中学地理〜日本の農林水産業〜(自主学習用教材「こころの窓」第36回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第36回「日本の農林水産業」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。今日もこころの窓を開けてくれてありがとう。

では、ボチボチやりましょうか。

今日のお題は「日本の農林水産業」です。

日本は、昔から稲作(いなさく・・・米づくり)がさかんです。下の絵は、特長のある作物や家畜が描かれています。青森のリンゴや和歌山のミカンなどは特に有名ですね。

大都市の周辺では、野菜を栽培して新鮮なうちに出荷する近郊農業(きんこうのうぎょう)が行われてきました。また、ハウスなどを利用して野菜の成長を早めて出荷する促成栽培(そくせいさいばい)や、逆に成長を遅らせて出荷する抑制栽培(よくせいさいばい)を行っています。そうすることで、出荷時期をずらすと高い値段で売ることができ、1年を通して出荷することも出来るのです。しかし、日本の農業は大きな課題もあります。それは、働いている人の3分の2が65歳以上の高齢者で、後継者不足に悩んでいます。そこで、若い人たちに農業の魅力をアピールし、農業をはじめてくれる若者を募る取り組みが行われています。

次に日本の漁業について紹介します。昔から日本人はお魚をたくさん食べてきたので、漁業がさかんです。たとえば、インド洋や太平洋でマグロなどを捕る遠洋漁業(えんようぎょぎょう)や、日本の近海で魚を捕る沖合漁業(おきあいぎょぎょう)などがさかんに行われてきました。しかし、最近は魚も減り漁獲量が大きく減ってきました。そこで、魚介類を確実に捕るために養殖業(ようしょくぎょう)や栽培漁業(さいばいぎょぎょう)が増えてきました。養殖業というのは、魚介類を人口の池や網を張った海で大きくなるまで育ててから出荷する漁業です。これに対して栽培漁業というのは、卵からふ化させてすぐに川や海に放流し、魚介類の量を増やそうとする漁業を栽培漁業といいます。養殖業はエサが海や川を汚すので赤潮(あかしお)の原因になることもありますが、栽培漁業は海や川を汚すことなく魚介類を増やすことができるので、環境にやさしい漁業方法だと思います。

最後に、日本の林業について紹介します。日本の森林の4割が人工林(じんこうりん)で、伐採して出荷することを目的に育てられている森林です。外国の木材は、短い期間で大きく育つので安く日本に輸入され、日本の木材が売れないときがありましたが、最近では品質の良い日本の木材が見直され、たくさん売れるようになってきました。しかし、この業界も若い人が少なく後継者不足に悩んでいます。いずれにしても日本の農林水産業は若い人に大きな期待がされているのです。

お疲れ。では復習問題に進んでください。

復習問題

1.促成栽培と抑制栽培について説明してください。

ハウスなどを利用して野菜の成長を早めて出荷する促成栽培といいます。また、逆に成長を遅らせて出荷する抑制栽培といいます。促成栽培や抑制栽培は、出荷時期をずらすことで普段よりも高い値段で売ることができます。また、1年を通して出荷することができるので収入が安定するのです。

2.現代の日本の農業がかかえる課題についてまとめてください。

日本の農業は、働いている人の3分の2が65歳以上の高齢者ですので、後継者不足に悩んでいます。そこで、若い人たちに農業の魅力をアピールし、新しく農業をはじめてくれる若者を募る取り組みが行われています。

3.養殖業と栽培漁業についてまとめ、その違いについても説明してください。

養殖業というのは、魚介類を人口の池や網を張った海で大きくなるまで育ててから出荷する漁業です。これに対して栽培漁業というのは、卵からふ化させてすぐに川や海に放流し、魚介類の量を増やそうとする漁業を栽培漁業といいます。養殖業はエサが海や川を汚したり赤潮の原因になることもありますが、栽培漁業は海や川を汚すことなく魚介類を増やすことができるので、環境にやさしい漁業方法だと思います。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第36回「日本の農林水産業」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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