今さら聞けない! 学校で著作権侵害にならない4つのパターンとは?

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作成者:tsuda kaho (Edupedia編集部)さん

1 学校での著作権に関するこんな疑問、ありませんか?

「美術の時間に生徒がキャラクターの絵を描いているけど、本当は著作権の侵害に当たるのかな……?」

「運動会でJ-POPを流してダンスをしたけれど、本当は著作権者に許可を得る必要があるのだろうか……?」

ふだん学校現場に立っている中で、このような疑問を持った方はいらっしゃいませんか?

結論から言うと、今挙げた二つの事例はどちらも著作権法違反には当たりません。どうして著作権法違反に当たらないのか、みなさんははっきりと説明できますか?

この記事では、

  • 著作権とは何か
  • 著作権が制限される4つのパターン
  • 学校現場での著作権に関わる10の例

をご紹介します。

今さら人に聞けない、でも侵害するわけにもいかない「著作権」。この記事が、先生方のお役に立てば幸いです。

※本記事に登場する条文はすべて、
e-Gov法令検索「著作権法」(https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000048#2) より引用しています。
(最終更新:2021/2/12)

2 そもそも著作権って何?

著作権の目的は、著作権法第一条に以下のとおり定められています。

第一条 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

つまり、著作権とは

  • 著作物を公正に利用すること
  • 著作者の権利を保護すること
  • 文化の発展に貢献すること

を目的に制定された権利です。具体的には、

  • 公表権(著作物を公表する権利)
  • 氏名表示権(著作物に氏名を表示する権利)
  • 同一性保持権(著作物の内容を許可なく改変されない権利)
  • 複製権(著作物を複製する権利)
  • 上演権及び演奏権(著作物を上演したり演奏したりする権利)
  • 公衆送信権(著作物をインターネット等を用いて公衆に送信する権利)

など、著作権者にはさまざまな権利が認められており、これらの権利を第三者が侵すと「著作権法違反」となります。

3 著作権法違反にならない4つのパターンとは?

ところが、著作権者の権利が制限される場合、つまり上にあるような権利を侵しても著作権法違反とならない場合も存在します。とても簡単に言うと「著作権者に許可を取らなくてもその本をコピーできる」「著作権者に許可を取らなくてもその音楽を流してもよい」といったいくつかの例外が、著作権法の中には定められています。

その中でここでは、とくに教育現場と関わりのありそうな、4つの代表的なパターンについて、著作権法の条文を引用しながらご紹介します。

<著作権が制限される4パターン>
個人的に利用する場合
学校の授業のために利用する場合
試験問題として利用する場合
非営利・無料で上演する場合

※著作権が制限される場合は、実際にはもっと多く存在します。ここでは、とくに学校現場に関わりのありそうな条件だけをピックアップしてご紹介しています。

 ①個人的に利用する場合

第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

著作物を「私的使用」つまり自分のためだけに、あるいは家族の中だけで使うためにコピーすることは、著作権者に許可を取らなくても可能です。

 ②学校の授業のために利用する場合

第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

2 前項の規定により公衆送信を行う場合には、同項の教育機関を設置する者は、相当な額の補償金を著作権者に支払わなければならない。

学校の授業で使うために、教員や児童生徒が著作物をコピーすることは、著作権者に許可を取ることなく行うことができます。

なお、第三十五条に登場する「公衆送信」とは、インターネット等を通して著作物を送信することを指します。学校の授業で使うためであれば著作物をインターネット送信することも著作権者の許可なく行うことが可能ですが、第二項に記載されているとおり、この際には相当額の補償金の支払いが必要です。

この取り決めは、2020年より施行された「授業目的公衆送信補償金制度」に関わるものです。この制度に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 ③試験問題として利用する場合

第三十六条 公表された著作物については、入学試験その他人の学識技能に関する試験又は検定の目的上必要と認められる限度において、当該試験又は検定の問題として複製し、又は公衆送信(放送又は有線放送を除き、自動公衆送信の場合にあつては送信可能化を含む。次項において同じ。)を行うことができる。ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該公衆送信の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。

