「はじめ」「中」「おわり」の、分かりやすい構成
教科書に掲載される多くの説明文がそうであるように、「おにごっこ」(光村図書国語2年)もたいへんしっかりした構成でできています。小学校国語の説明文の典型である「はじめの段落に問い→中の段落で具体例を示して答→おわりで結論」という構成になっています。光村図書国語はこの構成を2年生の教科書で何度も「はじめ→中→おわり」と示しています。2年生終盤に出てくる説明文として、とても分かりやすい文章です。
「おにごっこ」国語・説明文・小学2年~説明の順序や段落を意識して読む~
も、ぜひ、ご参照ください。
「おわり」ではそれらのルールが採用される理由として大原則である「みんなが楽しい鬼ごっこ」をする必要性を結論として訴えています。
「はじめ」にはQ1「どんな遊び方があるか」・Q2「なぜそのような遊び方をするのか」という2つの問いを自問の形で作者が投げかけています。「中」「おわり」で自答してゆくのも、小学校の国語説明文の典型的なパターンと言えます。
「中」は大きく分けて3つに分かれており、段落のはじめで何を語っているかが書かれているため、容易に「中1」「中2」「中3」「中4」に分けることができると思います。4つの遊び方(のルール)、「場所ルール」「安全地帯」「ふえ鬼」「手つなぎ鬼」はすぐに探すことができると思います。それぞれのルールを採用する理由も書かれています。「中1234」に対応して挿絵も3つ載せられています。
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「おわり」では、作者が(多分)一番言いたかったことが書かれています。「みんなが楽しめるように」「だれもが『楽しかった』と思えるように」と、少し言い方が違っていますが、2回も言っています。
まとまりを見つける
授業の進め方は様々ですが、私は説明文をざっくり俯瞰して読めるようになってほしいと願っています。全文をデジタルテキスト化し、エクセルのセルの中に読点ごとに区切ったものを用意します。1枚のプリントに全文を印刷して子供たちに配布します。
※ 最近はスキャナでなくても写真で印刷したJPEG写真をGoogleドライブにアップして、無理やりドキュメントから開けば、OCR(画像のテキスト化)ができてしまいます。本当は教科書会社がデジタルテキストを配ってくれればいいのですが、著作権の問題があって無理なのだろうと思います。世知辛いですね。著作権に考慮して、↑上図はその一部の画像です。
1枚もののテキストに色を塗っていきます。色鉛筆を用意して、大切な言葉、大切な文を目立つようにしていきます。何色でもいいですが、対応を考えながら塗ってください。
① 「2つの疑問」にそれぞれ違う色を塗り、Q1(黄色)・Q2(オレンジ色)とする。Q1「どんな遊び方があるか」・Q2「なぜそのような遊び方をするのか」。ここまでが「はじめ」。
② 「4つの遊び方のルール」に①のQ1と同じ色(黄色)を塗る。この4つの遊び方のルールは「」の中に書かれているので、「」に全部色を塗らせればよい。
③ 「中1」「中2」「中3」「中4」の境界線を見つければ、残りが「おわり」。
④ 「大切なこと」にピンク色(ハートフルな感じ)を塗る。
⑤ 「はじめ」「中1(ルール1)」「中2(ルール2)」「中3(ルール3)」「中4(ルール4)」「おわり」のまとまりを切り取る。
⑥ A3用紙に貼る(用紙は↓↓↓からダウンロード)
⑦ Q2の答えを考えさせる。①で塗った色で囲ませる。
⑧ 色を塗った後で、「中1」「中2」「中3」「中4」の段落に「場所ルール」「安全地帯」「ふえ鬼」「手つなぎ鬼」等と、名前をつけさせる。
⑨「中」の4つのルールについて、作ってよかったことに「○」、困ったことに「×」をつけさせる。(これはちょっと難しかったです。)
と、ここまで学習すれば、大半の子供がこの文章に何が書かれているのかをつかめていると思います。
下は完成図です。ちょっと縮小して見にくいので、画像をダウンロード(画像上で右クリックして保存を選ぶ)して見て下さい。
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結論を先に
最初から、4つの遊び方のルールについてくどくど考えさせる前に、上記③のタイミングで、結論が何かを考えさせます。「①何を問われて」「②どんなルールがあるか」「③『おわり』の段落の範囲」が分かれば、結論は見えてきます。
光村図書2年生国語では最初の説明文に「たんぽぽのちえ」が採用されています。この説明文では、「『仲間を増やす』という目標に向かって様々なちえを使っている」というのが、結論です。「結論(一番大切な事)は最後の方に書いている」ということを1学期はじめの時点で子供に教えます。
同様に、「おにごっこ」でも、結論は最後に書かれています。「たんぽぽのちえ」の時に、本当に大事なことは最後に書かれていたことを思い出させてから「おわり」を読ませ、考えさせます。「おわり」のまとまりりには、「みんなが楽しめるように」「だれもが『楽しかった』と思えるように」と、2回も同じフレーズが出てくるので、「大事なことは何度も書かれる」とう法則にも当てはまっています。そこにも気づくといいですね。
これが結論であると思って読み直すと、4つの遊び方のルールが提案されている理由⑨がけっこうはっきりと見えてきます。
最後に、「バラバラを復元」にトライ
最後に、もう一度、この文面をバラバラに切った後、子供たちに配り、再構成させてみても面白いです。切るのも配るのも時間がかかるので、子供自身に作業をさせてもいいと思います。
理解が深まったところで、6つのまとまりをさらに読点ごとにバラバラにしてみます。教師がエクセルの罫線に沿ってカッターで注意深くバラバラに切り分けた全文を全員の子供に渡します。クラスの人数分を1枚1枚切り分けるのではなく、ダブルクリップで挟みながらカッターワークをすれば、きれいに切れます。けっこう手間のかかる作業ですが・・・
これと上図のA3用紙に印刷した「はじめ」「中1」「中2」「中3」「中4」「おわり」の枠だけが書かれたプリントを渡して、貼らせます。
「バラバラにしたよ。元通りに直せるかなーーー?」
と挑発します。
「のりで貼ってしまう前に、ならべたのをよく眺めてみてね。」
半分ぐらいの子供がどうにもこうにもできないかと予想していましたが、けっこうみんな、いい線いっていました。途中で難しくて行き詰った子供が出てきたら、まず、「中1」「中2」「中3」「中4」にはどれが入るか、考えてみればいいということをアドバイスします。
「いったん欠片を「はじめ」「中1」「中2」「中3」「おわり」に分けて確定してから、並べなおしてごらん。」
そうすると、整理ができてきます。このアドバイス以外、ほとんど助けないでも、7割程度が完全合格、残る3割もほぼほぼ合格でした。子供たちの間を回りながら、合格したら糊で貼らせます。子供の実情に合わせて最初から「はじめ」「中」「おわり」を(文字色を変えるなどして)教えてあげて始めるのもいいかもしれません。文ごと(読点ごと)にばらばらにするのではなく、(段落よりも小さい)ある程度のまとまりで渡してあげるのもいいかもしれません。合格した子供をミニ先生にしてアドバイスさせてもいいですね。文章のつながりを考えながら並べ直させることで、さらに力がついたように思います。
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