「たぬきの糸車」(光村図書 1年 国語 ともだち)〜討論を通して「たぬき」「おかみさん」の行動や心情をつかむ〜

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目次

本単元で身に付けたい資質・能力

・物語は「いつ、どこで、誰が、どうした」の構成でできている。物語の読解では、「時代、場所、登場人物の行動や心情」を捉えることが大切になる。心情の類推の手がかりには登場人物の「行動」「会話・口調」「表情」などがある。

・本単では、物語が「いつ、どこで、誰が、どうした」の構成でできていること、登場人物、主人公、登場人物(たぬき・おかみさん)の心情をつかむ力を身に付ける。

・登場人物の心情をつかむための討論を通して「話す力」を、自分の意見を文章にまとめることを通して「話す力」も身に付ける。 

単元の評価基準

知識・技能

①物語は「いつ」「どこで」「誰が」「どうした」の構成でできていることが分かる。

思考・判断・表現

①「読むこと」を通して、場面の様子に注目したり登場人物や主人公の行動、心情を類推したりして捉えている。

②「話すこと」を通して、自分の考えを伝えると同時に、分かったことを共有しようとしている。

③「書くこと」を通して、登場人物や主人公の行動、心情や自分の考えを伝えようとしている。

主体的に学習に取り組む態度

物語の内容や登場人物の心情、行動などについて分かったこと、気づいたこと、思ったことなど、自分の考えを話したり文章にまとめたりしようとしている。

子どもの意欲を引き出すには

どちらが正解なのか迷うような発問をすることで、子どもが正解を出そうと一生懸命、考えようとする意欲を引き出す。

・自分の考えをみんなに理解してもらおうとする意欲、話す意欲を討論することで引き出す。

単元の展開【1時~5時】

1時 (第1次)「たぬきの糸車」に全文を音読する

・1時間かけて、全文を音読させ、文章全体の概略をつかむ

一文ごとに追い読みする(先生が一文読んだあとに子どもが一文音読する)

交代読みをする(先生が先に、一文読んだあとに、次の一文を子どもが音読する)

交代読みをする(子どもが先に、一文読んだあとに、次の一文を子どもが音読する)

交代読みをする(男の子が先に、一文読んだあとに、次の一文を女の子が音読する。全文の音読が終わったら、今度は女の子が先に読む)

列ごとに音読する。一人ひとりが一文ずつ音読する。

2時 (第1次) 場面をつかむ

「いつ、どこで、だれが、どうした」を考える。以下の→のあとの部分を答える。

いつ → むかし

     月のきれいなばん

     ふゆ

     はる

だれ → たぬき 

     きこりのふうふ

     おかみさん

どこで → 山おくの一けんや

      小屋

どうした → おかみさんが糸車をまわしていた

       たぬきがいたずらをした

       たぬきがわなにかかったのでおかみさんが逃してあげた

       たぬきが糸車をまわすまねをしていたのをおかみさんがみた

       たぬきが糸をつむいでいたのをおかみさんに気づかれる

3時 (第1次) 主役は誰かを考える

・先生:「このお話の主役は誰ですか」

 子どもから出されると予想される答え:

①  たぬき ②おかみさん ③きこりのふうふ ④このお話を書いた人 など

自分が考える答えとその理由をノートに書かせたあと討論する。討論の途中で、

「主人公」を考えるには、「セリフ」「動作」「心情(気持ち)」がヒントになることなど、定義を教えておく

討議(話し合いのあとに結論を出す)ではなく、討論なので明らかに間違い、違いと言えるものだけを消去し、意見をまとめることはしない

4時 (第1次) おかみさんの気持ちが変わった場面はどこか考える

・先生:「おかみさんの気持ちが変わったのはどこからですか」

 子どもから出されると予想される答え:

  ふと気がつくと、やぶれしょうじのあなから、二つのくりくりした目玉が、こちらをのぞいていました。

  糸車がキークルクルとまわるにつれて、二つの目玉もくるりくるりとまわりました。

  そして、月のあかるいしょうじに糸車をまねするたぬきのかげがうつりました。

  おかみさんは、おもわずふきだしそうになりましたが、だまって糸車をまわしていました。

  「いたずらもんだがかわいいな。」

  「かわいそうに。わななんかにかかるんじゃないよ。たぬきじるにされてしまうで。」

  「おかみさんは、そういって、たぬきをにがしてやりました」

  その他

自分が考える答えとその理由をノートに書かせたあと討論する。討論の途中で、登場人物の心情の変化を考えるには、「会話・口調」「動作」「時間の経過」「周囲の情景」などをヒントにして考えると良いことを討論の進み具合を見計らって、教える。

ここでも、討議(話し合いのあとに結論を出す)ではなく、討論なので明らかに間違い、違いと言えるものだけを消去し、意見をまとめることはしない(討論の定義は「議論すること」とあるため)。まとめることはしないが、この単元の最後の授業で、自分の考えをまとめる文章を書く取り組みをする。

5時 (第2次) おかみさんの気持ちが変わった場面はどこか自分の考えを書く

どの子どもも書くことができるように黒板に子どもが使う原稿用紙を拡大して貼り、見本、テンプレート(文章の型)を示しておく。

おかみさんの気持ちが変わった場面は「ここから」と考える理由を、一文ずつ先生に見せる。全文を書かせてから見せに来させると直しがあると子どもが大変になるため。また、先生が読むのにも時間がかかり、見てもらうのを待つ子どもを多く出してしまうため。

・全文が書けたら、誤字、脱字がないか確認する。

できた文章をもう一時間とって発表させたり、朝の時間に数名ずつ発表させたり、国語の授業のはじめに数名ずつ発表させたりする。あるいは、先生が読んで聞かせる。

「自分の意見をまとめた作文の例」

参考 URL:

「たぬきの糸車」 実践記録 | TOSSランド (toss-online.com)

分析批評初心者による「たぬきの糸車」の指導 | TOSSランド (toss-online.com)

 「たぬきの糸車」全発問 | TOSSランド (toss-online.com)

 こうすれば1年生でも評論文が書ける | TOSSランド (toss-online.com)

 小1 国語科「たぬきの 糸車」全時間の板書&指導アイデア|みんなの教育技術 (sho.jp)

 出典:「国語」授業の新法則 1年生編 企画・総監修 向山洋一 p88~91

執筆者プロフィール

須貝 誠(すがい まこと)

公立小・私立小など数多くの教育現場での講師経験あり。

塾では、主として「国語」を担当。小学生、中学生、高校生に教える。

TOSS(教師が集まる民間の教育団体)で「楽しい授業」「よく分かる授業」 などを学ぶ。

現在は、おもに塾講師・教育ライターとして「教育」「授業」「国語」を学びつつ、

教育に関する記事を書き、教員や保護者を応援している。

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この記事を書いた人

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