから外れるのは「自己責任で」ということにしておけば気が楽だと思います。

7 授業改善


業務改善において、本務である授業の改善が大きなウエイトを占めていることは言うまでもありません。あまりこのことについて書くとテーマが大きすぎて長くなるので、EDUPEDIA全体にたくさんのヒントがありますので、下記リンク先等、色々なページをご参照ください。

日常的に学級を公開する ~日々、研修

上記リンク先では、学校を挙げての研修も大事であるけど、一方で日々の授業をどうするかという事も大事であることを記述しています。授業の参観や教室への入室を基本的にはフリーにして、お互いが学び合える状況を作っておきましょう。

8 学級経営改善


学級経営も教師の本務であり、これもまた業務改善において大きなウエイトを占めています。そしてこれもまた、テーマが大きすぎて長くなるので端折ります。EDUPEDIAでキーワード検索をしてみて下さい。
学級経営に関連する記事

9 生徒指導改善


これも大きなテーマです。EDUPEDIAでキーワード検索をしてみて下さい。
生徒指導に関する記事

10 マスト(最低限やらねばならない事)の絞り込みと共有・チェック


教育において理想を語りだすと無限に広がっていき、とりとめもなく業務が増えていきます(そして現在のような超多忙化に陥った)。そこで、どの教師も最低限しなくてはならないことを書き出します。書き出すことがあまり多くなると守ることができずに絵に描いた餅となるので、できれば具体的な項目を15ほど厳選します。「○○小学校スタンダード厳選版」などと命名し、年度初めに「これだけはやり抜こう」と職員全体で共有します。年度途中、少し余裕がある夏季休業中に一度各項目を自己評価し、年度末にも再び自己評価、できなかった項目について「何故できなかったのか」「どうしたらできるようになるのか」を検討します。これを何年か続け、定点観測していけば教師に最低限の指導力が身に付き、最低限の指導が網羅的に児童に行きわたるようになるため、授業・学級経営・生徒指導がシュアな業務となってゆきます。教育目標・重点目標では表現しきれない具体的な目標とイメージしてください。例えば、

◎ ノートに日付とページとめあてを書く
◎ 黙々清掃をする
◎ 退勤までに教室の机・椅子が整頓され、床にゴミが落ちていない環境を作る。
◎ 線を引く時には定規を使う
◎ 下敷きを敷く

等々です。できているようでできていないことをピックアップするといいですね。
校務分掌の中にこの業務(絞り込み・共有・チェック)をする係を設置しておくといいですね。「絞り込み」に関しては下記の記事も是非ご参照ください。

スタンダードを作って具体的な目標を絞り込み、共有・徹底する

11 家庭訪問を見直す


昔は玄関で靴を脱いで子供が勉強している部屋にまで上がりこむような教師もいましたが、今の時代、そういうのはアウトな気がします。そこまでしないにしても、家庭訪問によって担任が感じ取る「家庭の雰囲気」は後々の指導に生かされる部分が大きいと思います。玄関先に立つだけで、何かが噛み合っていないなという直感が働くことがあります。しかし、それでも、家庭訪問のために時間を費やすのは教師にとっても保護者にとっても負担であると思います。時間を考えてコースを組んでいると時には1軒のために校区の端から端まで歩かねばならない時もあります。

家庭訪問は家の場所を確認(安全や緊急時の対応のため)するだけの業務にして、早いうちに個別懇談を組んで保護者との対面を果たすという形に変えてしまってもよいのではと思います。

12 通知表を見直す


通知表(あゆみ)は必ずしも発出しなくていいことを知っていますか?通知表を出すか出さないかは実は学校の判断にゆだねられています。指導要録が必須であるため、通知表も必須であるように思いこんでいるかも知れませんが、適正な評価をしている限り、出さなくても問題はありません。実際、通知表を出さない学校があったことを何件か聞いたことがあります。長い時間をかけて総合評価や所見を書くことに本当に意味があるのかどうか、考え直してみる価値はあると思います。例えば算数で「コンパスを使って円を奇麗に書く」ことと「筆算を正当に導く」といった2種類以上の内容の技術を、観点別評価としてまとめてひとつのの「技術」の評価として算出しています。様々な評価の内容があるというのに4観点(新学習指導要領では3観点)にまとめてみる必要が本当にあるのでしょうか。さらに評定ではこの4観点をさらにひとつにまとめて3段階で表現しています。これについても、まとめる作業に本当に意味があるのかどうかは再考してみてもよいのではないでしょうか。児童や保護者に伝えるべきことは、「コンパスをどれくらい上手に使えるようになったか」「筆算の正答率はどのくらいか」という個別の内容ではないかと思います。学校がたくさんの項目のデータをこねくり回して総合的な評価として観点別評価や評定を算出するより、個別の項目のデータそのものを渡した方が親切だと思いませんか?
学期末、「やっと休みになる」と思っている所に総合的な評価をもらって嬉しいのは成績優秀な層と、成績が大きく伸びた層でしょう。評価を「君の能力はこれぐらいだ」という烙印を押すような形で行うのは良くないと思います。それよりも、何か実践をするたびに、「今の力はこのくらいで、ここを頑張ればよくなるよ」ということを指示してあげる方が親切だし成長を促すことができると思います。PDCAのCで止まるのではなく、普段のPDCAサイクルが働くような形態が必要なのだと思います。
自治体レベルで、校務支援システムを導入するという取り組みも、必要だと思います。