試験問題の中で著作物を使用する際に、著作権者に許可を取る必要はありません。

 ④非営利・無料で上演する場合

第三十八条 公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

音楽を演奏したり演劇を上演したりする場合、それが営利目的でなく、かつ聴衆・観衆から料金をもらわないのであれば、著作権者の許可を取る必要はありません。

※学校において著作権法違反にならない例については、文化庁のHPに詳しい内容がまとめられたパンフレットが掲載されています。

4 学校現場での著作権に関わる10の例

では、実際に学校での場面に落とし込んで考えてみましょう。以下の10の事例において、それぞれ著作権者に許可を得る必要はあるでしょうか?

 ①先生が自分の勉強のために雑誌の1ページをコピーするのはOK?

教育雑誌を読んでいたら、自分の授業に生かせそうなページを発見! 授業中にいつでも見られるよう、そのページをコピーして持っておきたい……。これはOKでしょうか?

答えはもちろん「OK」です。これは著作物を個人的に利用する「私的使用」にあたりますので、著作権法第三十条に示されているとおり著作権者の許可を得る必要はありません。

 ②市販の本をコピーしたものを先生が授業で生徒に配るのはOK?

市販の本の中に、授業で扱っている題材を補足できそうなページがあった! このページをコピーして生徒全員に配りたい……。これはOKでしょうか?

答えは基本的には「OK」です。著作権法第三十五条によれば、教員が授業で使用するためであれば、著作権者の許可を得ることなく著作物を複製することができます。

 ③生徒が調べ学習のために漫画本をコピーするのはOK?

社会科でテーマを設定した調べ学習を実施。すると調べた内容を発表するとき、生徒がテーマに関する漫画本のコピーを発表資料に貼っていた……! これはOKでしょうか?

答えは基本的には「OK」です。教員だけでなく授業を受ける側の児童生徒も、授業に利用するためであれば著作権者の許可を得ることなく著作物を複製することができます。

 ④オンライン授業の配信動画で教科書を映すのはOK?

ICT機器を用いたオンライン授業を実施中。授業をするときに、自分の手元の教科書を映しながら話したい。これはOKでしょうか?

答えは基本的には「OK」です。著作権法第三十五条に規定されているとおり、授業のための著作物の公衆送信(≒インターネット送信)は、著作権者に許可をとることなく行うことが可能です。

ただし、このように著作物を公衆送信するには相当額の補償金の支払いが必要です。この制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 ⑤授業で使用するために市販の問題集のコピーを生徒に配布するのはOK?

とてもよくまとまった問題集を見つけた、生徒のレベルにもピッタリ! 今度の授業ではこの問題集をコピーして配ろうかな……。これはOKでしょうか?

答えは「NG」です。確かに授業に使用するための著作物について著作権の制限を認めていますが、著作権法第三十五条には「著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない」という記述があります。問題集はそもそも生徒が購入して利用することが予想されているため、これをコピーしてしまうと著作権者の利益を不当に害すると言えます。

 ⑥美術の時間に生徒が既存のキャラクターの絵を描くのはOK?

美術の授業で「自分の好きなものを描こう」というお題を出したら、生徒がとある人気キャラクターの絵を描いていた! これはOKでしょうか?

答えは基本的には「OK」です。こちらも著作権法第三十五条のとおり、授業に使用するためであれば、キャラクターを含めた著作物の利用は著作権者の許可がなくても行うことができます。

 ⑦国語のテストの問題に既存の小説の一節を用いるのはOK?

国語の実力テストで、教科書には載っていない問題を出したい……。じゃあこの有名な小説を引用して問題にしてしまおう! これはOKでしょうか?

答えは「OK」です。著作権法第三十六条の示すとおり、試験問題に著作物を使用する際には著作権者の許可を得る必要はありません。

 ⑧運動会のダンスでアーティストの音楽を使うのはOK?

