水や空気を温めると?冷やすと?
物質の体積と温度について、学習指導要領では以下のように示されています。
(ア) 金属,水及び空気は,温めたり冷やしたりすると,それらの体積が変わるが,その程度には違いがあること。
4年生は空気や水について学習する機会が多いです。この実験は温度の違いで膨張・収縮の具合が物質(水・金属)によって違うことを学びます。下に記すような条件で実験を進めましたが、条件がいくらか異なるとこの通りにはいかないと思います。必ず、予備実験をして授業に臨んでください。
金属の膨張と収縮については金属球を熱してリングに通す定番のとても楽しい実験がありますが、火傷の防止以外は難しい実験ではないので、本記事では扱いません。
空気の膨張と収縮
空気を温めたり冷やしたりする実験は、教科書(東京書籍)では下の写真のような器具を準備するようになっています。

この器具の試験管部分をお湯につけたり、氷水で冷やしたりして様子を観察します。ガラス管の中に水を挿入し、水が上下するのを膨張の目印にします。水が上下するようにするため、細いガラス管を用意する必要があります。指導書には外径6㎜のガラス管を準備するように書かれています。これでも十分に興味深く実験できるのですが、この実験の前に、下の写真のように試験管を用いた実験をすでにしています。

そこで、空気が大きく伸び縮みするようにフラスコを使って実験をしてみました。フラスコの方が変動が大きくて面白いです。教科書の試験管の実験では試験管を温める湯の温度を60℃~70℃と設定していますが、フラスコを用いると40℃でも膨張・収縮の様子がよくわかります。温められる(冷やされる)空気の体積が大きくなるため変化量が大きくなります。

また、目印として水ではなくニンジンをゆがいたものをガラス管内に入れて、以下のような条件で行いました。
- 300mLの平底フラスコを用いる。
- 1000mLプラスチック容器(ポリビーカー)に300mLのお湯(38℃)を入れる。・・・これより熱くするとあっという間にニンジンが飛び出ます。(それも面白いですが)
- 1000mLプラスチック容器(ポリビーカー)に300mLの水を入れる。・・・氷を使うと冷え過ぎてあっという間にニンジンがフラスコ内に落ちます。
- ガラス管は外径6ml・38cmと、ニンジンがすぐに飛び出しにくいように長めにしました。
- 膨張・収縮の具合は室温・水温にも左右されます。17℃の部屋で実験を行いました。水は水道水(13℃)を使いました。冬で水道水の水が冷たすぎる場合は、少し(室温ぐらいには)温めた方がよいと思います。
- ニンジンは1cm~1.5cmの厚さに切って、箸がすっと通る程度に煮ておきます。

水を目印にしようとするとガラス管の途中で上手くとどまらなくて流れてしまうことがけっこう多いのですが、ニンジンを使うとずっと簡単で失敗がありませんでした。ゼリーやプリンなどでも試してみましたが、ニンジンは水分を多く含んでいるためか、空気が漏れにくくて滑りやすいので最も快適な実験になりました。
あまりガラス管の径を小さくし過ぎるとあっという間にニンジンが飛び出してしまいますので、外径6mmぐらいが適当かと思います。最初は手で温めさせても、ニンジンは上昇します。その後で38℃のぬるま湯につけると、さらに上昇します。
「ニンジンは上がったり下がったりしますよ。ニンジンがガラス管から飛び出たり、フラスコの中に落ちたりしてしまうので、そうなる前に5㎝ぐらい手前で、プラスチック容器から出すんだよ。」
と、注意しておきましたが、どの班も飛び出る、飛び出る(笑)。「ニンジンのエレベーター」がガラス管内を上下して、たまに飛び出す(落ちる)のが楽しそうでした。
飛び出た場合はすでにフラスコ内の空気が温まっているため、逆方向(ガラス管の上側)からニンジンを入れて水で冷やすと、実験を続けることができます。
少ししんどいですが、実験用具は2人で1実験になるように作っておくといいですね。ゴム栓にガラス管をさした用具は毎年使うので、たくさん作ってセットにしておきます。ガラス管が長い方が絶対に面白いです。ガラス管が長くなる分、先にはゴム管を短く切ったものをつけて安全対策をするとともに、割らない(他の人のガラス管に当てない)ように注意喚起をしてから実験に臨みましょう。

もっと空気を温めると?
最後にフラスコを90℃の熱湯につけてみました。教師机の所に子どもたちを集め、
「すごいスピードだよ。一瞬だから、よく見ておいてね。」
と、振っておいて、集中させます。熱湯につけると、あっという間にニンジンは高く飛び出しました。子どもたちからアンコールの声が上がったので、もう一度実験しました。再度する際には、使った直後のフラスコを使うと中の空気がすでに温まっていて膨張率が下がるので、フラスコは取り替えてください。
もし、外径6㎜で1mのガラス管があれば、それをゴム栓にさして使用すると空気の膨張がさらによくわかります。
水の膨張と収縮
空気の膨張と収縮と同様に、水も試験管を用いて実験をすると変化量が少ないため、フラスコを用いてみました。空気が軽くガラス管を超えてニンジンが飛び出しましたが、「水は空気に比べて膨張率・収縮率が低い」ということを示さねばなりませんので湯の温度は水の実験の時と同じにします。ガラス管から水があふれるようでは困ります(あふれた方が子どもは喜ぶのですが)。
そこで、様々な調節をしました。
- 水は300mLの平底フラスコにいっぱい入れる。
- 1000mLプラスチック容器(ポリビーカー)に300mLのお湯(40℃)を入れる・・・比較のため、水の時のお湯と同じ温度にする。
- 冷やす時の氷はプラスチック容器がいっぱいになるぐらいまでたっぷり入れるといいと思います。
- ガラス管は外径6mL・38cm
- 室温・水道水の水温にも左右されます。15℃の部屋で13℃の水を用いて実験を行いました。
という条件です。室温やフラスコに入れた水の最初の温度にも影響されると思います。
一旦温まって膨張した水を冷やして印をつけた元の位置まで下げるには時間がかかります。冷やす実験を行う場合は、フラスコ内の温まった水を捨てて新しい水道水と入れ替えるとよいと思います。
空気の時と違って、水はそれほど膨張・収縮しないことが分かります。

15℃の水を40℃の湯で温めるのと、15℃の水を0℃の氷で冷やすのでは温度差も違うので、水の体積の変化量もやや違いますが、そこはあまり気にしなくてもよいと思います。
もっと水を温めると?
この実験をした後、子どもから、
「空気の時みたいに、もっと熱いお湯につけたらどうなるのだろう?」
という疑問が出てくればいいですね。熱湯(約70℃を600mL)で温めると、水がたくさんあふれてきます。食紅等で水に色を付けてデモ実験をしてあげるとあふれている様子がよくわかりますので、盛り上がります。
ただし、60℃を超える湯をかけるとフラスコ内に水蒸気が発生します。水が膨張しているだけではなく、水(液体)が水蒸気(気体)になって体積が増えた分も影響してきますので、正しい実験とは言えないと思います・・・。

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