「忘れもの」(高田敏子)詩の授業 ~キミの名は?~

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詩「忘れもの」(高田敏子)の授業案です。夏休みという多くの人が経験することを題材にして、郷愁を感じさせる作品です。

記事では、授業で教師が話すことを、実際に言うような台詞形式で書いてみました。

目次

1 学習展開

1、教師が読んで、意味が分からない言葉を説明する。
・入道雲、夕立など。

2、いろいろな読み方で音読する。
・追い読み、一人読み、交代読み、などで読む。

3、場面の様子やぼくの思いなど、想像したことを交流する。
・五感で想像する。
・発問によって想像を広げる。
・教科書に書き込む。

4、感想を交流する。
・自分の生活を振り返り、ぼくと似た気持ちになったことがあるかなど、考える手がかりを示す。

2 学習の様子

1、教師が読んで、意味が分からない言葉を説明する。

・入道雲、夕立など。

◆台詞

はじめに先生が読みます。

(読んだ後に確認する)
分からない言葉はありましたか?
何連の詩ですか?
登場人物はだれですか?

もう一度先生が読むので、様子を想像しながら聞いてください。

どうでしたか?浮かんだ様子とか、気になったこと、面白いな、変だな、と思ったこと、何でもいいよ。

ーー夏休みにもどってきてほしい
ーー夏休みをキミ!って呼んでる
ーー夏休みとぼくは友だちみたい
ーーサヨナラとキミとセミがカタカナ
ーー入道雲が連れていった
ーー素晴らしい夕立?
ーー夏休みを取り戻したい
ーー来年まで待てないくらい寂しそう
ーーセミや帽子が忘れもの
ーー葉っぱがあいさつしてる?→擬人法。
※感想が一通り出終わったら、倒置法、体言止めなど、他の技法も押さえる。

2、いろいろな読み方で音読する。

・追い読み、一人読み、交代読み、などで読む。

◆台詞

少し聞いただけで、いろんな感想が出てきたね。
自分で読んでみると、また想像が広がるかもしれない。では、まずは先生の後に。(追い読み)
次は一人で。
次はペアになって、読み方を聞いてもらいましょう。
最後に班ごとに。

3、場面の様子やぼくの思いなど、想像したことを交流する。

・五感で想像する。
・発問によって想像を広げる。
・教科書に書き込む。

◆台詞

自分で読んでみて、いろんな想像ができたかもしれない。
じゃあ、読んで思ったことやぼくの気持ちなど、教科書の空いてるところに書いてみてください。簡単で大丈夫だし、あとの交流のときにみんなで考えながら書いても大丈夫です。
※書くことを強いない。交流しながら想像することも楽しんでもらいたい。


  (書き込み例)

◆発問例

一連
入道雲にのっていった・いってしまった、何かちがう?
素晴らしい夕立、とは?
夏休みの気持ちは?
何か見えたり聴こえたりする?

二連
一連との違いは?
色や気持ちで表すと?
あたらしい光?
何をあいさつしてるのかしら?

三連
二連との違いは?
「もどってこないかな」「もどってきてよ!」と違いは?
どんな風に読む?
夏休みは返事するかな?

四連
なんの話?ーー忘れもの
誰の?ーー夏休み、ぼく
みんなは忘れものある?ーーリコーダー、教科書
それは、ぼくの忘れものと同じ?違う?ーー違う。夏休みはすぐ取り戻せない。忘れものというか、思い出。忘れられない、忘れもの(笑) でも卒業したら「忘れもの」になるかも。

題名が「思い出」でもいいかもね。ーーそのまんま。それだと、夏休みの日記みたいになる。「忘れもの」の方が、戻ってこない寂しさが強い気がする。

全体
中心は第何連?
ぼくの気持ちを一言で、中心の連の下に書いてみよう。ーー寂しい、悲しい、怒ってる
※名残惜しい、未練、後悔といった言葉にも触れたい。

マイナスの気持ちが多いね。でも二連がなくてもそんな気がするね。じゃあ、なんで二連があるんだろう?

ーー寂しいだけじゃない
ーーずっと過去を考えててもしかたない
ーー素晴らしい夕立とあたらしい光は、希望がある
ーー後ろ(過去)に戻りたいけど、頑張って前を向いている
ーーまた来年も会おう

そのほかに、気になったことは?

ーー作者の高田さんは大人だけど、夏休みを忘れものって言ってるから、すごく昔のことを思い出してるのかな

ーー大人になると、夏休みだけじゃなくて、いろんな忘れものがあるけど、小学生にも分かるように夏休みにしたんじゃないかな

ーー忘れてたものを思い出させてくれる詩に思えてきた

4、感想を交流する。

・自分の生活を振り返り、ぼくと似た気持ちになったことがあるかなど、考える手がかりを示す。

◆感想の視点例
・ことばのつかい方
・題材のおもしろさ
・戻ってこないのは分かってるけど、大事な思い出
・モヤモヤしながらも、前を向こうとしているぼく
(つまり、大人になるということ。笑)

3 おわりに

児童に同じ読みをさせるのではなく、交流から言葉やイメージを広げること、自分の読みの変化を楽しむこと、生活を振り返って大切にしている(していた)ものを思い出すこと、などにつながれば嬉しいです。

※次に「ぼくは川」を読み、最後に2つの詩を比べて、自分が気に入ったところを見つける。

4 関連

「ぼくは川」(阪田寛夫)詩の授業 ~嗚呼、川の流れのように!~

本「詩の世界」(高田敏子)ポプラ社
 *リンク先のHPでは品切れになっています。

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