はじめに
この実践は2011年12月~2012年1月に行われたもので、東京学芸大学の”先生のための授業に役立つ学校図書館活用データベース”のHPから引用させて頂いたものです。学校図書館担当の視点でまとめてあります。HPはこちら→ http://bit.ly/TshXRY
国語の教科書に「伝記を読もう」という単元が3学期にあります。冬休み前から、「興味のある人物の伝記を探して、読んでおきましょう。3学期に紹介してもらうから」と予告しました。できれば、同じ人の別の伝記と読み比べできたらなおいいとも伝えました。
3学期になって、「LibraryNAVI 」(ライブラリ・ナビ)というリーフレットの型を紹介しました。折りたたんだ時にジグザグにみえる5つの見出しがポイントです。どんな5つのテーマでその人を紹介するか、マッピングを使って考えてみました。
「LibraryNAVI 」とは、1辺が斜めの用紙を蛇腹に折った、リーフレットです。 http://librarynavi.seesaa.net/
「伝記 LibraryNAVI 」の書き方
1.表紙
①取り上げた人物名
②サブタイトル その人の特徴や人生がわかるようにつけよう
③メインとなった伝記の書名、著者名、出版社を書く
④「LibraryNAVI 」と書く
⑤所属学校名 学年 学級
2.5つの見出しと内容
①5つの見出しを考えましょう。
たとえ同じ人物を取り上げても、それぞれ違った5つの見出しになるはずです。そこが勝負!そこに個性が出てきます。
②それぞれ面積が違うので、内容、順番を考えましょう。
③図や表、イラストなどを効果的に入れましょう。
3.裏表紙
①あとがき、編集後記
- 伝記を読んだりして思ったこと、まとめてみて思ったこと、自分の意見や考えも書きましょう。
②参考文献
- 2冊目以降の本の書誌事項やwebサイトのURLとアクセス日
③制作年月日
④制作者名とマーク
- 子どもの作品を見てから、見出しの中の小見出しも重要と気がつきました。
図書館とのコラボレーション
図書館の提案で行った活動ですが、担任の先生の理解と協力と、やはり「指導」が最重要ポイントでした。図書館の活動は常にそうなのですが、子どもたちは図書館の思いや願いもさることながら、担任の先生がどこまでを要求しているか、担任の思いも敏感に感じ取って、作業を進め仕上げていくのを感じています。卒業直前、時間のない中で、丁寧な仕上がりに感動でした。
(東京学芸大学附属小金井小学校司書 中山美由紀)
担任の三浦尚介先生より
中山先生に薦めていただいて始めた伝記の「 LibraryNAVI 」。これまでの歴史の学習に関連付ける子。自分自身の生き方や信条を見つめ直す子。将来の夢に思いをはせる子。伝記を通してこれまでの学習や自分自身について考えることができました。卒業式目前の時期にぴったりの素晴らしい活動を紹介していただきました。
また、メディアリテラシーの観点からも価値のある活動です。「LibraryNAVI 」の作成にあたって、なるべく複数の資料を参照するように話しました。 同じ人物をあつかっていても、書き手が違えば書きぶりも変わってくるということを実感できた子もいたようです。
(東京学芸大学附属小金井小学校教諭 三浦尚介)
編集後記
伝記を読むということは、ある人の人生を知り、新たな知識を得て、自分についても考えるきっかけとなる大事なことの一つだと思います。私自身も小学生の頃、読んで印象に残った伝記は今でも覚えています。ただ単に読むだけではなく、ポイントを考え、まとめて、他人と共有することのできるのが、この「Library NAVI」の作成と展示です。そしてこれは子どもたちにとって大きな意味のある活動だと思います。この活動を通して同じ本を読んでも他人と感じることが違うということを実感でき、子どもたちの人間力養成にも発展させられるのではないか、と感じました。
また、メディアリテラシー教育は現在の情報化社会で正しい情報を選択していくためには、必須となると言われています。この実践はそうした視点を子どもたちに与えるきっかけになりうるという意味でも有益だと思いました。この実践を通してより多くの子どもたちがメディアの情報を鵜呑みにするのではなく、自分できちんと考えて情報を見極めることができるようになれば、と改めて思いました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 杉田 彩)
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