13 次年度への引継ぎを各部署・学年で行い、アップデートしてゆく


学校では校務分掌(あるいは担当学年)が年度毎にけっこう大きく変わってしまいます。業務改善的には、同じ教員が慣れた仕事を担当する事が効率的で、あまり変えない方が良いように思えます。一方で仕事の平等性や、たくさんの仕事を担当することで視野が広がって成長するという効果を考えると、様々なポストを経験することはあながち悪いとも言えません。
校務分掌が変わった際、新任の者にとってはそのポストの仕事がどういう内容であったのかわからず、戸惑う事が多いですし、前任の者にとっては新任の者に引き継ぐ手間がしんどいという状況が発生します。特に前任の者が他校に異動してしまった場合、新任の者が困り果てるというケースが見られます。
そこで、必ず前任者が引継ぎ書類を残すというルールを作っておきます。

① 近々に行わなくてはならない業務
② 時節ごとに行うべき業務
③ 年間を通じて行うべき業務
④ 留意点・問題点・課題

等を書き上げ、ネット上で共有できる場所にファイルを格納しておけば、初年度はたいへんであっても、その次の年からはそのファイルをアップデートしていけばよいだけですし、アップデートによって仕事のやり方も洗練されてゆくはずです。

14 ネームカード(ネームプレート)を統一して次の学年に引き継ぐ


毎年のように机に貼るネームカード、黒板に貼るネームカードを作っていませんか。学校で様式を統一しておけば、年度がわりで持ち上がって使うことができます。

15 挨拶のフォーマット


挨拶指導はどこの学校でも重要視されています。しかし、残念なことに挨拶が上手にできる子供がなかなか育たないという声も多いです。年度がかわっても、担任以外の教員と接する時でも、子供たちがいつも同じフォーマットで挨拶をするようにしておけば指導が統一され、教員も子供もお互いに楽です。下記リンク先をご参照ください。

しっかりと挨拶をさせるために(学級編) ~子供たちの「面倒くさい」に負けない

16 ノートのフォーマット


担任・教科担任によってノートの取り方がバラバラではないでしょうか。例えば算数で筆算をノートに書かせるときのルールをどのように指導していますか?筆算は2年生から5年生まで繰り返し出てくる単元です。担任によって書かせ方がいちいち違うと、子供もルールを守らなくなってきます。校務分掌の算数部で話し合い、筆算の書かせ方をスタンダード化したプリントを作って共有しておけば、子供たちが混乱せずに学習ができます。
他の教科でもノートの書き方のフォーマットを作ってスタンダード化しておくとよいと思います。
スタンダードであるので、「どうしても独自のルールでノートをとらせたい教師は自己責任で指導しても良い」という程度の「緩さ」であっていいと思います。

17 口頭で伝達せず、メモを渡す、デジタルで伝える


情報化社会がこれだけ発達しても教師の業務は依然アナログの部分が多く、例えば誰かにちょっとしたことを伝える時でも仕事中は口で伝えることが多いです。口で伝えられたことを全部覚えておき、伝えられたことに適切な処理ができるのはかなりワーキングメモリの容量が大きい教員です。私はワーキングメモリの容量が小さいので、伝えられていたことに対する処理が遅れたりできていなかったりしてよく冷や汗をかきます。
口頭で伝え合う学校文化を廃し、何か人に伝えたい時には伝える側が発信者責任を感じてせめてメモを渡すよう、習慣づけていく必要があると思います。

18 発信者責任


前の項で「発信者責任」について言及しましたので、もう少し詳しく書きます。人に何かを伝えたい時には、伝えられる側が気を遣うのではなく、伝える側が気を遣う事を原則にしましょう。いつまでに、誰に、何をして欲しいのかということをはっきりと具体的に伝えることは、発信者の責任です。

19 書類に署名する


「発信者責任」についてもう一つ。何か文書を発出するときに、文書のはじめに「文責:山田」等と明記しておきます。そうすると、後にその文書を見た人が文書を書いた人に何か質問をしたい場合などに、誰が書いたのかがすぐにわかって便利です。文面に責任を持つという意味でも、署名は有用だと思います。

