キャリア・パスポートで「児童生徒理解」につなぐ(文部科学省)

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目次

1 はじめに

この記事は、文部科学省より許可を得て、国立教育政策研究所ホームページに掲載されている「キャリア教育リーフレットシリーズ」を転載させていただいています。

↓転載元はこちらです。↓
キャリア・パスポートで「児童生徒理解」につなぐ〜世田谷区立尾山台小学校「キャリアン・パスポート」より〜

児童がなかなか将来の夢や目標を持つことができていないという現状に対して、児童の日々の振り返り活動を学年を越えて行えるようなキャリア教育の実践を行っている世田谷区立尾山台小学校の取り組みを紹介しています。

2 児童の実態から見えてきたキャリア教育

平成26年当時の世田谷区立尾山台小学校の児童の実態を、「自分に自信がない」「発言が少なく、声が小さい」「他者への関心が薄く、関わりが苦手」と先生方は捉えていました。また、当時の全国学力・学習状況調査児童質問紙では、「自分には良いところがある」「将来の夢や目標を持っている」においてマイナス評価が明らかとなりました。
そのようなときに先生方は「キャリア教育」に出会いました。校内研究を進めるなかで、「キャリア教育」とは「未来に向かって学びが生きている」を実感させられることと考え、小学校だからこそ「キャリア教育」が必要という認識が醸成されていきました。
そして、児童に身につけさせたい力を明確にし、それを意識しながら教育活動を行うことになりました。

◎身に付けさせたい力

◎「学年で振り返りが途切れがち」という課題

多くの学校と同じように、尾山台小学校でも学期ごとや行事ごとの日常的な振り返り活動は行われており、どの学年も振り返りの記録を1年間は掲示したり、ファイリングしたりしていました。
そのため、児童たちは「未来に向かって学びが生きている」ことについて、小さな気づきは得ることができていました。しかし、学年を越えて振り返ったり、見通したりできるものにはなっておらず、学年間で振り返りが途切れがちという課題がありました。

3 学年を越えたポートフォリオ

児童が過去の自分と向き合い、将来の自分を思い描けるように、運動会・学芸会などの大きな行事の振り返りの記録や、各学年で取り組んだ学習の成果の記録を、各学年で2〜3つ蓄積することになりました。こうしてできたのがキャリアン・パスポートです。

なお、キャリアンとは尾山台小学校のキャリア教育のマスコットです。

事例:小学5年生ツトムくん(仮名)

「5年生3学期の目標設定」→「先生との対話」→「6年生1学期の目標設定」→「振り返り」→「2学期の目標設定」というプロセスの中で、学びのつながりや児童の変容を見取ることができます。以下の画像から、振り返りや先生のコメントから児童が設定する目標の質が高まっていることもわかります。

また、「自分の良さに気づく力」「思いを受け止める力」「思いを伝える力」「チャレンジする力」に向けての努力の様子や目標の質の高まりが時系列でわかります。

転載元はこちらです。

4 児童理解は学年の垣根を取り払って見取る

先程、ご紹介したツトムくんの事例は、5年生から6年生にかけてのものですが、年間指導計画で見ると、以下のようになります。学年を越えての指導や活動が有効につながっていることがわかります。

これも尾山台小学校で作成されている年間指導計画が具体的かつ系統的だからこそ確認できることです。

◎キャリア教育年間指導計画

平成29年度 第5学年3学期〜平成30年度 第6学年1学期

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6 編集後記

特別活動を要としたキャリア教育実践のための効果的なツールとなる「キャリアパスポート」が2020年4月よりすべての小中高で実施されるようになりました。
この記事が学校での「キャリアパスポート」の運用のお役に立てると幸いです。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 辻)

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