1 はじめに
本記事は、東近江市の元中学校校長で現在は小学校講師を務める雁瀬徳彦さんが作成した「こころの窓」の内容を引用・加筆させていただいたものです。「こころの窓」は中学生向けの地理教材で、不登校の生徒や、学校に登校できても教室に居られず別室で過ごす生徒が一人で勉強できるように作られています。雁瀬さんの取り組みに関しては、こちらの記事もご参照ください。
本記事では、第40回「九州地方の自然」の内容について紹介しています(教材の本文は編集せずに掲載しております)。ほかの単元の記事をご覧になりたい方はこちら。
2 「こころの窓」について
教材の一枚目を見ていただくと分かりますが、教材の文章を読むと歴史の流れがよく分かります。現在使用されている学校の教科書は写真も多くとても見やすいように思いますが、初めて歴史を学ぶ子どもたちにとって、とても難しい写真や資料です。また、教科書の文章には事実が羅列されているだけなので、歴史の事象がドラマティックであることや、当時の武将がどんな思いで戦いや政治を行っていたかという感動が伝わってきません。だから、不登校の子どもたちが学校の教科書だけを使って一人で勉強しようと思ってもなかなか続かないのです。
そこで、子どもたちが一人で楽しく歴史の勉強ができるようにプリントを作成しました。また、次のページには復習問題があります。ほかの教材だと、「794年に何がありましたか」という語句を答えさせる問題が主流です。このプリントには語句を答えさせる問題ではなく、「なぜ、都を奈良から京都に移したのですか」という問題が載っており、起こった事実に対して、その原因や結果について子どもたちに考えさせる問いになっています。
解説編
こんにちは。今日の気分はどうですか。ではまたボチボチ始めましょう。
今日のお題は「九州地方の自然」です。
古くからアジア大陸からの玄関口(入り口)として九州は栄えてきました。日本に人や米作りや言葉などが始めに伝わったのも九州です。また、戦国時代にポルトガルから鉄砲が伝わった種子島も九州にあります。他に、江戸時代には鎖国をしていた幕府が、唯一外国と貿易をしたところが長崎の出島です。こんなふうに九州は古くからの歴史があるところです。
下の地図を見てください。九州には日本海流(黒潮)と対馬海流の二つの暖流(だんりゅう・・・暖かい潮の流れ)が流れています。だから、夏はもちろんですが、冬も比較的暖かいという特長があります。そのために、プロ野球の冬場のキャンプ(暖かいところで行われる冬の練習のことです)がたくさん行われます。
また、九州にはたくさんの火山があります。熊本の阿蘇山(あそざん)や鹿児島の桜島(さくらじま)は特に有名です。だから、九州には温泉が多くたくさんあります。なかでも、大分県の別府(べっぷ)温泉や湯布院(ゆふいん)は一年を通してたくさんの観光客が訪れます。それから、この火山の地熱を利用して地熱発電所もたくさんつくられています。全国の6割の地熱発電所が九州にあるそうです。地熱発電はCO2(二酸化炭素)や放射能を出さないので、環境にやさしい発電所なのです。
それと、九州は昔から台風がたくさんやって来て、梅雨(つゆ)の時期とかさなると、集中豪雨によって大きな被害をもたらしました。
話は変わりますが、日本で最初の新婚旅行は、坂本龍馬と奥さんのお龍さんが鹿児島を旅行したのがはじまりと言われています。この旅行を計画したのは、なんとあの西郷隆盛だったそうです。西郷隆盛は、幕末の歴史を大きく動かした薩長同盟のために、一生懸命働いてくれた坂本龍馬にお礼をしたかったそうです。
私も九州の温泉旅行を計画しています。行きたいのは大分の湯布院温泉です。日本の温泉は多くの観光客を受け入れるために、たくさんの大きなホテルを建てました。そのために自然が壊されたところもあります。しかし、この湯布院だけは、ホテル建設に街中の人が反対したために、大きなホテルは建設されてきませんでした。だから、昔からの自然がそのまま残っているようです。皆さんもぜひ計画してみてください。
お疲れ。では復習問題へ。
復習問題
1.九州の歴史の特長をまとめてください。
古くからアジア大陸からの玄関口(入り口)として九州は栄えてきました。日本に人や米作りや言葉などが始めに伝わったのも九州です。また、戦国時代にポルトガルから鉄砲が伝わった種子島も九州にあります。他に、江戸時代には鎖国をしていた幕府が、唯一外国と貿易をしたところが長崎の出島です。
2.なぜ九州は、一年中暖かいのですか。理由をまとめてください。
九州には日本海流(黒潮)と対馬海流の二つの暖流が流れています。だから、夏はもちろんですが、冬も比較的暖かいという特長があります。そのために、プロ野球の冬場のキャンプがたくさん行われます。
3.九州の自然の特長をまとめてください。
九州にはたくさんの火山があります。熊本の阿蘇山や鹿児島の桜島は特に有名です。だから、九州は温泉が多くたくさんあります。なかでも、大分県の別府温泉や湯布院は一年を通してたくさんの観光客が訪れます。それから、この火山の地熱を利用して地熱発電所もたくさんつくられています。全国の6割の地熱発電所が九州にあるそうです。地熱発電はCO2(二酸化炭素)や放射能を出さないので、環境に優しい発電所です。それと、九州は昔から台風が多く、梅雨(つゆ)の時期とかさなると、集中豪雨によって大きな被害をもたらします。
3 ダウンロードはこちらから
こころの窓 第40回「九州地方の自然」
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4 おわりに
不登校の子どもたちにとって一番大切なことは、何が何でも学校に登校させることではなく、家であろうが別室であろうが自立の力をつけてあげることだと考えます。誰かに言われて取り組む学習を重ねるのではなく、自分で考えて自分で学習できる力をつけることが大切です。その上で、学力をつけていくことが「生きる力」につながっていくと思います。
この「こころの窓」は、一人で勉強するために作ったプリントです。閉ざした『こころの窓』を開けて、社会に出て行くための勉強をがんばってほしいと考えてこの題名をつけました。
不登校に悩む子ども達の力になることを祈っております。
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