20 留守番電話


勤務時間が終わってからかかってくる電話が多いのも学校の悩みの一つです。9時を過ぎても平気で明日にすればよいような要件の電話がかかってきます。自治体によっては統一して電話に出る時間を決めたり、留守番電話に切り替えたり、業務終了のアナウンスを自動音声で流すことに決めていたりするようです。こうしたことは各校任せにしないで、委員会単位で対処してほしいものだと思います。できれば委員会がコールセンターを設けて急を要する案件等に対しては自動音声で切り分けて受け付け、本当に緊急の場合のみコールセンターから学校へ連絡を入れる仕組みを作って欲しいものです。

21 個人情報の保護を簡易化


個人情報の保護の重要性がたびたびアナウンスされることで、学校は過敏になって対処に追われるようになってしまいました。私の勤めたある学校では健康診断の身長体重を記入した用紙さえ封筒に入れて返すようにしていました。2つ折りにして渡せばそれで済むことにさえ過剰に対応するのはいかがなものかと思ってしまいます。本当にそれほど過剰に対応すべきことなのかどうかを見極める習慣を身につけていくべきだと思います。

22 忘れ物を取りに来る児童への対応


忘れ物を取りに来る児童に対応する時間も、勿体ないです。学校全体で、「安全面も考えて忘れ物をしても取りに来ないように」とアナウンスしておくとよいと思います。

23 応募への対応


夏休みが明けると絵や工作や書道の作品、理科や社会の調べ学習等のコンクールへの出品にかなりの時間を割かれるようになりました。昔はこんなことはなかったのに。
市や地域が主催するイベントの仲介もなぜか学校がしなければならないような募集のかけ方になっていることが多いです。
多種多様な組織が学校に児童生徒の作品の提出やイベントへの参加、組織への入会を求めて応募要項を届けてきます。これらにいちいち対応していては本当に身が持ちません。教育委員会が主催しているわけでもない○○大会・○○コンクールの応募に学校が仲介をしなければならないような仕組みがおかしいのです。基本的に応募をかけたければ家庭に向けて直接やり取りができる形にしてもらうように、タフに交渉していきましょう。
図工作品など、応募したければ保護者がスマホで撮影して主催者に送れば済むことだと思いませんか?

24 ICT化の推進


業務改善にはICTの活用がたいへん効果的です。ICTスキルを上げるにはそこそこの時間がかかりますが、業務の効率化・情報の共有をすることは業務改善を大幅に推進させることとなると思います。一人一台のパソコンが導入されるようになって久しいにもかかわらず、いまだにショートカットキーの使い方すら身についていない教員は多い(しかも若年層がけっこう使えない)です。是非、ICTによる業務改善研修を開いてスキルアップを図りましょう。具体的な業務改善に関しては、別の記事に詳しくアップしていこうと考えていますので、下記リンク先をぜひご参照ください。

学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編

25 情報の共有


学校はたくさんの情報が流れる場所です。児童生徒の情報は勿論のこと、職員間で共有すべき職務上の情報はたくさんあります。にも関わらず、情報の共有が上手くいっていないのが現状です。情報を上手に共有することによって仕事が効率化する事は勿論のこと、大事な情報をみんなが掴めていることによって安定していく部分も大きいと思います。作成した書類は次年度に引き継ぐなど、やるべき事は多いです。ICTによる共有もどんどん進めていくべきだと思います。

学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編

26 教科担任制の導入

小学校では担任が全教科を担当することが前提になっています。6年生であれば国社算理英家体図道総と、多岐にわたる教科のたきにわたる単元の授業準備と教材研究をしなければなりません。そこで、学年間で授業交換をし、教科担任制を導入します。授業準備・教材研究に集中でき、授業のクオリティーを上げることができると同時に、他のクラスの様子を知る事にもつながます。将来的には、学級担任を設けず、学年スタッフという形で学年の教員全員が全学級を見るという方法も考えられなければならないと思います。さらに、学級という枠組みをなくして随時グループを組んで学習するという形態も取り入れられてよいかと思います。いずれにしても教員数を増やさなければ実現は難しいですが。
算数と国語・理科と社会は交換しやすいですし、道徳や総合を単元ごとに分担する方法もあります。下記リンク先↓に詳しい記事がありますので、是非ご参照ください。
小学校での教科担任制
総合的な学習の時間を分担する
道徳の時間を分担する(単元担任制)

業務改善とは

この記事では、大きな改善から小さな改善(プチ改善?)まで、学校における業務改善のアイデアを思いつくがままにアップしています。「本当にこんなことやっちゃっていいの?」 という案件から「こんなちっちゃい事わざわざアップするなよ!」という案件まで、今後もここにアップデートしてゆこうと思っています。

