先輩に聞く!教員採用試験合格体験記!【その2】

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目次

1 はじめに

本記事は、2018年度の教員採用試験(高校・国語)で3つの自治体に合格されたAさんへのインタビューを編集・記事化したものです。教員を目指した理由から、具体的な試験対策のスケジュールまで、たくさんのお話を聞かせていただきました。

2016年に実施した第1弾もぜひ併せてご覧ください!

先輩に聞く!教員採用試験合格体験記!~①進路選択編~

先輩に聞く!教員採用試験合格体験記!~②教員採用試験対策(一般教養&教職教養)編~

先輩に聞く!教員採用試験合格体験記!~③教員採用試験対策(面接対策)編~

2 自己紹介

いつから教員を目指し始めたのですか?

大学1年生のときから教職課程は取っていたのですが、そのときは「取りあえず」履修していた感覚で、教員になろうとはそこまで考えていませんでした。

教職課程の授業やボランティア経験などを通して、自分の仕事が社会につながり、小さいところから社会をよりよく変えていける存在でもある「教員」という仕事の魅力に気付いたのが大学3年生の頃です。本気で教員を目指しはじめたのはそのタイミングですね。

教員になると決めてから、受験する自治体はどのように選んだのですか?

全部で3つの自治体を受験しました。そのうち2つは、地元の自治体と、通っていた大学のある自治体です。どちらでもない1つについては、

  • 試験日程
  • 教育観
  • 教育にどれくらい力を入れているか
  • そこで働きたいと思えるか

といった観点で選びました。

出題傾向はバラバラでしたね。模擬授業がないところや、題材が自由なところもあったので、少しは楽だったと思います。細かい違いはあっても、トータルで見るとそこまで大きな違いはないのかなと。学校インターン制度でお世話になっていたことが大きく、最終的には大学時代を過ごした自治体に決めました

志望校種はずっと高校でしたか?

そうですね。勉強や研究に関して、突き詰めていくのが好きなので、自分には発展的な授業が向いているかなと思いました。そういった意味で、教科の専門性が高まる高校の方が合っていると感じます。

ただし、中学校一種の教員免許も持っています。教育実習をした母校が中高一貫校だったこともあり、中高一貫校で働く可能性も考えて取得しました。中高一貫校は、6年間という長いスパンの中で、段階を踏んで指導していけることが魅力だと思います。継続して見ていくことで、高校卒業までに身に着けられる学力も変わってくるのかなと。

私学は考えなかったのですか?

考えていました。実際、教員採用試験が終わった後にも少し迷いました。私は「奉仕者」という言葉が自分のビジョンに合ってるために魅力に感じ、公務員の方がそういった側面が強いと思ったので、公立に絞りました。

あとは、私立の対策を考えている余裕がなかったというのも正直なところです。愛知県の私学適性検査も受けたのですが、適性検査の後にさらに個別に私立高校の採用面接を受けるのは体力的にも精神的にも厳しかったですし、なによりも採用自治体以上に自分に合うような私立高校を見つけることはできませんでした。

※私学適性検査…毎年8月に行われる、私立の教員を志望する人向けの試験。都道府県ごとに行われ、教職教養と専門教養の成績が各学校に送られる。(参考:愛知県の私学適性検査

今はどんな先生を目指しているのですか?

子どもたちが色々なことに挑戦できるような環境を作れる先生になりたいと思います。

教育実習では、自分の答えを隠す子が多くて、みんな間違いを恐れているなと強く感じました。しかし、今後の社会では、失敗を恐れずに何でもやってみることがとても大切になると思うので、子どもたちにそうした力をつけてもらえるような先生になりたいと思っています。「間違えることが普通」と思ってもらえる雰囲気の授業をしたいです。

3 採用試験対策スケジュール

1・2年生

  • 採用試験のための勉強や準備などはあまりしていませんでした。
  • 2年生の頃に学習塾の集団授業の講師をはじめました。
  • サークル活動に夢中でした。そのときの人との協働の経験が自分を作っていったと思います。
  • 2年生の終わりごろに学習ボランティアをはじめました。

3年生

4月~ 教職教養・専門教養の勉強を始める
    教職インターンに参加する(9月末まで)

