クラス運営が上手くいき、主体的に動く生徒を育てるための関わり方とは?

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作成者:佐藤 匡昭さん

1 はじめに

僕が初めて担任をもったときのことを振り返ると、「理想と現実のギャップは激しい」ということです。学級目標や行動原則を掲げても、生徒はその通りに行動しない。いくら伝えても、自分の理想通りに生徒は進んでくれません。

僕は大いに悩みました。コーチングやコミュニケーション術にヒントがあるのではないかと思い、勉強しました。そして実践しました。つまり、トライ&エラーを繰り返してきました。

そこでたどり着いたクラス運営の仕方。そして、生徒が主体的に動いていくための関わり方。

この記事では、まず“注意しても言うことを聞かない理由”をご理解いただき、そのうえで生徒と信頼関係を築く原則をお伝えします。

上辺だけのテクニックでは通用しません。したがって、あなたの心に響かせ、僕の考えを自分事に落としていただくために必要不可欠な話です。

そのうえで、生徒と実際にどのように関わっていけば良いのか? ノウハウを提案します。このノウハウは、もしかしたら聞いたことがないかもしれません。

しかし、原則に基づいておりますし、僕自身が実際に教育現場で日々意識していることなので、あなたにも知っていただきご活用いただけたら幸いです。

また、最後に“Teacher’s Mental Work”と題した簡単なメンタルワークがございます。人は気づきを得ることで、自分事として受け止め新たな視点で物事を見ることができると思っておりますので、ぜひワークに取り組んでください。

2 なぜ、注意しても言うことを聞かないのか?

注意と命令では予想以上に通用しない

僕が学生時代の頃、そして今まで実際に教育現場で生徒を見てきて感じたことがあります。それは、注意や命令・指示では生徒は動かないということです。

むしろ反発を招いて、なかなか言うことを聞かない場合もあるのではないでしょうか?

僕は実際に失敗した過去もあります。あまりにも管理し過ぎたために、生徒の反発を招き、いくら怒っても言うことを聞きません。そうすると、僕自身もどうにかして言うことを聞かせようと、徹底管理しようとする思考に走るわけです。

しかし、これでは上手くいかないことは一目瞭然ですし、何よりも主体性を根本的から排除することになります。

なぜなら生徒たちは「先生に怒られるから、ちゃんとやろう」という思考になり、そもそも受動的動機によって行動してしまうことになるからです。

本当の狙いは違いますよね? 「先生に怒られるからやる」のではなく、例えば「クラスに迷惑をかけることになるからやる」という気持ちを芽生えさせることが狙いだったり、ちゃんと取り組むことで成功体験を積ませ、自信を育むことが狙いだったりするわけです。

クラスと言えど、個の集合体に過ぎない

僕自身が、「これは教育ではなくて飼育だ」と思ってしまうほど、威圧的指導をされたり見たりしてきた経験があり、非常に嫌な気持ちになった経験があるにも関わらず、同じようなことをしようとしている自分にはっとしたわけです。

それから、一人ひとりの生徒と信頼関係を築くことを目的として取り組んできました。そうするとどうでしょう。かつて、犬猿の仲と言えるほど対立していた生徒との関係が良好になり、気づけば相談されるまでの関係になりました。

また、生徒を信じることができ、学級委員に指示を与えることでクラスを任せることもできました。そして、注意しなくても指示が通るようになりました。

やはり、信頼関係を築くというのは世間では重要だと言われていますが、言葉以上に重要だと痛感しております。そして、失敗することを前提に生徒を信じて任せることで、主体的に動くようになっていきますし、僕自身の思いや助言が生徒の心に響きやすくなりました。

3 信頼関係を築くために必要な原則

生徒と信頼関係を築くために必要なこととは何でしょうか? まずは、原則を理解してください。原則を知らずして、“関わり方”という名のテクニック的なことを実践されても上手くいきません。

相手は生徒であり、人間です。相手を思い通りにコントロールしようとすると、不思議と悟られてしまい、逆効果になり兼ねません。

では、僕が考える生徒と信頼関係を築くための原則は何なのか? それは“気持ちを分かってあげること”です。つまり、関わる時には常に、生徒の気持ちを理解しようという姿勢でいるということです。

この姿勢や気持ちがないと、生徒は聞く耳も持ってくれません。

しかし、言うは易く行うは難しですから、このような姿勢をもつためにどうしたらいいのか? コツをお伝えします。

例えば、全く言うことを聞かず、授業中も騒がしい生徒がいるとします。当然、教師も人間ですから、イライラするでしょう。しかし、その気持ちの状態では、生徒の気持ちを理解しようという姿勢にはなれません。頭では理解していてもです。

では、どうしたら良いのかと言いますと

「この生徒は授業で騒ぐことで、何を満たしたいのだろう?」

是非、この問いに対する答えを考えてみてください。

必要であれば、その生徒の環境も知ってください。

そして、もう一つ答えていただきたい問いがあります。それは

「あなたは、どうして教師になったのですか?