さて、具体的な業務改善に取り組む前に、まず業務改善をどのように考えるかについて職員全体で考え、共通理解をしておく必要があると思います。戦略を練り、何のために、どういう道筋で改善を進めていくのかをしっかり考えた上で始めなければ、
あれをなくせばいい・・・いやそれはずっとやってきたことだから・・・これは簡略化すればいい・・・いやそれは前例がないからできない・・・
と、改革が進みません。管理職を含めた職員全体で合意形成を図り、情報共有するところからスタートする必要があります。このことに関する詳細は

学校の多忙化」の改善(業務改善)2 ~学校の業務改善をどう考えるか

で述べていますので、ご参照ください。この記事では具体的にどのように改善を進めていくのか、ひとひとつ例を挙げながら提案をしてゆきたいと思います。

※ この記事は、新しい改善のアイデアがあれば今後もアップデートをしてゆこうと考えています。EDUPEDIAユーザーの皆さんからもアイデアをいただけるとありがたいです。下の方にコメント欄がありますので、是非アイデアをください。

EDUPEDIAにはこの記事の外にもたくさんの業務改善関連記事がありますので、下記リンク先も是非ご参照ください。

「教員の多忙化」というキーワード の学習指導案・授業案・教材 一覧
【五月祭教育フォーラム2018】「教員の多忙化」記事特集ページ
「学校の多忙化」の改善(業務改善)1 ~「残業の見える化」から始める
「学校の多忙化」の改善(業務改善)2 ~学校の業務改善をどう考えるか
「学校の多忙化」の改善(業務改善)3 ~具体的な業務改善のアイデア
「学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編
「学校の多忙化」の改善(業務改善)5 ~成果報告
休憩時間(時間外労働)に関する管理職の義務違反について

また、下記の著書は業務改善を考える上での大事なポイントをわかり易く解説してくれているので是非ご参照ください。

先生がつぶれる学校、先生がいきる学校(妹尾昌俊:2018)【書籍紹介】

文科省も業務改善案を出していますので、是非そちらも検討してみるとよいと思います。

全国の学校における働き方改革事例集

1 運動会を見直す

運動会は小学校の一大イベントであって、それをやめるとか改革するとかは口に出すことさえ難しいというのが現場での実際のムードだと思います。教員はもとより、地域や保護者にとっても大事な行事だと考えられているため、廃止や改革を打ち出せばそれなりに逆風にさらされることと思います。だからこそ、ここを果敢に業務改善することは「聖域なき業務改善」への意識づけになるでしょう。改革案を挙げてみます。運動会を催すことは当たり前だと思っているのは、「思い込み」かも知れません。運動会のためにかける時間を体育全般に均等に振り分けてクオリティーを上げればよいのです。運動会のために子供達が費やす時間は、子供達が実際に汗を流して運動する時間に比べてあまりにも長すぎます。もっともっと運動量を確保する方向で考えても良いと思います。

① 運動会は自分が出場する種目が「走・団体競技・ダンス」の3つぐらいになることが多いのではないかと思います。これに全校演技の「大玉運び」が加わるような感じでしょうか。見ている時間が長く、暑い時期になると観覧態度がダレてしまいます。運動会を従来の「出場or観覧」の2つにひとつという形ではなく、お店屋さん大会型(あるいは文化祭型)に変えてみるのもいいかもしれません。たくさんのブースを作って、それぞれの場所を回る形です。陸上競技大会や体操の大会のように、同時進行でたくさんの種目が行われているのをイメージしてみてください。運動場でドッジボールが行われている時に体育館でダンスが行われるといった具合です。縄跳びや長縄は教室や狭いスペースでもできます。

② 運動会の種目を減らして午前中に終わらせます。運動会で家族そろってお弁当を食べることを楽しみにしている保護者は多いと思いますが、一方ではそれを負担に思っている方も多いと思います。土日に働いている保護者にとって丸一日の休暇をとらなくても、自分の子供の出番が終われば職場に戻れるとなるとありがたい。

③ 徒競走やリレーは参観日に実施します。5月に運動会を開催すると十分な指導をする時間がありません。運動場の取り合いがおこり、ダンス系に時間がかかるので走競技は流れだけを練習して本番まで走らせるのは2・3回というケースをよく見ます。リレーは指導をきちんとするとタイムが伸びるし盛り上がります。無理に運動会でリレーをする必要はないと思います。