11月~ 集団討論の練習を始める(2週間に1回くらい)
    小論文を書き始める(だいたい週に1本)

  • 4年生の時期は8月まで忙しいことを見越して、3年生から勉強の合間に大学の研究を進めておきました。
  • 3年生では基本的に知識のインプットに専念していました。

4年生

4月 教職インターンに参加する(9月末まで)
   集団面接の練習を始める

5月 教育実習(この期間は一切勉強できませんでした。)

7月 一次試験開始。専門教養と集団面接の練習を中心に。
   →一次試験終了直後、個人面接・集団討論の練習に力を入れる。

8月 一次試験結果発表→模擬授業の練習開始。
  (現職の先生方にもご指導をいただきました。)
   8月中旬から二次試験が始まる。

4 大学生活について

教職インターンではどんなことをしたのですか?

基本的には授業見学とTT(チーム・ティーチング)で、部活指導をやっている人もいましたね。教師力の向上という意味ではすごくいい経験になったと思います。このインターンには、大学を通して行かせてもらいました。

学習ボランティアについても教えてください。

大学2,3年生のときに聾学校でボランティアをしていました。介護等体験での縁ですね。小学部だったので、手話が出来なくてもコミュニケーションを取ることができました。高等部だと手話が必須になるので、自分の技術的にも小学部がちょうどよかったのだと思います。

ボランティアに参加するなかで、一人一人が抱える障害は決して一緒くたにできるものではない、ということを実感しました。支援を必要とする生徒一人ひとりをしっかり見つめ、「その子」が何を困難としているかを把握することが求められるということを学びました。このことは必ずしも障害児教育や特別支援教育のみに限定されるものではなく、一つひとつの学級のなかでも言えることではないか、と今になって思います。

新卒はやはり経験が足りないので、こうした学校現場でのボランティア経験は評価してもらえるように思いました。なかなか面接で話す内容にリアリティを持たせるのが難しいと思うのですが、経験を踏まえて話すことで、自分の教師力が少しはあるということをアピールできるのでオススメですね。

就活は全くしなかったのですか?

少しだけしました。民間企業のインターンは結構行っていて、教育系の企業と迷った時期もありました。しかし、私にとっては、システムの維持より教壇に立ってプレイヤーになる方が魅力的に感じたので、教員の道を選びました。もちろん直接子どもと関わる企業もありますが、自分が受けたところは結構システムを維持する側の企業が多かったので……。

3年生の秋ごろが一番迷っていましたね。インターンが終わった後に早期選考の枠をもらったりして、評価してもらえるなら……と揺らいだことはありました。教員採用試験一本に絞ると、講師(非正規)として働くことになる可能性も高いので。

5 教員採用試験(試験準備)

採用試験の勉強はいつ頃から始めましたか?

3年生のはじめからやっていましたが、結論としてはそこまでやる必要はなかったと思いました。自分は心配性なので、徹底的にやってもまだ不安で、記憶力にもそこまで自信がなかったので……3年生の秋からで十分だったと思います。

教員採用試験の模試も受けましたが、受験者数が少ないので、あまり成績は参考にならないかなと思っていました。ただし小論文は受ける価値があると思います。また、本番直前の最後の模試はかなり受験者数が増えるので、場慣れとして受けておくのもよいと思います。

勉強はどういった順番で進めていったのですか?

覚える量が多いと思って教職教養から始めたのですが、実際に聞かれるところは限られているので、過去問に一度目を通してから手を付けた方が効率的だったと思います。全く知らない知識も多いと思うので、ここに時間をかけるに越したことはないと思います。

一般教養は自治体によって難易度がかなり異なるので、私はそこまで対策しませんでした。専門教養は国公立二次より少し易しいくらいのレベルだったので、基礎的なところを押さえていれば大丈夫だと思いました。

模擬授業や集団討論の練習は友達とやっていましたね。もちろんペーパーの部分はある程度一人で勉強するわけですが、大学生だからこそできる対策かなと思います。

先生役は誰かにお願いしましたか?

