休校措置 ~オンライン学習で何ができるのか(手始め編)

41

Googleアカウントでそこそこできる「簡単オンライン学習」


まず、筆者が筆者の家族とお試し(仮想)で「課題配布→回収→評価→評価結果の通知」をやってみた様子の写真↓↓↓です。Googleスプレッとシートを利用しています。簡単にできます。



実際どんなふうにGoogleスプレッとシートを使ったのかは、下のリンク先↓↓↓をからご覧ください。
提出と履修確認・評価・評価結果提示をやってみた
児童生徒とのネット越しの個別のやりとりを仮想(笑)しています。超ローテク、低スキルで実現可能です。
「仮想オンライン学習」ですが、「BYOD容認と(Google)プライベートアカウント使用の容認」があれば(されないでしょうが)、今すぐにでもできないわけでもありません。多分、容認してくれないと思うので、実際に児童生徒に対してやらないでくださいね。この取組みに関しては、#4で詳述しています。
さらに、「BYODの容認と公式(Google)アカウントの付与」があればぐっとオンライン学習は現実的になるのですが・・・。

#1 現状、公立ではすぐにオンライン学習を開始できない


コロナウィルス感染拡大によって学校現場も右往左往しています。GIGAスクールは残念ながら間に合っていません(2020/4/20現在)。前倒しにするという説もありますが、いくら機器やシステムの導入を急いだとしても、3カ月以内スタートさえ無理ではないかと思います。
その状況で、「オンラインで何ができるのか」と言われても、一般的な教員は「わからん。やったことないから。」と答えるしかないのが現状でしょう。筆者もよく分かっていません。だってやったことがないですから。
わからないので、「とりあえず授業動画配信を試みよう」とする動きもあるようですが、教室でさえ集中できない子供がグタグタの長尺授業動画を見続けるのは無理だと思います。(これについては#5の項をご覧ください。)
「Gsuitu for SCHOOL」「Teams(Office 365 Eduaction)」「教育向けZoom」などといったサービス(以降、「テレワーク for school版」と略称で呼びます)はあるようでが、これをすでにガチで児童生徒とのオンライン学習に使っている公立小中学校教員は1000人に1人もいないのでは?公立小中学校は「予算がない」「セキュリティーポリシーが厳しくて個人情報保護の壁がある」「リーダーが不在で意思決定が困難」「全体的にICTスキルが低い」等々、多くの事情(≒阻害要因)を抱えており、こうしたサービスをスピーディーに活用することはかなり難しいと思います。それで、「家庭訪問でプリント配布して、回収して、添削して、配布する」とかいう昭和的アナログ人海戦術を選択するような悲劇も起こっているようです。
私も特にスキルが高いわけでもなく、現場でこれらをどう活用すればよいのかは、薄っすら想像できる程度です。そこで、とりあえず、YOUTUBE動画で説明してくれているので、眺めてみましょう。
こちら↓↓↓は、本当にベースの部分を短時間で紹介してくれています。

こちら↓↓↓のYOUTUBEチャンネルにはたくさんの映像があります。
https://www.youtube.com/channel/UCGnCn2Ah_VDhrSuL6V7VT2A/videose
そのうちのひとつ↓↓↓、これは必見。


マイクロソフトはTeamsについて、公式の導入ガイドを映像付きで配信しています。ただし、おそろしく長いです。
「Microsoft Teams でオンライン授業をするための学習コース」を 12 本リリース

これら↑↑↑を閲覧して、なんとなくイメージができたとしても、実際に触ってみなければやはり想像の世界のままです。だから、子供に向けて実際にこれらのサービスを利用する前に、教師が経験としてやってみる機会は必要だと思います。私はTeamsを職場の教師間の「お試し操作研修」をやってみました。対児童はまだ環境が整わず、できていません。

#2 識者の解説を読んでみる


とにかくいろんな方が様々な立場からオンライン学習にかんして発信をしています。ICTに精通している識者の方々の意見は読んでおいて損はないでしょう。私にとって、豊福氏(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)や稲田友氏(NTTコミュニケーションズ)の記事↓は参考になります。
#1 休校要請にICTで対応する(豊福氏) 
#2 まず必要なのは公式IDの付与(豊福氏) 
"5/7以降も休校が延長するとしたら" 校長先生になった気で具体策を練る①(稲田氏) 
稲田氏は上記↑ブログで「本格的な「オンライン授業」までのステップ」の最初に、「教師同士で使う」を挙げています。早く「テレワーク for school版」のどれかを教員が使える環境を整えないといけませんね。

EDUPEDIAでも、下記↓↓↓の記事をアップしていますので、ご参照ください。
オンライン授業を設計するためのヒント【コロナと向き合う】

#3 教師の暫定的な役割は「課題提示→回収→履修確認→評価」そして「こぼれていく子供たちへのサポート(学力補償)」


私は、上記リンク先で稲田氏が記述されている
「③課題提示・回収 ⇒ 学習習慣」
の段階を教員が理解することが大事だと思っています。
2020/5/6までの非常事態宣言ですし、それ以降も自治体によっては非常事態が続くでしょう、学級閉鎖・休校の状況が頻発することも予想されます。学校側にオンラインを十分に活かす準備が整っていない、今後も整いそうにないのが現実でしょうから、新指導要領の開明的な「主体的・対話的で深い学び」の部分はもう少し後に置いておくのがよいでしょう。ひとまず読み書きそろばんをどうするのか、つまり最低限の学力保障が喫緊の課題であるように思います。非常時にいきなり教師のICTスキルや負担に依存する取り組みを始めるのは、間違いです。