リレーを盛り上げる

④ ダンス系の演技は参観日に実施します。ダンス系は見た目がよくなるようにするために、マーキングが大変です。広い運動場で見た目をよくするためには隊形移動が多くなり、位置や方向を覚えるのが得意ではない子供にとっては苦痛が多いです。体育館であまりマーキングを気にせずに「踊る」「体を動かす」ことに重きを置いたダンス系の演技を実施すればよいと思います。体育館なら運動場より音響が良く、狭い空間なら「気」を満たすことができます。木の床でステップして足音を揃えるとシンクロしている気分が高揚します。元々、体育館の方が断然優位なのですから、体育館でやればよいと思います。

2 組体操を廃止する

運動会は小学校の一大イベントであり、組体操は運動会の一大プログラムであると言えるでしょう。ここにメスを入れることによって、「聖域なき業務改善」への意識づけになるかもしれません。指導にも事故防止対策にも大きな負担を要する組体操は、廃止した方が良いと思います。組体操の廃止に関しは、廃止までの道のりの紹介を記した記事がありますので、下記↓リンク先をご参照ください。

組体操を「廃止」に導く ~事故リスクの回避

3 音楽会を見直す

音楽会を毎年開催している自治体にとって、「音楽会を取りやめる」とか「音楽会を改革する」とかはとてもじゃないけど言い出せない雰囲気があると思います。大規模校は楽器の数に限りがあるため、誰に何の楽器を演奏させるかにも気を遣います。保護者の不満が出ないように長々とオーディションを行っている学校も結構ある事でしょう。クラスごとに参観日に音楽会をすれば、時間的な制約や体育館という場所の制約を受けずにわりと好きな楽器を子供たちに選ばせてあげることができます。体育館に楽器を運んだり椅子を並べたり、観客の移動に悩まされたりする必要がなくなります。実際にクラスごとの音楽会をして、保護者から涙が出るほどの好評を得ている学校もあると聞きます。音楽室という狭い空間であれば音の反響もよく、気を満たすことも体育館よりもずっと容易にできます。

4 スポーツ活動を見直す

スポーツ活動は体育会系教員が仕切っていることが多く、強固な縦社会の中で守られてきた「聖域」に手を付けることはかなりのエネルギーを要するかもしれません。スポーツを通して子供たちの心身の健全な発達が必要である一方で、スポーツ活動のために過大な時間を割かなくてはいけない現実は見直してゆく必要があると思います。

5 卒業式を見直す

卒業式は一生に一度の節目のイベントであるから時間と手間をかけなくてはならないという想いに駆られて、ついつい業務が長大化しやすい傾向があります。入場前に思い出のビデオを流したり、掲示物に凝ったりしてなんとかして盛り上げたいと思う気持ちはわかりますが、大切なのは保護者や教師の気持ちの盛り上がりではなく、子供たちの気持ちの盛り上がりです。一旦、枝葉を取り除いたシンプルな卒業証書授与に戻るのもよいのではないでしょうか。

小学校では「呼びかけ」という形でストーリー性のある台本を作って一人一人で、あるいは全員で何か言わせる形が多く見られます。ひとつのショーにするために、順番を守ってはっきりと大きな声で「呼びかけ」ができるようにするのにはけっこうな練習が必要となるため、卒業間際にかなりの時間を費やすことになってしまいます。

それほどストーリーを作りこまなくても卒業証書をもらう前に、何か一言、話をさせればそれでいいような気がします。大声で絶叫するのもOKだし、マイクを使いたい子供にはマイクを使ってしみじみと語らせればよいのではないかと思います。

6 授業のフォーマット

授業の形のフォーマットも大事だと思います。どの教師の授業でも同じ形で進めることができていれば、子供たちが混乱しないし、教師も楽です。ノートの書き方(=板書の仕方・・・日付やめあて)も統一しておくとよいと思います。勿論、何でもかんでも統一すると教師は窮屈になるので教師の個性は大事にすればよいと思います。スタンダードを作っておき、そこから外れるのは「自己責任で」ということにしておけば気が楽だと思います。

7 授業改善

業務改善において、本務である授業の改善が大きなウエイトを占めていることは言うまでもありません。あまりこのことについて書くとテーマが大きすぎて長くなるので、EDUPEDIA全体にたくさんのヒントがありますので、下記リンク先等、色々なページをご参照ください。

日常的に学級を公開する ~日々、研修

上記リンク先では、学校を挙げての研修も大事であるけど、一方で日々の授業をどうするかという事も大事であることを記述しています。授業の参観や教室への入室を基本的にはフリーにして、お互いが学び合える状況を作っておきましょう。

8 学級経営改善

学級経営も教師の本務であり、これもまた業務改善において大きなウエイトを占めています。そしてこれもまた、テーマが大きすぎて長くなるので端折ります。EDUPEDIAでキーワード検索をしてみて下さい。
学級経営に関連する記事

