中学地理〜西アジア・中央アジア〜(自主学習用教材「こころの窓」第13回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第13回「西アジア・中央アジア」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。今日もこころの窓を開けてくれてありがとう。

今日のお題は「西アジア・中央アジア」です。

アジアの西の端に位置するのが西アジアです。ここにもたくさんの国がありますが、ほとんどの国がイスラム教の人々の国です。また、この西アジアのペルシャ湾沿岸(地図で見てください)などで、たくさんの石油が採れます。昔はエネルギーの中心は石炭でしたが、第二次世界大戦後は石油に変わってきました。しかし、西アジアの国々はあまりお金も技術もなかったので、この石油を開発することができませんでした。そこで、アメリカやヨーロッパの国々が石油の開発に乗り出したのです。そして、この石油を世界中に輸出してお金儲けをしました。

しかし、西アジアの国々には石油を採る権利料だけが入って、ほとんどの儲けはアメリカなどの外国に取られていたのです。そこで、自分の国の利益を守るために石油輸出国機構(OPEC・・・オペック)を組織して、自分の国の力で輸出しはじめました。このオペックには現在13の国が加盟していて、石油の価格や採る料などのルールを決めて、加盟国全部が平等にお金儲けができるようにしているのです。

日本もこの西アジアの国からほとんどの石油を輸入しています。1位はサウジアラビア、2位はアラブ首長国連邦、3位はイランです。ただ、同じ西アジアの国でも、石油が採れない国もあるんですよ。石油の力って大きいですね。

ところで、石油は何からできているか知っていますか。実は生き物の死がいが何千万年という長い年月をへて石油になったのです。だから、いずれはなくなってしまうと思います。

この石油は、地下や海底にある真っ黒な油なのですよ。それをガソリンや、灯油(とうゆ)や軽油(けいゆ)や重油(じゅうゆ)やナフサというものに加工しています。ガソリンは車の燃料ですね。灯油は石油ファンヒーターなどの燃料です。軽油は車やトラクターなどの燃料です。重油は火力発電所の燃料やアスファルトの原料です。ナフサは聞いたことがないと思いますが、これはプラスティックや化学せんいの原料なのです。とにかく石油は現在の私たちの生活にはなくてはならないものなのですヨ。

次に中央アジアを紹介します。西アジアとロシアの間にある地域で、かつてのソ連の一部だったのですが、独立した国々です。たとえば、カザフスタンとかウズベキスタンなどのように後ろにスタントいう名前がつく国が多いです。これらの国々では、希少金属(レアメタル)がたくさん採れます。レアメタルにはリチウムやチタンなどがあり、パソコンやスマホに使われている金属なのです。このレアメタルでお金持ちになっている国がたくさんあるのです。

お疲れ~。では、復習問題へ進んでください。

復習問題

1.なぜ、西アジアの石油の開発にアメリカやヨーロッパの国が乗り出したのですか。

昔はエネルギーの中心は石炭でしたが、第二次世界大戦後は石油に変わってきました。しかし、西アジアの国々はあまりお金も技術もなかったので、この石油を開発することができませんでした。そこで、アメリカやヨーロッパの国々が石油の開発に乗り出したのです。そして、この石油を世界中に輸出してお金儲けをしたのです。

2.オペックについて説明してください。

西アジアの国々には石油を採る権利料だけが入って、ほとんどの儲けはアメリカなどの外国に取られていたのです。そこで、自分の国の利益を守るために石油輸出国機構(OPEC)を組織して、自分の国の力で輸出しはじめました。このオペックには現在13の国が加盟していて、石油の価格や採る料などのルールを決めて、加盟国全部が平等にお金儲けができるようにしているのです。

3.希少金属(レアメタル)について説明してください。

希少金属(レアメタル)には、リチウムやチタンなどがあり、パソコンやスマホに使われています。中央アジアの国々には、このレアメタルでお金持ちになっている国がたくさんあるのです。

西アジアのアラブ首長国連邦という国にドバイという都市があります。ここは未来都市として800mを超えるビルや、砂漠の中に美しいリゾート地を造り、世界中からたくさんの観光客がやってくるんですヨ。一度は行ってみたいですね!

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第13回「西アジア・中央アジア」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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