道徳教材(高学年)にも使いたい、食育のステキなお話「弁当の日」教材A・教材B

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目次

1 はじめに

空気は読まない」鎌田實(みのる)Dr.(集英社)は、山形県のS先生に教えてもらって以来、すっかり私のお気に入りの本になりました。
1章「空気ってなんだろう」の「『弁当の日の奇跡」は、私も思わず、もらい泣きしてしまった話でした。
本書を直接読まれることをおススメしますが、道徳教材に使いたいなあと思ったところを紹介させてください。
家庭科だけでなく、おそらく総合的な学習の時間も活用されたのでしょう。
小学校高学年や中学校で、親に手伝ってもらわずに、子どもたちが自力で弁当を作る取り組みに挑戦された本当の話(現在進行形の実践校は全国で1200校以上)です。
では、一部分だけですが‥。

2 教材A

『子どもたちは思い思いの弁当をつくってきた。
親の手を借りずに弁当づくりを楽しみ、いろんな発見をしていった。
朝早く起き、手間をかけて調理してみて・・・。
失敗したヒジキご飯を「おいしい」と言って食べてくれた両親・・・。
今どんな野菜が旬なのか・・・。
お米やニンジンや鶏肉が調理されて口に入るまで‥たくさんの働き手・・・。
スーパーに並んだ魚が生きて泳いでいたときの姿‥命を食べている・・・。
そして、食べることの楽しさ、うれしさ、ありがたさを知るにつれ、毎日の給食・・・。
変わったのは、「食」に対する姿勢だけじゃない。
朝が苦手で、お母さんに起こされてもなかなか起きなかった子・・・。
買い物をするとき・・・。
お弁当をつくる間に出るトレイやパックなどのゴミの多さ・・・。
「弁当の日」で子どもたちの【    A    】が育っていった。
(ちなみに、本書では、【A】には、【生活力や自立心、社会への関心】と書いてありました。)

3 教材B

5年生の女の子は、自分の分だけでなく、お父さんとおばあちゃんに感謝弁当をつくった。
残ったものを、お母さんやお兄ちゃんたちも食べられるよう、多めにご飯を炊き、おかずをこしらえた。
お父さんは大阪に単身赴任中で、週末だけ家に帰ってくる。
月曜の朝、大阪に戻る新幹線のなかで食べてほしくて、朝5時に起きた。
お父さんは、うれしかった。
娘が早朝から1人で弁当をつくっている姿を見て泣き、その弁当を受け取って泣き、食べて泣いた。
会社に着くと同僚たちに自慢し、昼休みには自宅に電話をかけた。
「おいしかったよと、あの子に必ず伝えて」
と妻に言いながら、また泣いたという。
おばあちゃんは入院中だった。
お母さんが病院へ届けた。
おばあちゃんはベッドの上に正座をして、孫の手づくり弁当を受け取った。
「私は結婚以来、たくさんのお弁当をつくってきた。だけど、つくってもらったのは、これが初めて。ありがとう」
おばあちゃんも泣きながら食べた。
自分のつくった弁当を、誰かが泣きながら食べてくれた。
「してもらう」喜びだけでなく、「してあげる」喜びを知った。
そんな体験をした子どもは【    B    】。』
(ちなみに、本書では、【B】には、【どんなことがあっても生き抜くだろう。「弁当の日」をきっかけに、親子の会話や一緒に過ごす時間が増えた。】と書いてありました。)

4 補足

お話の・・・のところは、あえて省略してみました。
子どもたちが、それぞれ具体的に思い浮かべてくれたらなあ、と思ったからです。
先生方なら、どうなさいますか。

5 子どもたちに問いたいところ

授業では、まず、お話の前半(教材A)を読んで、それらの・・・を思い思いに想像しながら、【   A   】に何が入るかを、みんなで出し合えたらいいかなあ、と思いました。
その上で、お話の後半(教材B)にある5年生の女の子の事例を読んで、最後の【   B   】は、各自が思い描けたイメージを各グループで、そしてクラス全体で交流し合えたらいいな、と考えてみました。
もっといいアイデアが浮かんだら、なおさら、実践してみてください。
【A】【B】も1つの正解を探すのではなく、1人ひとりが語るさまざまなイメージに対して、それに共感したり、また、それと自分との違いを認めたりしながら、お互いに聴き合い、受けとめ合える「クラスの仲間」に育っていく、そのきっかけに、この教材A・教材Bがなってほしいなと願います。

6 おわりに

この「弁当の日」の取り組みを学校ぐるみで実践している小学校(高学年)・中学校などが、今、全国で1200校以上に広まっていることを、「子どもが作る弁当の日 実践校一覧」のホームページで確かめました。
実践校の多い順にベスト10をあげると、宮崎県385校、福岡県121校、岐阜県94校、栃木県93校、広島県80校、新潟県52校、埼玉県42校、香川県41校、大分県41校、島根県40校の順になるようです。
2014年1月5日現在1283校とは、驚きです。

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