9 生徒指導改善

これも大きなテーマです。EDUPEDIAでキーワード検索をしてみて下さい。
生徒指導に関する記事

10 マスト(最低限やらねばならない事)の絞り込みと共有・チェック

教育において理想を語りだすと無限に広がっていき、とりとめもなく業務が増えていきます(そして現在のような超多忙化に陥った)。そこで、どの教師も最低限しなくてはならないことを書き出します。書き出すことがあまり多くなると守ることができずに絵に描いた餅となるので、できれば具体的な項目を15ほど厳選します。「○○小学校スタンダード厳選版」などと命名し、年度初めに「これだけはやり抜こう」と職員全体で共有します。年度途中、少し余裕がある夏季休業中に一度各項目を自己評価し、年度末にも再び自己評価、できなかった項目について「何故できなかったのか」「どうしたらできるようになるのか」を検討します。これを何年か続け、定点観測していけば教師に最低限の指導力が身に付き、最低限の指導が網羅的に児童に行きわたるようになるため、授業・学級経営・生徒指導がシュアな業務となってゆきます。教育目標・重点目標では表現しきれない具体的な目標とイメージしてください。例えば、

◎ ノートに日付とページとめあてを書く
◎ 黙々清掃をする
◎ 退勤までに教室の机・椅子が整頓され、床にゴミが落ちていない環境を作る。
◎ 線を引く時には定規を使う
◎ 下敷きを敷く

等々です。できているようでできていないことをピックアップするといいですね。
校務分掌の中にこの業務(絞り込み・共有・チェック)をする係を設置しておくといいですね。「絞り込み」に関しては下記の記事も是非ご参照ください。

スタンダードを作って具体的な目標を絞り込み、共有・徹底する

11 家庭訪問を見直す

昔は玄関で靴を脱いで子供が勉強している部屋にまで上がりこむような教師もいましたが、今の時代、そういうのはアウトな気がします。そこまでしないにしても、家庭訪問によって担任が感じ取る「家庭の雰囲気」は後々の指導に生かされる部分が大きいと思います。玄関先に立つだけで、何かが噛み合っていないなという直感が働くことがあります。しかし、それでも、家庭訪問のために時間を費やすのは教師にとっても保護者にとっても負担であると思います。時間を考えてコースを組んでいると時には1軒のために校区の端から端まで歩かねばならない時もあります。

家庭訪問は家の場所を確認(安全や緊急時の対応のため)するだけの業務にして、早いうちに個別懇談を組んで保護者との対面を果たすという形に変えてしまってもよいのではと思います。

12 通知表を見直す

通知表(あゆみ)は必ずしも発出しなくていいことを知っていますか?通知表を出すか出さないかは実は学校の判断にゆだねられています。指導要録が必須であるため、通知表も必須であるように思いこんでいるかも知れませんが、適正な評価をしている限り、出さなくても問題はありません。実際、通知表を出さない学校があったことを何件か聞いたことがあります。長い時間をかけて総合評価や所見を書くことに本当に意味があるのかどうか、考え直してみる価値はあると思います。例えば算数で「コンパスを使って円を奇麗に書く」ことと「筆算を正当に導く」といった2種類以上の内容の技術を、観点別評価としてまとめてひとつのの「技術」の評価として算出しています。様々な評価の内容があるというのに4観点(新学習指導要領では3観点)にまとめてみる必要が本当にあるのでしょうか。さらに評定ではこの4観点をさらにひとつにまとめて3段階で表現しています。これについても、まとめる作業に本当に意味があるのかどうかは再考してみてもよいのではないでしょうか。児童や保護者に伝えるべきことは、「コンパスをどれくらい上手に使えるようになったか」「筆算の正答率はどのくらいか」という個別の内容ではないかと思います。学校がたくさんの項目のデータをこねくり回して総合的な評価として観点別評価や評定を算出するより、個別の項目のデータそのものを渡した方が親切だと思いませんか?
学期末、「やっと休みになる」と思っている所に総合的な評価をもらって嬉しいのは成績優秀な層と、成績が大きく伸びた層でしょう。評価を「君の能力はこれぐらいだ」という烙印を押すような形で行うのは良くないと思います。それよりも、何か実践をするたびに、「今の力はこのくらいで、ここを頑張ればよくなるよ」ということを指示してあげる方が親切だし成長を促すことができると思います。PDCAのCで止まるのではなく、普段のPDCAサイクルが働くような形態が必要なのだと思います。

