中学地理〜アジアNIES〜(自主学習用教材「こころの窓」第9回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第9回「アジアNIES」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。元気にしていますか!では、今日もがんばりましょう!

今日のお題は「アジアNIES(ニーズ)」です。

東アジアには日本や中国などの経済的に大きな力を持った国があります。しかし、戦後しばらくしてから、工業の発展に力を入れて発達してきた国があります。それが、大韓民国(だいかんみんこく・・韓国)、台湾(たいわん)、香港(ホンコン)、シンガポールです。これらの国をまとめてアジアNIES<ニーズ>(新興工業経済地域・・しんこうこうぎょうけいざいちいき)といいます。

それではまず、大韓民国(韓国・・かんこく)について紹介します。第二次世界大戦後にアメリカとソ連の対立から朝鮮戦争が起こり、最終的には朝鮮は二つの国に分かれ、北が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)としてソ連の指導の下に独立しました。南は、大韓民国(韓国)としてアメリカの指導の下に独立しました。この大韓民国(韓国)は、日本より少し遅れて急速に発展しました。上の円グラフを見ると分かりますが、現在ではコンピューター関連の機械工業や自動車工業が発達し、韓国の輸出の半分以上を占めています。

次に台湾です。第二次世界大戦後、中国で対立していた毛沢東(もうたくとう)率いる中国共産党との戦いに敗れた国民党の蒋介石(しょうかいせき)は、軍隊を率いて台湾へ逃れ、ここに第二の中国をつくりました。その後、「民主化の父」と呼ばれた李登輝(りとうき)総統(そうとう)によって、新しい国づくりが進められ、現在ではコンピュータや半導体などのハイテク産業が発達し、世界中に製品を輸出しています。

次は香港(ホンコン)です。ずっと中国の一つの地域だったのですが、1840年(江戸時代の終わり)に、貿易の問題でイギリスとアヘン戦争が起こりました。この戦争に敗れた中国は香港をイギリスに渡したのです。それから約150年間イギリスのもとで開発が進み、1997年にようやく中国に返還されました。現在はハイテク産業が発達し、世界中に製品を輸出しています。

最後にシンガポールです。何もない小さな島でしたが、1819年にイギリス人のラッフルズが、アジアとの貿易のために大きな貿易港をつくったのがシンガポールの始まりです。そして、戦後もさらに発展していきました。

お疲れ様でした。では復習問題へ進んでください!

復習問題

1.アジアNIESについて、説明してください。

戦後しばらくしてから、工業の発展に力を入れて発達してきた国があります。それが、大韓民国(韓国)、台湾、香港(ホンコン)、シンガポールです。これらの国をまとめてアジアNIES(ニーズ・・・新興工業経済地域)といいます。

2.アジアNIESの国の中から、二つ選んでその国や都市の特長をまとめてください。

韓国
第二次世界大戦後にアメリカとソ連の対立から朝鮮戦争が起こり、最終的には朝鮮は二つの国に分かれ、北が朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)としてソ連の指導のもとに独立しました。南は、大韓民国(韓国)としてアメリカの指導のもとに独立しました。この韓国は、日本より少し遅れて急速に発展しました。現在、韓国ではコンピューター関連の機械工業や自動車工業が発達し、韓国の輸出の半分以上を占めています。
台湾
第二次世界大戦後、中国で対立していた毛沢東率いる中国共産党との戦いに敗れた国民党の蒋介石は、軍隊を率いて台湾へ逃れ、ここに第二の中国をつくりました。その後、「民主化の父」と呼ばれた李登輝総統によって、新しい国づくりが進められ、現在ではコンピュータや半導体などのハイテク産業が発達し、世界中に製品を輸出しています。
香港
イギリスとのアヘン戦争に敗れた中国は香港をイギリスに渡しました。それから約150年間イギリスのもとで開発が進み、1997年にようやく中国に返還されましたが。現在は、ハイテク産業が発達し世界中に製品を輸出しています。
シンガポール
1819年にイギリス人のラッフルズが、アジアとの貿易のために大きな貿易港をつくったのがシンガポールの始まりです。戦後もさらに発展しました。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第9回「アジアNIES」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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