そして、教師になって、生徒たちをどうしたいのですか?」

あなた自身のミッションやビジョンを改めて考えてみてください。きっと、今までに気づかなかったことに気づけるはずです。

4 主体性を伸ばす生徒との関わり方

最後に、実際に生徒との関わり方についてご提案します。これは、僕自身が意識していることであり、実際に保護者面談においても、「子供がクラスが楽しいと言っている」と有り難いお言葉をいただいているほど、クラス運営にプラスに働くことでもあります。

あなた自身の心に響けば、僕の生徒との関わり方をご活用ください。

では、僕が何を意識して生徒と実際に関わっているのかというと

①傾聴&質問

②「どうしたい?」というクロージングクエッション

③一言ストローク

傾聴&質問

先ほどもお伝えしましたが、信頼関係を築くための原則は“気持ちを分かってあげること"です。そのためには、“傾聴&質問”が有効です。ここで大切なことはアドバイスは不要だということです。

仮にアドバイスしても、生徒は腑に落ちることは少なく、意味がないどころか「先生に話しても分かってくれなさそうだな~」ということに繋がることもあります。ですから、アドバイスは生徒から求められたときにするのがベストです。

アドバイスをしない代わりに、話を聞いてあげてしっかりと共感し、気持ちを引き出すために質問してあげる。その繰り返しで、生徒自身が一人で悩みを解決することもあるので、僕は生徒と話すときは傾聴&質問を土台にしています。

クロージングクエッション

クロージングクッションは僕が作った造語です。営業において、お客様に契約の決断を迫ることをクロージングと呼びますが、僕はその言葉を生徒対応に応用し、生徒が本当はどうしたいのかを聞きだす最終的な質問を“クロージングクエッション"と呼んでいます。

クロージングクエッションはとても簡単で「本当はどうしたいの?」と問いかけるだけです。

しかし、始めからクロージングクエッションをしても意味がありません。傾聴&質問をしてあげることによって、生徒自身が頭の中を整理していくことが前提でないと、クロージングクエッションをしても生徒は「分かりません」と返答するだけなのです。

指導者側のリードによってクロージングクエッションしてあげることで、悩みを解決していくためにどうしたら良いのか? 見える化できるので、生徒は行動しやすくなります。

一言ストローク

生徒と面談レベルで話すことがなくても、普段から一言だけ声をかけてあげることで生徒との信頼関係を築くことができます。それが“一言ストローク”です。

褒めることがあれば、それを伝えればよいのですが、なかなか頻繁にはありません。そこで、生徒の気持ちを言葉にしてあげて伝えることで、承認欲求を満たしてあげるのです。

例えば、ある生徒が楽しそうな顔をしていたら「今日も楽しそうだね~!」と一言声をかけてあげるのです。もちろん、声をかけるときはこちらも笑顔で。

そうすると、生徒はニヤッとします。

これが教師と生徒の心の距離を縮めていくのです。「教室に入り、一日3人に一言ストロークしよう!」と目標を掲げて、楽しい気持ちで実践してみてください。生徒は怒られ慣れていることはあっても、褒め慣れていたり、認め慣れているということはほとんどありません。ですから、一言だけでもプラスの言葉を投げかけてあげると、生徒はとても喜ぶのです。

5 まとめ&Teacher’s Mental Work

昔は、罰や命令による生徒指導でも通用したかもしれません。そして、その指導によって教育された生徒は、社会でもやっていけたかもしれません。

しかし、今の時代、罰や命令によって教育され、指示待ちでしか行動できない人は社会では活躍できにくいのが現状だと考えています。そもそも、罰や命令によって指導しても生徒は言うことを聞かなくなっているというのが、現状ではないでしょうか?

だからこそ、信頼関係を築くことが大前提であり、そのためには相手を理解してあげることが求められるわけです。先ほど挙げさせていただいた2つの質問に答えることで、あなた自身の心に変化が起こり、クラス運営が飛躍的に良くなるきっかけになれば幸いです。

Teacher’s Mental Work

「この生徒は授業で騒ぐことで、何を満たしたいのだろう?」

「あなたは、どうして教師になったのですか?

 そして、教師になって、子供たちをどうしたいのですか?」

6 著者プロフィール


佐藤 匡昭(さとう ただあき)
高校教師。
学校だけではなく、民間企業でも勤めてきた経験をもつ。「教育業界を変革すること」を信念に掲げ、数学を軸に勉強嫌いの子供たちの思い込みを外し、やる気と成績を劇的に上げてきた。保護者と生徒の両方からアプローチし、親子に〝自分を変える教育"を展開している。

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『勉強嫌い解決チャンネル』
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