13 次年度への引継ぎを各部署・学年で行い、アップデートしてゆく

学校では校務分掌(あるいは担当学年)が年度毎にけっこう大きく変わってしまいます。業務改善的には、同じ教員が慣れた仕事を担当する事が効率的で、あまり変えない方が良いように思えます。一方で仕事の平等性や、たくさんの仕事を担当することで視野が広がって成長するという効果を考えると、様々なポストを経験することはあながち悪いとも言えません。
校務分掌が変わった際、新任の者にとってはそのポストの仕事がどういう内容であったのかわからず、戸惑う事が多いですし、前任の者にとっては新任の者に引き継ぐ手間がしんどいという状況が発生します。特に前任の者が他校に異動してしまった場合、新任の者が困り果てるというケースが見られます。
そこで、必ず前任者が引継ぎ書類を残すというルールを作っておきます。

① 近々に行わなくてはならない業務
② 時節ごとに行うべき業務
③ 年間を通じて行うべき業務
④ 留意点・問題点・課題

等を書き上げ、ネット上で共有できる場所にファイルを格納しておけば、初年度はたいへんであっても、その次の年からはそのファイルをアップデートしていけばよいだけですし、アップデートによって仕事のやり方も洗練されてゆくはずです。

14 ネームカード(ネームプレート)を統一して次の学年に引き継ぐ

毎年のように机に貼るネームカード、黒板に貼るネームカードを作っていませんか。学校で様式を統一しておけば、年度がわりで持ち上がって使うことができます。

15 挨拶のフォーマット

挨拶指導はどこの学校でも重要視されています。しかし、残念なことに挨拶が上手にできる子供がなかなか育たないという声も多いです。年度がかわっても、担任以外の教員と接する時でも、子供たちがいつも同じフォーマットで挨拶をするようにしておけば指導が統一され、教員も子供もお互いに楽です。下記リンク先をご参照ください。

しっかりと挨拶をさせるために(学級編) ~子供たちの「面倒くさい」に負けない

16 ノートのフォーマット

担任・教科担任によってノートの取り方がバラバラではないでしょうか。例えば算数で筆算をノートに書かせるときのルールをどのように指導していますか?筆算は2年生から5年生まで繰り返し出てくる単元です。担任によって書かせ方がいちいち違うと、子供もルールを守らなくなってきます。校務分掌の算数部で話し合い、筆算の書かせ方をスタンダード化したプリントを作って共有しておけば、子供たちが混乱せずに学習ができます。
他の教科でもノートの書き方のフォーマットを作ってスタンダード化しておくとよいと思います。
スタンダードであるので、「どうしても独自のルールでノートをとらせたい教師は自己責任で指導しても良い」という程度の「緩さ」であっていいと思います。

17 口頭で伝達せず、メモを渡す、デジタルで伝える

情報化社会がこれだけ発達しても教師の業務は依然アナログの部分が多く、例えば誰かにちょっとしたことを伝える時でも仕事中は口で伝えることが多いです。口で伝えられたことを全部覚えておき、伝えられたことに適切な処理ができるのはかなりワーキングメモリの容量が大きい教員です。私はワーキングメモリの容量が小さいので、伝えられていたことに対する処理が遅れたりできていなかったりしてよく冷や汗をかきます。
口頭で伝え合う学校文化を廃し、何か人に伝えたい時には伝える側が発信者責任を感じてせめてメモを渡すよう、習慣づけていく必要があると思います。

18 発信者責任

前の項で「発信者責任」について言及しましたので、もう少し詳しく書きます。人に何かを伝えたい時には、伝えられる側が気を遣うのではなく、伝える側が気を遣う事を原則にしましょう。いつまでに、誰に、何をして欲しいのかということをはっきりと具体的に伝えることは、発信者の責任です。

19 書類に署名する

「発信者責任」についてもう一つ。何か文書を発出するときに、文書のはじめに「文責:山田」等と明記しておきます。そうすると、後にその文書を見た人が文書を書いた人に何か質問をしたい場合などに、誰が書いたのかがすぐにわかって便利です。文面に責任を持つという意味でも、署名は有用だと思います。

20 留守番電話

勤務時間が終わってからかかってくる電話が多いのも学校の悩みの一つです。9時を過ぎても平気で明日にすればよいような要件の電話がかかってきます。自治体によっては統一して電話に出る時間を決めたり、留守番電話に切り替えたり、業務終了のアナウンスを自動音声で流すことに決めていたりするようです。こうしたことは各校任せにしないで、委員会単位で対処してほしいものだと思います。できれば委員会がコールセンターを設けて急を要する案件等に対しては自動音声で切り分けて受け付け、本当に緊急の場合のみコールセンターから学校へ連絡を入れる仕組みを作って欲しいものです。

21 個人情報の保護を簡易化

個人情報の保護の重要性がたびたびアナウンスされることで、学校は過敏になって対処に追われるようになってしまいました。私の勤めたある学校では健康診断の身長体重を記入した用紙さえ封筒に入れて返すようにしていました。2つ折りにして渡せばそれで済むことにさえ過剰に対応するのはいかがなものかと思ってしまいます。本当にそれほど過剰に対応すべきことなのかどうかを見極める習慣を身につけていくべきだと思います。

