中学歴史〜ヤマト王権〜(自主学習用教材「こころの窓」第5回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの日本史教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第5回「ヤマト王権」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。「こころの窓」です。

では今日も、一緒に勉強していきましょう!

今日のお題は「ヤマト王権(おうけん)」です。

弥生時代の終わり頃になると、近畿地方で力を持った王(この頃は豪族<ごうぞく>と呼ばれます)は、大きな古墳(こふん・・自分のお墓)をつくりはじめました。下の絵は、仁徳天皇(にんとくてんのう)の古墳で、鍵穴のような形をしていますが、この形を前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)といいます。なんと、縦の長さは840mあり、一周が2,7kmもあるのですよ。ものすごく大きなお墓ですね。 天皇が生きている時から作り始め、何年もかかってつくったらしいですヨ。

また、4~5世紀にかけてたくさんの古墳がつくられたので、この時代を古墳時代といいます。

この豪族の中でも、特に大きな力を持ったものが、ヤマト王権です。右下の地図を見てください。当時、朝鮮半島は、高句麗 (こうくり)、新羅(しらぎ)、百済(くだら)、伽耶(かや)などの国がありました。そのなかでも、ヤマト王権の王たちは、百済と伽耶と交流を深め、当時たいへん貴重であった鉄をたくさん輸入し、武器や農具をつくり、大きな力を持つようになっていったのです。

さらに、ヤマト王権の王たちは、その力を利用し各地の豪族たちを、どんどんと支配下に置いて、日本一大きな大連合国となっていったのです。そして、5世紀後半になると、ヤマト王権の王、ワカタケルが、自分を大王(おおきみ)と名乗り始めました。この大王が後の天皇の始まりなのです。また、この頃になると、渡来人(とらいじん)と呼ばれた、たくさんの中国や朝鮮の人が日本に移り住んで、日本に文字(漢字)などを伝えてくれたのですよ。

お疲れ様でした。今日の歴史はどうでしたか。

それでは、いつものように、復習問題にチャレンジしてみてください!

復習問題

1.各地の王(豪族)は、なぜこんな大きなお墓をつくったのだと思いますか。想像して自分の考えを書いてみてください。

大きな古墳は、その豪族の権力の象徴でしたから、自分はこんなに大きな力をもっていたんだぞということを残したかったのでしょう。でも、そのおかげで、農民たちは大変な苦労をさせられたのです。

2.古墳時代の豪族たちにとって、鉄はものすごく大切なものでした。それはなぜでしょう。理由を書いてください。

農具としての鉄は、今までの銅より強くて使いやすかったので必要とした。もう一つ大切なことは、とても強い武器として使えたので、豪族にとってはとても大切なものだったのです。

3.ヤマト王権の王たちは、朝鮮の百済や伽耶とつながりを深めようとしましたが、それはなぜでしょうか。理由を書いてください。

当時の日本には、鉄をつくる技術がなかったので、百済や伽耶から輸入していたのです。これをヤマト王権の王たちは、自分たちだけで独占(ひとりじめ)しようとして、百済や伽耶とつながりを深めたのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第5回「ヤマト王権」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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