【著書紹介】『WHYでわかる!HOWでできる!理科の授業Q&A』(大前暁政先生)

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目次

1 はじめに

本記事は、2020年12月発売の『WHYでわかる!HOWでできる!理科の授業Q&A』(明治図書)について、著者の大前暁政が皆さまに紹介する記事となっております。

2 書籍について

概要

多くの教師が、理科の授業に対して、さまざまな疑問や悩みを抱えています。本書は、それらの疑問や悩みに対して、原因(WHY)まで深堀りして、解決策(HOW)を提示するものです。

類書との違い

理科の授業とは何なのか。その根本的な問いに答えた本はありません。本書は、理科の授業の理論と、具体的な方法の両方を解説するものです。「理科の授業とは何か、答えられますか?」本書は全ての教師にこう問いかけるものです。

こんな人に読んでほしい

理科の授業の具体的なやり方、準備の仕方、授業の進め方を知りたい全ての人に贈りたい書籍です。理科の授業で悩むのは、これで終わりにしましょう。

3 一部を紹介!

『WHYでわかる!HOWでできる!理科の授業Q&A』(明治図書)より、第1章の一部を紹介いたします!

Q:子どもが自然体験に興味をもつために必要なことは何でしょうか。

A:理科では、単元の導入で「自然体験」の時間を取ります。実際に自然を観察したり、実験を行ったりすることで、「自然の決まり」を探っていくわけです。それだけでも、子どもにとっては楽しい時間です。しかし、ただ自然体験をするだけでは、一部の子どもしか授業に熱中しません。そこで「動機付け」をするのですが、これにはさまざまな種類があるのです。よく理科で使用される「動機付け」は、「生活経験とは違う現象を見せて、認知的葛藤を引き起こさせる」というものです。認知的葛藤があれば、「おかしいな」と思って、自然と追究が始まるからです。しかし、やり方はそれだけではありません。もっとたくさんのやり方があります。そのたくさんのやり方を分類して、具体的にどうすればよいのかを知らないといけないのです。大切なのは、本書で解説しているように、「動機付け」の「分類」を知ることと、それぞれの分類の「具体的なやり方」を知ることなのです。これらを知ることで、「動機付け」に関して、「俯瞰の目」を得ることができます。単元の内容や子どもの実態に沿って、どういう「動機付け」をすればよいかが、一目瞭然になるというわけです。

Q:教師からの発問のコツはありますか。

A:発問一つとっても、コツを知るためには、たいへん多くの知識を学ばなくてはなりません。そもそも、発問とは何なのでしょうか。そして、発問とは、何のために行うものなのでしょうか。発問が必要ない場面とはどのような場面なのでしょうか。これらの問いに即座に答えられるよう、本書で詳しく解説しています。実は、発問のコツを知るためには、人の「認知の仕方」にまで遡って考える必要があります。本書では、「そもそもどういう理屈で、発問が必要になるのか」という「そもそも論」まで遡って解説しています。このことがわかると、発問のつくり方もわかりますし、発問をすることなく授業を展開していくことも可能になります。
私たち教師は、「発問」という一つのことにすら、「そもそも論」から学んできていません。それは、学校の教師の責任ではありません。誰も教えてくれなかったことが原因なのです。しかも、学ぶ本すらほとんどなかったのが原因です。「そもそも論」がわかった上で、具体的にどう発問すればよいか、「やり方」や「コツ」を学ぶ必要があります。

Q:子どもの探究の姿勢を育てるためには、どのような意識をもつことが必要でしょうか。

A:「生きて働く力」を育てること。今後の理科の授業では、この意識が絶対に必要になります。特に、理科では「探究の姿勢」「探究の力」を育てていかなくてはなりません。探究の授業を行うには、まず、子どもの意識改革が必要となります。つまり、理科の授業では、学習者自らが問題を設定し、解決の方法を発想し、考察していけばよいのだという「主体者意識」を育てなくてはならないのです。学習者の「意識改革」を行うことで、子どもは様変わりします。「先生、次は何をすればいいの?」と尋ねてきた子どもたちが、「先生、次はこういう問いを確かめようよ」と、自分から問題を設定して追究するようになるのです。

Q:特別な支援を要する子どもへの授業中の指導で気をつけるべきことはありますか。

A:最も重要なのは、障がいの特性に合わせて、教師が指導を変えていくことです。教師の指導に子どもを合わせるのではなく、教師の指導を子どもに合わせるのです。授業中に子どもの反応を見ていると、退屈そうにしていたり、困った顔をしていたりします。子どもの反応によって、教師の授業の悪いところがつかめるというわけです。それを踏まえて、次の授業では、その子が退屈になったり困ったりしないように、教師の指導のやり方を変えていけばよいのです。
実は、特別な支援を要する子が退屈や困りを抱えている場合は、そのほかの子も同様に、退屈や困りを抱えている場合が少なくありません。そう考えると、特別な支援を要する子への対応をしていくことは、学級の全員にとって、よりよい授業をしていることになります。
子どもの様子に合わせて、教師の指導のやり方を臨機応変に変えるには、指導法をたくさん知っておかなければなりません。本書では、唯一の指導法を紹介するというやり方は採用していません。さまざまな指導法を紹介することに徹しています。本書で示したような、「そもそも論」「さまざまな指導法」を知ることで、臨機応変に指導法の選択が可能になるのです。

4 プロフィール

大前暁政(おおまえあきまさ) 京都文教大学

岡山大学大学院教育学研究科修了後、公立小学校教諭を経て、2013年4月京都文教大学准教授に就任。教員養成課程において、教育方法論や理科などの教職科目を担当。「どの子も可能性をもっており、その可能性を引き出し伸ばすことが教師の仕事」ととらえ、現場と連携し新しい教育を生み出す研究を行っている。文部科学省委託体力アッププロジェクト委員、教育委員会要請の理科教育課程編成委員などを歴任。著書として、「子どもを自立へ導く学級経営ピラミッド」、「本当は大切だけど、誰も教えてくれない教師の仕事40のこと」、「先生のためのセルフコーチング」、「プロ教師直伝!授業成功のゴールデンルール」など多数。
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5 Amazonページ

『WHYでわかる!HOWでできる!理科の授業Q&A』(明治図書)

6 読者へのメッセージ

理科の授業とはそもそも何か。そしてどう進めたらよいのか。理科の授業に関係するさまざまな内容を全て網羅し、「そもそも論」「具体的な授業のやり方」の両方を解説しました。理科の授業での「疑問」や「困り」を解決できる本です。

(編集:EDUPEDIA編集部 河本)

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