中3道徳「『俺の哲学』はどのように表される!?」(関東中高まなびプロジェクト) 第6回授業記事

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目次

1 はじめに

この記事は、NPO法人ROJE関東中高まなびプロジェクトが、2018年11月から2019年2月にかけて佼成学園中学・高等学校(男子校)の中学3年生4クラスで実施した、全8回道徳の授業実践についてまとめたものです。
中高まなびプロジェクトでは、中高生に教科学習に限らない幅広い学びを届けるために、大学生が中学校・高校に行き、さまざまな授業実践を行っています。その中で、今回記事化した活動は「佼成よのなか科」と呼び、生徒たちが自分らしさ(「佼成よのなか科」では、自分らしさを「俺の哲学」と名付けています)を見つけ、あるがままの自分を受け入れていくことを目標に活動しています。
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今回は、よのなか科2018 第6回の授業実践をお届けします。

  • 対象:佼成学園中学校3年 4クラス(約130名)
  • コマ数:8回(各回50分、最終回のみ80分)
  • 授業形態:個人作業中心

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2 【佼成よのなか科】授業の目的

第6回授業では、第5回「Orepedia~俺の哲学を創る・生かす~」第5回授業記事を踏まえて授業作りを行いました。Orepediaとは、自分自身に関する生年月日などの基本情報と、自分がこの先ずっと大切にしたい価値観『俺の哲学』や理想の将来像を記したものです。今回第6回授業の目的は以下の2点です。
・『俺の哲学』を成果物として残す
・成果物を作成していく中で、『俺の哲学』を再認識する

自分が人生の中で大切にしたい『俺の哲学』を、[小説のあらすじ]・[絵]・[四コマ漫画]、のうち生徒一人一人の得意な方法で表現してもらおうという授業です。

 よのなか科2018 第6回授業案

3 実践

今回の授業の流れは、以下の通りです。
 ①〈Orepedia記入内容の確認・修正〉
 ②〈成果物の作成方法選択・構想〉
 ③〈成果物の作成・完成〉

①〈Orepedia記入内容の確認・修正〉

前回第5回までに、『俺の哲学』を考え、それをもとに今回とりかかる作品のタイトルを記入しました。
とはいえ、進捗もそれぞれ異なります。『俺の哲学』を明確に言葉で表す段階からは特に、考えに詰まりなかなか記入に至らない生徒さんもいたのが実情でした。

それでも、今回の授業は基本的に個人作業が中心のため、それぞれに合わせたサポートをしながら、本当に自分が大切にしたい価値観についてじっくり考えてもらうことができる、というのがこの授業の進め方のポイントでした。
既に完成している生徒さんも、各々がこれまでに見つめ直してきた『俺の哲学』と作品のテーマを改めて照らし合わせ、よりよい作品づくりへと繋げてもらう時間となりました。

②〈大学生の例をもとに成果物作成方法を選択し、構想を練る〉

使用したワークシートはこちら↓

   よのなか科2018 第6回授業ワークシート

生徒さんに作成方法を選んでもらうにあたり、中高まなびプロジェクト内のある大学生の『俺の哲学』をもとに、それぞれの方法に反映させた例を提示しました。

        ↓

大学生スタッフ自身がテニス部時代、ライバルと切磋琢磨しながらもペアとして成長したり、顧問の先生と何度も衝突したりと、たくましく成長してきた過程を振り返る中で、自分の理想とする生き方を表した『哲学』です。
これを以下の方法で表現しました。

例1. [小説のあらすじ]

例2. [絵]

例3. [四コマ漫画]

 
「自分の『哲学』を目に見える形で表現するってどういうことだろう?」と漠然としていた生徒さん達も、この例を見て、過去の経験や身近な事象からストーリーを考えれば良いのだとわかり、「なるほど」と見入ってくれていました。

今度は自分の『哲学』と、そこから浮かべたイメージをもとに、作品づくりに取りかかります。

  
  
  

③〈成果物の記入・完成〉

説明の時点で、「四コマ漫画が一番表現しやすいかも!」と伝えてはいましたが、作品は人それぞれの形になっていきました。悩み込んで手が止まったり、お隣さんのワークシートをのぞき込んだりしている生徒さんには、大学生がサポートに入りました。

『俺の哲学』のもととなる経験や感情を具体的な言葉やイメージにできるよう、「これはいつの経験がもとになっているの?」「どんな場面でこの人間関係が大切だと思う?」などと質問をして、生徒さんの作品に繋がるような対話を心がけました。

生徒さんたちは、積極的に作品にとりかかる他の生徒さんの様子を見て、黙々と手を進めるようになっていきました。やはり仲間が真剣に取り組む姿というのは、人にやるよう言われるよりも良い刺激になったようです。

あるクラスでは、「ともに心から笑い合える」「素の自分を出せる」という人間関係を大切にしたいという生徒さんが多く、部活動や勉強に打ち込む姿を題材にする生徒さんも多く見受けられました。

生徒さん達も、得手不得手ありながらも懸命に取り組んでくれたため、これまでの学校生活でそれぞれが頑張ってきたことがわかる、個性の光る作品を次々に見ることができました。

ある程度作品が形になったところで、進度によって色を塗ったり、もう少し作り替えたりと、工夫を凝らしてもらいました。それぞれの作品が完成にさしかかったところで、今回の授業は終了。未完成の生徒さんにはお家での宿題としてもらい、「次回クラスメイトに『俺の哲学』はこれだ!!と披露するための準備をしてきてね」とお伝えしました。

4 ふりかえり

今回の授業の目的は、〈『俺の哲学』を表す成果物を創る〉、〈作成を通し、『俺の哲学』を再認識する〉でした。始めは生徒さんは自分の思いや真剣な気持ちを周りに見える形に表すのは恥ずかしく感じるようでした。しかし終盤にかけ、だんだんと自分の大切にしたい『哲学』を可視化し、作品に反映させてくれるようになると、大学生対生徒で、価値観について一緒に考えることが出来ているような実感がありました。

また、始めは周囲とあまり話さなかった生徒さんが、ワークを進めるうちに大学生とも同じ班のメンバーとも話すようになり、お互いの大切にしている物事について話し合う姿をうかがうことが出来ました。運営側としては生徒さんの本当の思いを少しでも引き出すことが出来たことにこの上ない喜びを感じました。

上記のように生徒さん自身が自分やお互いの考え方に興味を持ってくれるようになったことは、これまでの授業の中で生徒さんがじっくり考えてきたことの積み重ねの結果であると思います。続く第7回、第8回にかけて、自分について理解することができたと言ってもらえれば幸いです。
  
  
今回使用した授業案とワークシートのファイルはこちらです↓
授業案:よのなか科2018 第6回授業案
ワークシート:よのなか科2018 第6回授業ワークシート

5 関東中高まなびプロジェクトとは

 中高まなびプロジェクトでは、中高生に教科学習に限らない幅広い学びを届けるために、大学生が中学校・高校に行き、さまざまな授業実践を行っています。
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6 記事作成者の一言

この授業では、よのなか科をだんだん楽しむようになっていく生徒さんの様子が見られました。『俺の哲学』を通して考えた自分の価値観だけでなく、周囲の人の大切にしている価値観も認め、その中で更に考えを深めていくことの大切さを、大学生も改めて感じた回となりました。これからも、お互いの気持ちや考えを認め合える生徒さんたちでいて欲しいと願っています。
(編集・文責:関東中高まなびプロジェクト)

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