この非常時に、最低限の学力保証をするために、教師がICTを活用して、暫定的にしなければならないのは「履修確認と評価、そしてこぼれていく子供たちへのサポート(学力補償)」であると私は考えています。

◎ 日々、課題を提示して与えてやっているかどうか、履修確認する。
◎ やった課題に関して励ます方向で評価する。
◎ オンライン学習についてこられていない子供や保護者に対して、技術的なサポートと学習面でのサポートを個別対応で行う

・・・とは言うものの、結局は「テレワーク for school版」の導入を自治体(教育委員会)や学校が決断しないと「たられば」の話になってしまいますね。これまでもICT導入積極派が夢見る「たられば」の話が消極派をうんざりさせてきた経緯があります。各校で導入を判断することは難しいと思いますので、ここは、非常事態でもあるので、各教育委員会で見切り発信を承認してほしいものです。その際には「個人情報の保護」「機器や通信環境の格差」「児童生徒間でのネットトラブルの防止」などについて、十分に注意する必要はあると思います。
併せて次の項でも述べるように、BYOD(Bring Your Own Device: 私物端末の業務利用)の容認もお願いしたいところです(児童生徒・教師側の両方に)。GIGAスクールの目指す一人一台環境が間に合っていない今、私物端末・私物回線の利用もやむを得ない状況であると思います。

#4 オンライン学習は、BYOD×公式(Google)アカウントで「そこそこ」できる


#3で述べたような「テレワーク for school版」の環境ではない場合の話をします。BYODが容認され、公式(Google)アカウントを付与してくれれば、この記事の冒頭で示したように、Googleアプリを使って<そこそこ>オンライン学習のマネ事ができてしまいます。
・・・「公式(Google)アカウントを付与」という言い回しは、正しくはないかもしれませんが、そこの説明は端折ります。
前掲したURLで豊福氏が主張されているように、文科省や教育委員会が学校公式アカウントを付与してくれれば、BYODによるオンライン学習はぐっと現実的になります。そして、前掲したURLで稲田氏が示される「③課題提示・回収 ⇒ 学習習慣」の部分で効果的を発揮するのです。
本記事冒頭の話に戻り、Googleの公式アカウントがなくても、プライベートアカウントがあれば簡単にマネ事を体験できるので、是非やってみて下さい。

ロースキル・ローコストです。あくまでマネ事の体験なので、実際に児童生徒に適用しないでくださいね。筆者が、筆者の家族とお試しで「回収→評価→評価結果の提示」をやってみた取組み(再掲:ここをクリック!)の手順と留意点は以下の通り。

(1)家族や友人とやってみてください。片方がPCで教師役に、もう片方はスマホで児童生徒役になってみましょう。
(2)プリントはネット越し、あるいは紙ベースで児童生徒に配っていると想定してください。
(3)Googleドライブ内でスプレッドシート(表計算アプリ)を開いて子供役と共有します。→→→ 子供役は撮った写真をスプレッドシートに貼り付ける・・・上記リンク先では小テストでやっていますが、普通に何かを写真で何かとってもらうでOKです。
(4)子供役が貼り付けた写真を先生役が図やテキストで評価します。ハートや矢印や短い言葉。簡単でいいのです。
(5)これだけです。シンプルですが、「配布→回収→評価→評価の提示」ができていますよね。
(6)答え合わせは児童生徒がすることにします。教師が答え合わせをするともうひと手間かかり、非現実性が増します。教師の役割は履修確認と励ましです。「教師1人対児童生徒MAX40人」なので、効率を上げることに重点を置くべきです。例示のように、図や短い言葉でサポートしましょう。
(7)Googleスプレッドシートは、双方の更新がすぐに反映され、即時性に長けています。ホワイトボードをネット上で共有する感覚で、同時にアクセスができているようにやり取りができます。
(8)なぜGoogleスプレッドシートでやるのかと言うと、Googleドキュメントに比べてコメントをどこにでも書け、整理もしやすいからです。ドキュメントにはページや行がり、これを無視して入力することができません。それに比べてスプレッドシートは「面」として捉えることができるので、楽です。また、シートを増やせばノートのページ感覚で使えます。
(9)「テレワーク for school版」は手順が多く、クリック数が増えそうですが、Googleスプレッドシートは、シートを増やしてどんどん提出物を貼り付けてもらえばいいことになります。
(10) Googleスプレッドシートは、整理も簡単、チェック済みのシートはシートごと削除すればいいだけです。

課題の回収と評価と言う意味では、「テレワーク for school版」の一部の機能を実現できているのではないでしょうか。提出(先生からすると回収)する課題は、プリントに限らず、写真で撮れるものなら何でもいいですよね。例えば工作とかでも。チャット的な要素だって取り入れられます。・・・あくまで、「テレワーク for school版」を使ったことはありませんが(笑)。

#5 オンライン体制が整うまでは文科省がイニシアティブをとって単方向コンテンツを提供すべし


最後に、動画コンテンツによる遠隔授業についてです。
自治体によってはすでに授業動画を流し始めたところもあるようです。素早い対応は、頼もしいとは思いますが、小学生が長時間の動画コンテンツを小学生が見続けることは難しいと思います。作成側にはかなりのICTスキル&センスに加え、時間的負担が要求されます。やるのであれば、文科省がイニシアティブをとってやってほしいです。この議論については、やや批判的な話にもなりますので、EDUPEDIAの記事としてそぐわないかもしれません。ご興味がおありでしたら、下記↓リンクをご覧ください。
学校休業とICT

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次