キャリアセンターの先生に指導官としてついてもらっていました。学生の目線だけでは分からないことも多いので、特に最初のうちは見てもらうのが大事だと思います。対策を進めていくうちに観点が分かってくるので、途中からは学生だけで進めることもありました。メンバーは学部関係なく集まっていましたね。

教育課題を何か一つ設定して、みんなが調べてきたうえでディスカッションの練習をしていました。何もないところからいきなりディスカッションをするのは難しいので。

参考書のオススメはありますか?

とりあえず過去問を買うのがいいと思います。私が使っていたのはワークと参考書が別々になっている赤と青のものですが、参考書は何でもよくて、過去問中心で演習するのが大事かなと思いました。

受ける可能性がある自治体の過去問は全て購入しました。傾向は本当に自治体によって違うので、受けるなら絶対に買うべきだと思います。他の自治体を受けた友達と交換して、練習問題として解いたりもしましたね。

小論文の対策はどうしていましたか?

ひたすらキャリアセンターで添削してもらっていました。教育問題に対してどう考えているかを整理してアウトプットする機会なので、面接など他の分野にも生きてくると思います。教職教養もただの知識に見えますが、小論文やディスカッションにも生きてきました。

学生の目線だけというのは怖いので、管理職や教育委員会を経験した方のアドバイスを受けて修正していく必要がありますよね。最初のうちはどうしてもオブラートに包まなかったり、そもそも勘違いしてしまっていたり、理想論ばかり言ってしまうようなことがありました。

6 教員採用試験(本番)

本番で苦労した科目はありますか?

先ほどから出ていますが、集団討論ですかね。協調性を見られると言われていて、斬新な意見が求められるというよりは、相手の意見を引き出して、喋れていない人に振って、ということが重要と言われていて……しっかり回せるようになるまで大変でした。しかも、試験当日は初対面かつ年齢層がバラバラの講師の方も交えての討論になるので、練習したことは大して役に立たなかったです(笑)

本番は想定外のことが起きるので、練習したことにこだわりすぎないのも大事かなと思います。実際に教員になってもイレギュラーの連続だと思うので、ある意味で対応力を見られているのかな、とも思いましたね。

面接で「こんな質問されるんだ!」といったものはありましたか?

割と想定内の質問が多かったので、あまり困りませんでした。

一番困ったのは、聾学校でのボランティア経験を踏まえた、「なぜ特別支援学校にしなかったの?」という質問です。そもそも自分の学部では免許が取れないのですが、「将来的には免許も取りたいです」というような形で答えました。もちろん嘘をついてはいけないのですが、言い回しというか、表現で印象が変わってくるので、準備は大事だと思います。

また、大学の専門が教科内容と直接結びつきにくいものだったのですが、どう大学の勉強を活かすか、と聞かれたときは、「最近注目されているアクティブ・ラーニングと大学の研究はどちらも主体性・創造性といった点が重視されるため、自分のこれまでの研究手法を踏まえて生徒を指導していきたい」というような内容で答えていました。この回答だと抽象的な感じもあるので、自分の普段の学びをどう教育の実践の中で活かしていくかは今後も考えていきたいです。

これも自治体によって様々ですが、エントリーシートの内容を深堀りされるようなところもありました。あまり具体的に書きすぎると話すことがなくなってしまうので、ある程度余白を残した書き方にするのも1つのテクニックかなと思います。

7 おわりに

教員志望者におすすめの本はありますか?

ハッチンズというアメリカの教育者が書いた『偉大なる会話』という本は、人文系の学生には読んでほしい本ですね。あまり有名ではないですが、図書館にはあると思います。

人文系の学問を学ぶ意義のようなものが書いてあります。なぜその科目を教えるのかという軸がないと、ただ授業をこなすだけになってしまうと思うのですが、生徒がその科目で学んだことをどう人生に生かしていくか、といった話をするヒントにもなる本だと思います。

教採受験者へのメッセージをお願いします。

一つひとつの経験をしっかり整理してほしいと思います。ボランティアやインターン、実習などで得た経験を、自分の中で言語化しておくことはマストです。そういったものに参加する際にも、教採のためではなく、もっと具体的に意義付けをしていくと、将来的な教師力の向上につながるのではないかなと。頑張ってください。

ありがとうございました。

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