中学歴史〜地球儀と世界地図〜(自主学習用教材「こころの窓」第2回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの日本史教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第2回「人類の誕生」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

今日のお題は「地球儀と世界地図」です。

今までにいろいろな地図を見たことがあると思います。その昔、日本でも伊能忠敬という人が、江戸時代にものすごく正確な地図をつくったことは知っていますか。伊能さんは、自分の足で日本中を歩いて地図を作ったのです。
すごい人がいたんですね。ところで今日は、日本地図ではなく世界地図のお話です。丸い地球を一枚の紙の地図に表すのはとても難しいことなので、いろんな地図が作られました。それを今日は紹介します。

まず、下の絵が地球儀ですね。いちばん上が北極です。でも南極は見えませんね。この地球儀は、陸地の形も面積も方角もすべて正しく表されています。だから一番正確な地図といえるのです。でも、世界全体を一度に見ることができないのです。これを一枚の紙にすべてをあらわそうとすると、丸い地球を平らな平面に表さなければいけないのでどうしても無理があるのです。

では下の地図を見てください。これはメルカトル図法というものです。この地図は見ると分かるように縦の線と横の線がまっすぐに交わっています。縦の線を経線(けいせん)といい、横の線を緯線(いせん)といいます。つまりこの地図は、緯度や経度が正しく表されているので、位置が正確に分かるのです。位置が正確に分かると、船に乗って移動する時に、どの方向へ行けばどこへ行くかが正確に分かるので、いろいろな人たちが利用してきました。私たちが一番よく見る地図ですね。

その他には、下のモルワイデ図法という地図があります。これは面積が正確に表されている地図ですが、形がゆがんで描かれてしまうのです。

さらに、下の丸い地図は 正距方位(せいきょほうい)図法といい、中心からの距離と方角が正しく表されます。だから、飛行機の操縦には大変便利です。でも、形が大きくゆがんでしまいます。

昔から世界地図はいろいろと工夫して作られてきたんですね。

お疲れ様でした。では、復習問題にチャレンジしてください。

復習問題

1.地球儀の特長(良いところと良くないところ)についてまとめてください。

地球儀は陸地の形も面積も方角もすべて正しく表されています。だから一番正確な地図といえるのです。でも、世界全体を一度に見ることができないのです。これを一枚の紙にすべてをあらわそうとすると、丸い地球を平らな平面に表さなければいけないのでどうしても無理があるのです。

2.メルカトル図法の特長についてまとめてください。

メルカトル図法は、見ると分かるように縦の線と横の線がまっすぐに交わっています。縦の線を経線といい、横の線を緯線といいます。つまりこの地図は、緯度や経度が正しく表されているので、位置が正確に分かるのです。位置が正確に分かると、船に乗って移動する時に、どの方向へ行けばどこへ行くかが正確に分かるので、船の地図をはじめいろいろな地図に利用されてきました。

3.モルワイデ図法と正距方位図法の特長についてまとめてください。

モルワイデ図法は、面積が正確に表されている地図ですが、形がゆがんで描かれてしまうのです。また、正距方位図法は、中心からの距離と方角が正しく表されます。だから、飛行機の操縦には大変便利です。でも、形が大きくゆがんでいるのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第2回「地球儀と世界地図」.docx

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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