22 忘れ物を取りに来る児童への対応

忘れ物を取りに来る児童に対応する時間も、勿体ないです。学校全体で、「安全面も考えて忘れ物をしても取りに来ないように」とアナウンスしておくとよいと思います。

23 応募への対応

夏休みが明けると絵や工作や書道の作品、理科や社会の調べ学習等のコンクールへの出品にかなりの時間を割かれるようになりました。昔はこんなことはなかったのに。
市や地域が主催するイベントの仲介もなぜか学校がしなければならないような募集のかけ方になっていることが多いです。
多種多様な組織が学校に児童生徒の作品の提出やイベントへの参加、組織への入会を求めて応募要項を届けてきます。これらにいちいち対応していては本当に身が持ちません。教育委員会が主催しているわけでもない○○大会・○○コンクールの応募に学校が仲介をしなければならないような仕組みがおかしいのです。基本的に応募をかけたければ家庭に向けて直接やり取りができる形にしてもらうように、タフに交渉していきましょう。
図工作品など、応募したければ保護者がスマホで撮影して主催者に送れば済むことだと思いませんか?

24 ICT化の推進

業務改善にはICTの活用がたいへん効果的です。ICTスキルを上げるにはそこそこの時間がかかりますが、業務の効率化・情報の共有をすることは業務改善を大幅に推進させることとなると思います。一人一台のパソコンが導入されるようになって久しいにもかかわらず、いまだにショートカットキーの使い方すら身についていない教員は多い(しかも若年層がけっこう使えない)です。是非、ICTによる業務改善研修を開いてスキルアップを図りましょう。具体的な業務改善に関しては、別の記事に詳しくアップしていこうと考えていますので、下記リンク先をぜひご参照ください。

学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編

25 情報の共有

学校はたくさんの情報が流れる場所です。児童生徒の情報は勿論のこと、職員間で共有すべき職務上の情報はたくさんあります。にも関わらず、情報の共有が上手くいっていないのが現状です。情報を上手に共有することによって仕事が効率化する事は勿論のこと、大事な情報をみんなが掴めていることによって安定していく部分も大きいと思います。作成した書類は次年度に引き継ぐなど、やるべき事は多いです。ICTによる共有もどんどん進めていくべきだと思います。

学校の多忙化」の改善(業務改善)4 ~具体的な業務改善のアイデアICT編

26 教科担任制の導入

小学校では担任が全教科を担当することが前提になっています。6年生であれば国社算理英家体図道総と、多岐にわたる教科のたきにわたる単元の授業準備と教材研究をしなければなりません。そこで、学年間で授業交換をし、教科担任制を導入します。授業準備・教材研究に集中でき、授業のクオリティーを上げることができると同時に、他のクラスの様子を知る事にもつながます。将来的には、学級担任を設けず、学年スタッフという形で学年の教員全員が全学級を見るという方法も考えられなければならないと思います。さらに、学級という枠組みをなくして随時グループを組んで学習するという形態も取り入れられてよいかと思います。いずれにしても教員数を増やさなければ実現は難しいですが。
算数と国語・理科と社会は交換しやすいですし、道徳や総合を単元ごとに分担する方法もあります。下記リンク先↓に詳しい記事がありますので、是非ご参照ください。
小学校での教科担任制
総合的な学習の時間を分担する
道徳の時間を分担する(単元担任制)

27 業務改善の見直し

業務改善そのものの仕組みを見直す必要は絶対に必要です。これは、学校レベル・委員会(自治体)レベル・文科省(国)レベルの、それぞれのレベルで考えられなければならない課題です。ここ数年で学校や教育委員会・文科省には、業務改善の担当部署が設けられるようになっていると思います。これらが本当に機能しているのかどうかをチェックしなければなりません。業務改善の担当部署に業務改善を推進に反対の立場の職員が半数以上いると、まず全うな業務改善はできません。各学校であれば、業務改善委員会に管理職が入っていると、推進が難しくなります。委員会であれば、ほぼ全員が管理職の立場と同じであるわけですから、職員に楽をさせたくないという意識が働きやすいです。場合によっては外部人材を招く必要があるでしょう。そして業務改善の各施策によってどれくらいの効果が出ているのか、検証することが必要でしょう。

特に現場においては、管理職の振る舞いによって教員の業務が膨張してしまうケースは多々あります。管理職に対する「全職員」による360°評価を導入し、業務改善が進んでいるかどうかをチェックしなければ、いつまでたっても賃金不払い労働状態は解消されないでしょう。

職員室の雰囲気が悪い~「職員室の学級崩壊チェックシート」付 | EDUPEDIA

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