俳句で子どもたちのイメージを膨らませる②(岡篤先生)

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目次

1 はじめに

本記事は、岡篤先生のメルマガ「教師の基礎技術~俳句実践~900号~907号」から引用・加筆させていただいたものです。

この記事は俳句で子どもたちのイメージを膨らませる①(岡篤先生)の続きの記事となっております。合わせてお読みください。

岡篤先生のメルマガはこちらを参照ください。→http://archive.mag2.com/0001346435/index.htm

2 実践内容

イメージを膨らませるための指導

秋桜子の鑑賞を読ませて、子どもの想像力の自己規制を取り払います。しかし、まだ感想文を書かせるには早すぎます。これで自由に想像を広げ、個性的な文章を書くことができる子どもは限られています。
そこで、想像するきっかけを設定します。これは、私が鑑賞文でよく使う俳句です。
親子してかがむ蒲公英(たんぽぽ)庭にあり
         山口青邨(せいそん)
これを使って鑑賞文の指導をします。
①季節について尋ねます。
「これは何月のことですか」と尋ねます。蒲公英は春の季語です。ただ、実際にはもう少し長く咲いているので、「3~6月」に分かれます。
②登場する「親子」について尋ねます。
「親は、父親ですか、母親ですか」
「子は、男の子ですか、女の子ですか。何歳ですか」
これをノートに書かせます。
③書いたことを確認します。
「父親だと思う人」
「女の子だと思う人」
「0才? 1歳? 」
というように、次々と挙手させていきます。
この時点でかなり意見は分かれています。自分の知識や経験に影響される可能性が高い傾向があるようです。
何月かが決まり、登場人物を決めればかなり各自のイメージはできつつあります。
④最後に「どんな庭でしょうか」と尋ねます
「広い庭」「小さい庭」「ブランコがある」「他にも草や花が咲いている」など色々出るはずです。ここまできたら、イメージを広げるきっかけには十分です。

文を書く指導

ここで「イメージしたことを書きなさい」と言うと、月、登場人物、庭の様子などを箇条書きのように書く子が出てきます。そのため、最後に「文」を書く指導をします。

箇条書きで終わらせないために、「イメージしたことを使ってお話をつくります」と言います。鑑賞文ですから、本来は「お話」ではありません。しかし、水原秋桜子の鑑賞文を読んで自己規制が取り払われたように、「お話を」の言葉で、箇条書きから文に変わる子が少なくないようです。

「お話」と言われても考えにくい子には「起承転結」を教えておくことで比較的考えやすくなります。登場人物や季節の設定は「起」で行うことになります。

実際の子どもの作品

①4年女子
鑑賞に使った俳句はこちらです。

オリオンを母に教えた冬休み       

12月の冬休み、10才の女の子と母親が外でオリオン座をみていました。女の子が「お母さんあの星がオリオン座だよ」と言いました。「よく知ってるわね。なんで知ってるの」「理科の授業でならったの。それでお母さんに教えるという宿題がでたんだ」お母さんが、「じゃあ、この宿題はかんぺきだね」と言いました。そのあいだに流れ星がながれました。        

前述のように、登場人物の設定などの指導をした上で書かせたものです。よくイメージを広げられており、作品の雰囲気にもあった内容だと思います。

②4年男子
これは、次の俳句を使ったものです。

親子してかがむ蒲公英庭にあり

4月に庭のたんぽぽを見ている親子がいました。その親子は、父と娘です。娘は15歳です。娘は、思春期でなやんでいました。庭のたんぽぽを見ていると父が来て相談にのってくれました。父も15歳くらいで思春期で悩んでいると、父の父がアドバイスをくれました。「このたんぽぽみたいにいたら大丈夫」と言ってくれたという話をしました。その話をきいて娘は立ち直りました。

■俳句の鑑賞文のよさ

私が俳句で鑑賞文をかかせる理由は、子どもの作品がとても個性的なものになるからです。文学だからこそ、読者が想像を広げる余地は大きくなります。

3 執筆者プロフィール

岡 篤(おか あつし)先生
1964年生まれ。神戸市立小学校教諭。「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会(略称学力研)」会員。硬筆書写と漢字、俳句の実践に力を入れている。(2019年6月25日時点のものです)

4 書籍のご紹介

『読み書き計算を豊かな学力へ』2000年

『書きの力を確実につける』2002年

『これならできる!漢字指導法』2002年

『字源・さかのぼりくり返しの漢字指導法』2008年

『教室俳句で言語活動を活性化する』2010年

5 編集後記 

本記事のようにイメージを膨らませ、文章にする際に様々な工夫を取り入れることで、子どもの想像力はさらに伸ばせるのではないでしょうか。俳句などの指導をされる際に、取り入れてみてはいかがでしょうか。
(文責・編集 EDUPEDIA編集部 福山浩平)

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