梅干しで10円玉を磨こう(水溶液の性質) ~楽しい理科実験vol.20

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酸の強さで汚れを落とす

水溶液の酸性・アルカリ性を調べる実験をした後、酸性の水溶液の「とかす」性質を利用して10円玉を磨きます。すでにアルミニウムと鉄(スチールウール)を塩酸でとかしています。酸の金属をとかす性質について学習した後のお楽しみ実験です。

リンク>>>>>>>>>難関「塩酸に金属をとかす」(水溶液の性質) ~楽しい理科実験vol.19

最近はクリーナーとして「クエン酸」「重曹(炭酸水素ナトリウム)」「セスキ(炭酸ナトリウム)」等のほぼ純粋な化学物質が、他の混合溶液と同列にお店の棚に並んでいます。すでに食器洗いや清掃時に「重曹」「セスキ」を使っていることを知っている子どももいました。でも、10円玉を磨いてみたことはないと思います。

「重曹」「セスキ」等のアルカリ性の水溶液は油やタンパク質の汚れに強いですが、10円玉に対しては汚れを落とすことができません。重曹水でやってみましたが、水と同じで全くきれいになりませんでした。油で汚れた物を準備するのはたいへんなので、今回は酸性の水溶液のみを使いました。

酸性が強めの食品を使って

酸性水溶液には梅干しを使いました。身近な存在である食品から選ぶのが良いと思います。梅干しのpHは、約2.0〜3.0でけっこう強いです。クエン酸やリンゴ酸を含んでいるそうです。レモンのpHも同等で、レモンの方が爽やかなイメージがあるので、どちらにしようかと迷いましたが、敢えて臭いがキツイ梅干しを選びました。確たる理由はなく、梅干しの臭いが記憶に残りやすいと思っただけです。

結果は下の写真です。

左から、

梅干しで磨いた(昭和六十二年)、レモンで磨いた(昭和四十八年)、何も手を付けていない(平成四年)、何も手を付けていない(令和二年)

です。令和二年のキラキラ感には負けますが(実験時令和五年)、梅干し・レモンで磨くとけっこうきれいになりました。

学級の様子によっては梅干しの臭いが子どもたちの拒絶反応を引き起こす場合もありますので、レモンも選択肢として考えていいと思います(この程度の臭いは面白がってくれる方がいいと思うのですが・・・)。柑橘系で酸味が強い食品なら、汚れは落ちると思います。醤油や酢も試したことがあり、梅干しやレモンと変わらないぐらいにきれいになりますが、臭いはきついです。ヨーグルトや漬物・味噌も酸性ですが、pH4~5あたりになるので梅干しやレモンに比べると汚れが落とすパワーは弱くなります。本当は酸っぱくないものも含めて、様々な食品で実験するのが楽しいと思うのですが、部屋の空気が異様になって一部の子どもたちから不満の声が出てきます。梅干しぐらいが落としどころではないかと思います。
もし、家庭で自由研究としてやってみるなら20種類ぐらいの食品で磨いてみるといいですね。

実験の進め方

実際には下記のように実験を進めました。かなり楽しそうにやっていました。

① 4月から少しずつ、10円玉を(2クラスを担当していたので)80枚ほど準備しました。また、イオンで買った特にブランドもない種なしの梅干しを2つ購入して実験に臨みました。
② 磨く作業を始める前に子どもたちを 教師机周りに集めて、10円玉を少し濡らしてから梅干しに包み込むようにして5分ほど入れました。つけ置きです。子どもたちが磨き終わった後で見せます。(レモンにもつけ置きしておいてもいいと思います)
③ まずは水とめんぼうだけで磨かせます。ほとんどきれいにはなりません。
④ 綿棒に梅肉をつけながら梅干し磨きがスタートです。どの子も磨く作業は楽しいようで、上の写真程度にきれいになりました。
⑤ 最後に水洗いして完成です。「もっときれいにしたいから、細かい所をこする用に爪楊枝をください!」と訴える子どももいましたが、「その意欲は三重マル」と返事して10分程度で終わりにしました。
⑥ 片づける際には10円玉を確実に集められるように班ごとに回収させましょう。10円でも盗まれると嫌なムードになってしまいます。
⑦ 子どもたちを教師机の周りに集めて、②でつけ置き状態にしておいた梅干しを見せます。つけ置きだけでもずいぶんきれいになっています。下の写真では梅で覆っている部分だけがきれいになっています。

⑧ 今度は、10%塩酸に入れます。あっという間にきれいになります。さすが、塩酸です。
⑨ 子どもたちにノートをまとめさせます。この時、酸性の「酸」は訓読みで何て読むか知っていますか?と、聞きます。酸性の「酸」の訓読みは「酸(す)っぱい」です。大きく板書しました。酸っぱい食品には酸性のものが多いです。

子どもたちから、

「塩酸につけたら10円玉がとけてしまわないの?!」

と、心配の声が上がりました。大丈夫、鉄やアルミニウムは塩酸でとけますが、銅は塩酸には溶けません。

「塩酸でもとけないなんて、さすが金銀銅の銅ですね。金も銀もとけません。ちなみに銅と銀は硝酸という強い酸性の水溶液でとけます。金は濃塩酸と濃硫酸というすごく強い酸性の水溶液を混ぜた『王水』でないととけないのです。」

と、ウンチクも垂れておきました。

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