運動会のダンス、せっかくだからみんなが知っている人気のあの曲を使いたい! これはOKでしょうか?

答えは基本的には「OK」です。著作権法第三十八条によると、音楽を流すことが営利目的でなく、かつ無料である場合には、著作権者の許諾を得る必要はありません。

 ⑨授業で使うために先生がテレビ番組を録画し、授業で流すのはOK?

ちょうど授業で取り扱うテーマに関するテレビ番組が放送される! これを録画して授業のときに生徒に観てもらおう……。これはOKでしょうか?

答えは基本的には「OK」です。まず、授業のためにテレビ番組を録画することは、著作権法第三十五条に定められている「授業で利用するための複製」に相当するので、著作権者の許可を得ることなく行うことができます。また、録画したテレビ番組を生徒に鑑賞させることは、著作権法第三十八条に定められた「非営利・無料の上映」に相当するため、こちらも著作権者の許可を得る必要はありません。

 ⑩文化祭の劇で生徒がJ-POPの楽曲に合わせて踊った動画を学校のHPにアップするのはOK?

生徒が文化祭でJ-POPに合わせて踊った動画、とても雰囲気がよい! これを学校のHPに載せたら学校の印象もよくなりそうだ! これはOKでしょうか?

答えは「NG」です。楽曲を含んだ動画のアップロードは著作物の複製にあたります。文化祭で楽曲を流すこと自体は非営利・無料の行為であるため問題はありませんが、それを学校のHPへアップロードすることは授業で利用することを目的としたものではない複製と考えられるため、このケースに関しては著作権者からの許可が必要となります。

5 まとめ

ここまでの内容を、以下に簡単にまとめます。

著作権が制限される主なパターン
個人的に利用する場合
学校の授業のために利用する場合
試験問題として利用する場合
非営利・無料で上演する場合

☆ただし、どのパターンにも例外となる規定はあるため注意!

この記事では簡単なレベルの事例をご紹介しましたが、もっと詳しい情報がほしい方は、下に掲載する他サイトのリンクを参考にしてください。

6 関連記事

2018年の著作権法改正に伴い、2020年4月28日に「授業目的公衆送信補償金制度」が施行されました。これは、教育機関の設置者が著作権者の団体へ補償金を支払う代わりに、授業目的の著作物の公衆送信(≒インターネット送信)を個々の許諾なしで可能にすることを定めた制度です。これによって、インターネットを用いた学習を行う際に、著作物を教材として使用することが容易になりました。

ただし、この制度を適用するためにはいくつかのルールを守らねばなりません。この制度の概要と基本的なルールについては、以下の記事にて解説しています。ぜひ併せてお読みください。
オンライン授業での著作権について—「授業目的公衆送信補償金制度」をわかりやすく解説

7 参考リンク

「著作権法」e-Gov法令検索。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=345AC0000000048#2>(最終アクセス日:2021/2/12)。

「著作権に関する教材,資料等」文化庁。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/kyozai.html>(最終アクセス日:2021/2/12)。

「改正著作権法第35条運用指針(令和 2(2020)年度版)」著作物の教育利用に関する関係者フォーラム。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/pdf/92223601_11.pdf>(最終アクセス日:2021/2/12)。

8 編集後記

あいまいにされがちな著作権ですが、著作者の権利を守ることを子どもに教えるためにも、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
(文責:EDUPEDIA編集部 津田)

コメント
  • これだと 何でもOKだと勘違いされます 授業で使う限り何でもOKではありません いろいろ制限もあります ドリルでも、音楽会の曲でも、イラストも いろいろ制約は あるのです

  • Ii Tadata (12/22 21:35)

  • 実際問題、法的な事は難しくてよくわからない部分が多いです。個々の教員にとって個々の案件は難しい判断になりますね。でも、基本的に「著作者や配信元の利益を損なうことはないか」という優しい思考回路を持つことは、大事だと思います。

  • matui hiroshi (Edupedia編集部) (1/13 10:52)

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