【小学校の避難訓練】効果的な指導をするポイント

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学校で年に数回実施される避難訓練は安全教育の根幹と言える学校行事です。

特に地震の際の避難行動は、日本国民にとっては必須のスキルです。

「ただの訓練、ただの学校行事」にせず、より実戦的な指導が避難訓練には必要です。

今回は避難訓練の効果的な指導のポイントを解説していきます。

目次

避難訓練の目標は「自助力の向上」

学校における安全教育の目標を端的に表すと「自助・共助・公助」です。

小学校の避難訓練では「自助力の向上」に努めましょう。

(ちなみに中学生は「共助」、高校生は「公助」の意識を高める安全教育が求められます)

まずは、「自分の身は自分で守る」という意識を児童が高められるように指導します。

避難訓練は事前指導と事後指導がポイント

事前指導は「緊急時の対応方法」を確実に指導

避難訓練は「緊急時の対応方法を学ぶ訓練」です。

児童が緊急時の対応方法を教わるのは避難訓練くらいではないでしょうか。ですから、「ほとんどの児童が対応方法を知らない・わからない」という前提で指導する必要があります。

そのため、避難訓練の事前指導では「緊急時の対応方法」を確実に指導します。

事前指導では実際の場面を児童に想像させながら指導すると効果的です。 

教師が一方的に話すのではなく、児童と対話しながら教えていきます。

T「もし授業中に地震が起こったらどうする?」

C「机の下にもぐる」

T「机の下にもぐる時の注意点は?」あるいは「どうして机の下にもぐるの?」

C「……」

T「頭を守るためだよ」

火事を想定した避難訓練の場合

T「みんなが教室で勉強をしていて、理科室から火が出たと放送があったらどうすればいいかな?」

C「にげる!」

T「どこを通って逃げるの?」

C「理科室は○○にあるから、~を通って逃げる」

T「正解! 避難経路の図をたしかめてみましょう」

このように、児童に考えさせ、答えを見つけさせることで対応方法が記憶に残りやすくなります

また訓練前に「机の下にもぐる」「整列する」といった「訓練の訓練」も特に低学年に有効です。

事後指導は「訓練のふり返りにプラスα」

事後指導は事前指導で教えた対応方法が避難訓練でできたかをふり返ります。

T「避難訓練はどうでしたか?」

T「今日の避難訓練は100点中何点でしたか?」

T「80点の人は残りの20点は何が足りませんでしたか?」

事前指導と同じように、対話形式でふり返ると効果的です。

そして、できていなかった部分は確実に指導しましょう。

 

また、事後指導では今回の避難訓練に別の状況を補足して指導できるとよいです。

学んだ対応方法にプラスαを伝えることで、より自助力を高められるからです。

例えば、「授業中ではなく休み時間に地震が起こったらどう対応するか?」

休み時間の地震は、「教室ではない場所にいる」「教師が目の前にいない」など、授業とは異なる状況が想定されます。

このプラスαで、児童の「自分の身は自分で守る意識」が高まります。

避難訓練の学びを広げるアイディア 

避難訓練の事後指導では、訓練内容の確認とプラスαを述べましたが、ここでは避難訓練の学びを広げるアイディアを解説します。

「おかしもち」は自助・共助の基礎 

避難訓練でよく使われる言葉「おかしもち」は、自助・共助の基礎です。

国語で言えばひらがな・カタカナです。

「おかしもち」は、以下の行動の頭文字でできています。

  • おさない
  • かけない(走らない)
  • しゃべらない
  • もどらない
  • ちかよらない

緊急事態にパニックになりがちな時、注意すべきことが「おかしもち」という言葉にまとまっています。児童には「おかしもち」は緊急時の基本(ひらがな・カタカナ)であることを伝えましょう。

どんな災害場面でも適切な行動をとれるように

どんな災害の場面でも適切な行動を学ぶのが避難訓練です。

地震だけではなく、以下のさまざまな災害を想定して避難訓練を行っている学校もあります。

  • 地震
  • 火災
  • 竜巻
  • 落雷
  • 不審者 

どんな災害の場面でも、「おかしもち」が避難行動の基本です。

また先述したように、親や教師などの大人が近くにいない時に災害に遭う場合もあります。

例えば、登下校中に地震が起こる可能性もあります。

もし、登下校中に地震が起こったら「頭を守る」「ブロック塀・大きな建物からは離れる」

「公園などの広い場所の中央に逃げる」などの対応が考えられます。

避難訓練の時に合わせて指導できるとよいです。

学校内では、「教師がいない時」も考えられます。

緊急時に担任の教師が出張であったり、教科担任制で担任外の教師が授業を行っていたりする場合もあります。担任の教師が救助者になったり、ケガ人になったりする場合もあり、想定したらキリがありません。

「考えすぎだ」と思われるかもしれませんが、「考えられるケースは全て想定しておくのが安全指導では肝要」です。

緊急時に担任の教師がいない場合、「誰の指示に従うのか?」「最適な行動は何か?」なども、避難訓練で児童に考えさせていきたいですね。

近くに大人がいなくても「自分の身は自分で守る」という自助の意識を高めてこそ、避難訓練の意味があります。

安全教育の根幹である避難訓練で、自助の意識を児童が高めれば、「お家で留守中の地震」「子どもだけの公園で不審者」などの場合でも、適切な行動ができるでしょう。

児童の実態に応じて避難訓練をより実戦的な訓練にし、児童の自助力を高めてほしいです。

まとめ:避難訓練だけではなく、他の安全指導と合わせて

児童の自助力は一朝一夕には身につきません。

避難訓練を独立して考えるのではなく、日常の安全指導や他の安全指導と合わせた指導を心がけましょう。

交通安全教室、薬物乱用防止教室、非行防止教室などの安全教育も「自分の身は自分で守る」という自助力の向上が根底にあります。

自助力も「生きる力」の一つと考えて児童に指導していきましょう。

参考・引用URL

https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/05/15/1416681_01.pdf(「生きる力」をはぐくむ学校での安全教育(文部科学省))

執筆者プロフィール

マー

小学校教員を15年務めた後、フリーのWEBライターに転身。教員時代は安全主任、体育主任、生徒指導主任、学年主任を担当。現在は「物事のよさをより多くの人に」をモットーに教育系記事、金融系記事を主に執筆。趣味は野球観戦とランニングで、野球やマラソン・駅伝を応援するブログを運営している。

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