中学地理〜南アジア〜(自主学習用教材「こころの窓」第12回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第12回「南アジア」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

気分はどうですか。今日もボチボチがんばりましょう。

今日のお題は「南アジア」です。

今日は南アジアの中心である、インドについて勉強します。このインドは、なんと人口14億人で、もうすぐ中国の人口を抜くかも知れないといわれる国です。下の地図を見ると分かりますが、後ろにヒマラヤ山脈があり、この山から流れ出た水が、東にはガンジス川となり西にはインダス川の流れになっているのです。

インドは、かつて長い間イギリスの支配を受けてきた発展途上国(はってんとじょうこく・・発達の途中にある国)ですが、その影響で英語が使われ、小学校の教科書はすべて英語で書かれているようです。また、国をあげて数学に力を入れ、世界に通用する子ども達を育ててきました。そして、その子ども達がアメリカやヨーロッパで情報技術を学び、インドは情報技術(IT)産業がものすごく発展していったのです。IT産業とは、コンピューター機械をつくったり、通信や情報のサービスをする仕事のことです。つまり、パソコンやスマホをつくったり、それを使っていろいろなサービスをする仕事なんです。また、そのほかに自動車産業も発達し、ここ30年ほどで生産量は20倍になったのですよ。すごい発展ですね。

でも、インドでも困ったことが起こっています。産業が発達したために、農村にいた人々が仕事を求めて、たくさん都市に移り住みました。しかし、仕事がなくなった人々がスラムに住んだり、川や空気が汚染される環境問題が大きな課題になっているのです。

ところで、インドと言えば有名な建物がありますね。そうです、「タージ・マハル」です。下の絵がそうです。これは昔インドにムガール帝国という国がありました。この国の王様(シャージャアハーン)が大好きだったマハルという奥さんが亡くなった後、奥さんのために20年以上もかけて建てたお墓なのですよ。よっぽど好きだったんですね。

それから、インドといえば、ヒンズー教の人たちがガンジス川に入って身体を清める「ガンジスのもく浴」というものがあります。川に入って身体を清めるとすべての罪が洗い流されると信じられているのですよ。日本でいう滝に打たれて身体を清めるようなものですね。また、亡くなった人は火葬してから、その灰をこのガンジス川に流すそうなんです。ガンジスはまさしく聖なる川なんですね。

インドは、仏教を開かれたお釈迦様(おしゃかさま)が生まれた国です。でも、仏教の教えはお経が難しく修行(しゅぎょう)も大変だったので、シバの神を拝めばいいという、簡単な教えのヒンズー教が広がっていったようです。

お疲れ様。では復習問題へ進んでください。

復習問題

1.なぜインドは急激に発展したのですか。その理由をまとめてください。

インドは、かつて長い間イギリスの支配を受けてきた発展途上国ですが、その影響で英語が使われ、小学校の教科書はすべて英語で書かれているようです。また、国をあげて数学に力を入れ、世界に通用する子ども達を育ててきました。そして、その子ども達がアメリカやヨーロッパで情報技術を学び、インドは情報技術(IT)産業がものすごく発展していったのです。

2.IT産業について説明してください。

IT産業とは、コンピューター機械をつくったり、通信や情報のサービスをする仕事のことです。つまり、パソコンやスマホをつくったり、それを使っていろいろなアービスをする仕事のことです。

3.インドが抱える課題についてまとめてください。

産業が発達したために、農村にいた人々が仕事を求めて、たくさん都市に移り住みました。しかし、仕事がなくなった人々がスラムに住んだり、川や空気が汚染される環境問題が大きな課題になっているのです。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第12回「南アジア」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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