1 はじめに
この記事は、非常勤講師や臨時的任用教員の経験を基に「授業開始の号令を大切にすることの大切さ」について書いたもので、「授業以前の技術」の「基本のキ」シリーズ②です。
私は、非常勤講師や臨時的任用教員として、初任者に指導や助言をすることが多くあります。若い先生を見ていると「よい授業をしよう」という気持ちを感じるのですが、話し方や目線といった「授業以前の技術」で上手くいっていないことが多いです。そして、そのことを具体的に指摘すると、見違えるように授業がよくなることが分かりました。
これらの経験から、私がこれまで「当たり前過ぎて発信するまでもない」と思っていたことに、実はベテランのノウハウが詰まっていて、発信する価値があるということに気づきました。特に、若い先生に本記事を役立ててほしいと思います。また、経験豊富な先生にとっても自分の指導を見つめ直すきっかけになれば幸いです。
2 挨拶をおろそかにしている人が意外と多い
授業の開始時に日直が、「気を付け。これから○時間目の□□の学習を始めます。」などの号令をかけるクラスが多いと思います。でも、この挨拶をおろそかにしていませんか?
私が若い先生の授業でよく見かけるのは次のような場面です
- 日直が「気を付け」と言っているのに、気を付けをしていない子が多いなか日直が号令をかけてしまう
- 日直が「気を付け」と言っているのに、先生が授業の準備をしている
3 号令の効果
号令なしで授業を開始しても構わないと考える方もいますが、号令には次のような効果があります。
- 授業と休み時間のオンとオフを切り替える
- クラス全員で「これから学習をする」という雰囲気をつくる
せっかく号令をするのなら、これらの効果を最大限発揮することを意識した方がよいと思います。これらを意識せず、日直が号令をかけているのに、それに従わない子が多い状況を許してしまうと、「人の話は聞かなくてもいい」ということを教えることになってしまいます。
4 まずは先生が手本を示し、たくさん褒めよう
日直が「気を付け」と号令をかけたら、全員のお手本になるように、先生が真っ先によい姿勢で気を付けをしましょう。
そしてクラス全体を見回してください。よい姿勢で気を付けをしている子には「○○さん姿勢がいいね」「手が膝の上にあるね」など、たくさん声かけをしてください。そうすることで、姿勢が乱れている子も気づいて直すはずです。
注意すべきは、気を付けをしていない子がいるのに日直が「始めます」と言おうとしたら「ストップ。まだ準備できてない人がいるよ」とやり直しさせることです。
そして、挨拶が終わったら「上手にできたね」と全体を褒めてください。数日も続ければ、見違えるほど号令も挨拶も上手になるでしょう。
5 毎日当たり前にしていることだからこそ大切に
号令や挨拶が上手に素早くできるようになると、クラス全体が集中して学習に取り組めるようになります。また、号令の様子を先生がよく見ることによって、子どもの状態を把握できます。毎日、毎時間、行っている号令や挨拶だからこそ、その時間を大切にしてください。
6 プロフィール
千葉教生(ちば のりお)
長年公立小学校で勤めたのち、現在はフリーランス教師として様々な学校で非常勤講師としてはたらく。学校勤務が終わったら、塾、教材開発の仕事、プログラミング教室講師などをしつつ趣味の車を楽しむ。
前横浜市立公立小学校副校長。学習情報教育センター参与、EDUPEDIA社会人スタッフ、メディア教育研究会事務局、freedu代表。
主な著書に「社会科授業力の開発 小学校編(明治図書)」「学校レクリエーション大百科(ポプラ社)」(共に共著)がある。
(2021年11月時点のものです。)
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