中学地理〜日本の工業〜(自主学習用教材「こころの窓」第37回)

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目次

1 はじめに

本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。

本記事では、第37回「日本の工業」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら

2 「こころの窓」について

教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。

そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。

解説編

こんにちは。今日もこころの窓を開けてくれてありがとう。

では一緒にがんばりましょう。

今日のお題は「日本の工業」です。

日本は、明治の殖産興業(しょくさんこうぎょう)以来、工業に力を入れてきました。はじめは繊維工業(せんい・・綿や絹織物のこと)中心だったのですが、大正の頃には鉄鋼業などがさかんになり、戦後は重化学工業で急激に成長しました。現在では、先端技術産業といわれるハイテク産業がさかんに行なわれています。

また、下の地図を見てください。

日本の工業地域はほとんど海岸につくられています。これは外国から資源を輸入したり海外に製品を輸出するのに便利だからです。なかでも特に、太平洋側を太平洋ベルトといい、大きな工業地域がつくられました。

下のグラフは日本の工業地域の出荷額の内訳です。中京(ちゅうきょう)は名古屋でトヨタ自動車がその中心です。その次に京浜(けいひん)、阪神と続いています。

もともと資源の少ない日本は、外国から石油などの資源を輸入し、それを加工して輸出する加工貿易で発達してきました。しかし、1980年頃には、日本の商品が売れすぎるので、アメリカとの間で貿易摩擦(ぼうえきまさつ・・日本の商品ばかりが売れ、外国の商品が売れなくなったので、外国が怒ったのです)が起こりました。そのために、日本の企業はアメリカなど外国に進出し、現地の人を雇い現地で生産することをはじめたのです。こうして、日本の企業は外国にたくさん進出した国籍企業(たこくせききぎょう)として成長していったのです。しかし、日本の企業がたくさん外国に進出したために、日本国内の工場が少なくなり、産業の空洞化(さんぎょうのくうどうか)と呼ばれる現象が起きてきたのです。そこで日本は、環境技術やハイテク産業の方面で高い技術を生かした産業で、国内においても産業が発達するように工夫しているのです。

今日もがんばってますね。では、復習問題に進んでください。

復習問題

1.明治から現在まで、日本の工業がどのように発展してきたのか、簡単にまとめてください。

日本は、明治の殖産興業以来、工業に力を入れてきました。はじめは繊維工業中心だったのですが、大正の頃には鉄鋼業などがさかんになり、戦後は重化学工業で急激に成長しました。現在では、先端技術産業といわれるハイテク産業がさかんに行なわれています。

2.貿易摩擦とは何ですか。また、この問題に日本はどのように対応したかをまとめてください。

もともと資源の少ない日本は、外国から石油などの資源を輸入しそれを加工して輸出する加工貿易で発達してきました。しかし、1980年頃には、日本の商品がよく売れすぎるので、外国(特にアメリカ)との間に貿易摩擦が起こりました。日本の商品が売れすぎて外国の商品が売れなくなった問題です。その対策として、日本の企業はアメリカなど外国に進出して、現地の人を雇い現地で生産することをはじめたのです。

3.なぜ日本で産業の空洞化が起こったか。また、そのためどんな対策をしたのかまとめてください。

日本の企業がたくさん外国に進出したために、日本国内の工場が少なくなり、産業の空洞化と呼ばれる現象が起きてきたのです。そのために、国内では環境技術やハイテク産業の方面で、高い技術を生かした産業で国内においても産業が発達するように工夫しています。

3 ダウンロードはこちらから

こころの窓 第37回「日本の工業」

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4 おわりに

不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。

この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。

不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。

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