先生の研修の形〜鴨居中学校の取り組み例〜

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作成者: 横田 (Edupedia編集部)さん

1 はじめに

本記事は、2019年4月12日に行われた横浜市立鴨居中学校自主研修会の内容をまとめたものです。株式会社サンケイエンジニアリングの笠原久芳代表が講師を務められ、「セルフマネジメント」をテーマにタイムマネジメントや業務の進捗管理、組織内コミュニケーションについてお話されました。

  • 学校から出て、民間の企業を訪問し、そこで働く人から生の声を聞くこと。
  • 学んだことを日々の業務に活かすこと。

を目的として企画された研修会の内容を、ぜひご覧ください。

こんな方におすすめ

  • 教員のスキルアップに取り組む管理職の先生
  • 仕事の効率化に取り組みたい先生
  • 学校の外から学びを得たい先生

2 研修会の内容

目的設定の重要性と今回の目的

それではみなさんよろしくお願いいたします。まずは、今回の研修会の目的と目標を決めたいと思います。何かを始めようとするとき、目的は何か、目標はどこか、何を目標達成の指標とするか、ということは必ず決めておかねばなりません。そうしないと、仕事をする中で全く違う方向に動くメンバーが出てきてしまいます。
今日の目的は、「民間企業の仕事におけるものの考え方を知る」ということにさせてください。目標は、「日常的に自分たちが仕事をする際の考え方と、企業のそれとの違いを理解する」ということにいたしましょう。そして、成果は「その違いを明確に文章化できること」と決めましょう。

ここからは、民間企業、特に私の会社で、どのようなことを意識して仕事をしているのかをお話しいたします。

仕事の基本

仕事をする際の1番の基本は、「誰が」「何を」「いつまでに」するのかということを決めることです。その上で、メンバーの役割をはっきりさせ、責任の所在を明らかにします。この2点を、メンバー同士で確実に共有しておくことが必要です。

↓明確にすべき役割の例

指示系統について

また、指示系統を明確にすることも大切です。仕事をする上でよく起こるのが、関係外の人が善意で口を挟む、アドバイスをするということですが、このようなアドバイスは無視しなければなりません。なぜなら、関係外の人はそのプロジェクトに対して責任がなく、責任がない人を指示系統に入れてしまうと、混乱が起きてしまうからです。関係外の人のアドバイスに対しては、「アドバイスとしていただきます」と一言返しましょう。また、アドバイスをする側も、そのアドバイスを採用するかどうかは実働メンバーの責任だ、ということをあらかじめ明示するようにしましょう。

コミュニケーションについて

多くの人が、仕事において「コミュニケーションが取れない」ことを問題視しています。しかし、メンバー同士が異なる背景、思いや認識を持っている以上、完全なコミュニケーションをとることはそもそも不可能です。ですから、意思疎通をする際には思い・思い込みといった感情的な要素を徹底的に排除して、事実のみに焦点を絞ることが大切です。さきほど触れた目的・目標・成果は、この意思疎通の土台となる事実の1つです。

1つ事例を挙げましょう。先日、AさんがBさんに頼んだ仕事をBさんがしておらず、Aさんが怒ったということがありました。AさんはBさんに頼んだと思っているし、Bさんは頼まれていないと思っているわけです。お互いの認識に相違があるわけですが、ここでいう事実とは「両者の認識が違った」ということです。そして、感情を排してこの事実を見ると、双方の確認不足が原因で、仕事を頼む際、受ける際にはアウトプットを確認しなければならないということが導き出されるわけです。

モチベーションについて

仕事がうまくいかないとき、「モチベーションが足りない」ということを理由にする人がいます。ところが、モチベーションがあるとき、つまり気が乗ってるときというのは、人生全体のごく一部にすぎません。ですから、プロとしてお客さんの希望に応えるためには、モチベーションがなくても仕事ができなければならないのです。

そのためには、やる気がなくても行動できる仕組みが必要です。「誰が」「何を」「いつまでに」という仕事の基本を確実に設定しておくと、人間はそこに向かうようにできています。目標と、そこに向かうための行動のプロセスが明確だと、モチベーションがなくても行動できるのです。そして、実際に目標を達成すれば、達成感を感じて新たに行動するモチベーションにつながります。

タスク管理のコツ

ここまで仕事をする際に意識すべきことをご紹介してきましたが、ここからは実際にタスクを管理する方法について見ていきましょう。

個人のスケジュール管理

メンバー個人の仕事を管理する際には、1人1人の仕事内容が誰にでも見られることが大切です。従来は、仕事が早く終わった人が他の人を手伝うということがありませんでした。なぜなら、他の人がどれだけの仕事を抱えていて、どのような状況なのかが分からなかったからです。ところが、下のようにそれぞれのメンバーが現在抱えている仕事を誰でも見られるようにすると、メンバー同士で手伝い合うようになりました。

<イメージ図>付箋により、誰がいつどんな仕事を持っているのか一目瞭然です。

プロジェクトの進捗管理

チームで動くプロジェクトを管理する上では、仕事の行程をパターン化して、進捗状況の予定と実際を可視化することが大切です。そうすることで、遅れている部分がすぐに確認できて、担当者に「ここが遅れているけどどうして?」ということを聞きやすくなります。結果として、速やかに対策を打つことができ、仕事の質が上がります。

<イメージ図>

KPT方式

日常的に問題点を抽出し、対策を打って継続するサイクルを回すために、KPT方式というやりかたがあります。まず、何か問題が起きたら付箋に書いてP(problem)の欄に貼ります。そして、その問題への対策を講じたら、対策を書いた付箋を重ねてT(try)の欄に移します。最終的に、講じた対策が適切で、これからも続けていこうとなった時点でTにある付箋をK(keep)の欄に移します。Kに移されたものは、マニュアルに反映してから破棄します。

<イメージ図>
これを行うことで、コミュニケーションが促進されるのです。他のメンバーがどういうことを問題として捉えているのか、どんな解決策がいいと思うのかを簡単に確認できて、そして最後Kに移す段階では全員が新しい解決策の導入を合意しているわけです。

アナログ式の大切さ

ここまでいくつかの工夫をご紹介してきましたが、どれもホワイトボードに付箋を貼るという非常にアナログなやり方をしています。現在ではデジタルなタスク管理ツールもたくさんあると思うのですが、それらよりも付箋の方がわかりやすいのです。デジタルなものはパソコンやスマートフォンを開かなければ見れませんが、付箋であれば何もしなくても目に入ります。これがとても大切なのです。

3 編集後記

こうした研修会などによって企業の考え方に触れる機会を設けるのは、ともすれば閉鎖的になりがちな学校にとって肝要なことであると感じました。教員の働き方改革の重要性が叫ばれる中、企業のノウハウはもっと活かされるべきだと思います。
(取材・編集 EDUPEDIA編集部 横田)

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