ぬいぐるみを使った健康指導

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目次

1 はじめに

生活習慣病と聞くと、大人の病気だと思われる方が多いのではないでしょうか。しかし肥満児数の急増などの背景から、最近では子どもの生活習慣病が社会問題視されているのです。

本記事では、子どもに自らの健康に関心を持ってもらい、日々の生活でも正しい生活習慣に気を配れるようになるための活動「ぬいぐるみ病院」を紹介します。

「ぬいぐるみ病院」とは

「ぬいぐるみ病院」の活動はドイツ発祥で、IFMSA(国際医学生連盟)を母体としています。現在もドイツを含め様々な国において、主に幼稚園生を対象に日頃から医療や病院での様々なシチュエーションに触れていくことによる恐怖心の払拭を大きな目的として活動しています。

2 実際の活動

ぬいぐるみの診察ごっこ

必要なもの

  • ぬいぐるみ(子どもに持ってきてもらう)
  • カルテ


  • 診察グッズ(百円均一ショップなどで手に入ります)


役割分担

患者=子どもに持ってくるように伝えたぬいぐるみ
ぬいぐるみのお友達=子ども
医師、看護師(1人ずつ)=教員

  • 医師は問診、診察、診断、治療を主に行う。
  • 看護師はカルテの書き取り、最後のおさらい、健康指導を行なう。

具体的な流れ

1.あいさつ
医師・看護師が自己紹介をし、子どもの名前も聞く。

2.名前記入
ぬいぐるみの名前・年齢をカルテに記入する。

3.問診
①どうしたのかな?(ぬいぐるみの名前も呼ぶ)と問いかけて、ぬいぐるみの病気について子供に自由に話してもらう。
②カルテ欄が埋まるように医師・看護師は質問を加える。

※ 例

  • 頭が痛い→体温(37.5℃熱あり)→風邪
  • 喉が痛い→体温(37.5℃熱あり)+舌圧子(喉赤い)→風邪
  • 熱あり/関節痛→体温(38℃以上熱あり)+ 舌圧子(喉赤くない)→インフルエンザ

4.診察
①子どもの話す症状に合わせ、ぬいぐるみの患部を軽く触る。
②診察グッズを使いながらその役割を説明する。

5.診断
診断結果(病名やケガについて)を伝える。

6.治療
説明をしながら治療を行う。医師が薬を処方する。

7.おさらい
看護師が行う。名前を教えた診察グッズについてはここで言わせてみて、覚えていなかったらまた教えてあげる。

8.お約束
①ぬいぐるみにしてあげることを教える(ケアの気持ちを持ってもらうようにする)。「薬を飲ませてあげる」ことを約束してもらう。
②子供自身の健康管理を促す。「嫌いなものも残さず食べる」ことなどを約束してもらう。

会話例

(以下、看護師=看、医師=医、子ども=子)

1,2 あいさつ・名前記入
看「こんにちは」
子達「こんにちは」
看「私は看護師の○○です!」
医「僕は医師の△△です!」
看「じゃあみんな、お名前教えてくれるかな?」
子「××!」「ぼく××!」「わたし××!」
看「ありがとう、××くん、××くん、××ちゃんだね!よろしくね!
じゃあまず××くんから順番に診ていくね。××くん、今日連れてきてくれたお友達(ぬいぐるみ)のことも教えてくれるかな?お名前はなんて言うの?」
子「◎◎ちゃん!」
看「◎◎ちゃんか、よろしくね。◎◎ちゃんは何歳なのかな?」
子「7歳!」

3,4,5 問診、診察、診断
「具体的な流れ」参照

6 治療
医「じゃあここで、◎◎ちゃんの病気を治してあげるために(痛がらないでいいように)、お薬をだすね。◎◎ちゃんにお薬をのませてあげるように、お約束をしてほしいんだけど、守れるかな?」
子「うん、まもれるよ」
医「今度は看護師さんからみんなにお話があるから、看護師さんのお話を聞いてね。」
子「うん。なに?」

7,8 おさらい、お約束
診察のおさらいは一人一人に行った後、お約束の話は保健教育の話も含めみんなで話す。
ここから先は、看護師が子供と今日のおさらいをし、好き嫌いをなるべくなくして食事を残さず食べること、お薬を飲ませることなどをお約束する。

看「じゃまず××くん。◎◎ちゃんは~~~だったんだけど、今日やったことをおぼえているかな?」
子「・・・」

(各症状ごとに今日の診察の流れ、検査・薬などを児童と一緒に確認する。使った器具の名前を覚えているか確認。カルテに沿って確認していきましょう。時間がないときはここを軽めにしてください)
→これはそれぞれの診察後に一人一人に行う

看「ところでみんな、嫌いな食べ物はあるかな?」
子達「うーん、ゴーヤ。」「わたしにんじん!」「ほうれんそう嫌い」
看「そっか。どうして嫌いなのかな?」
子達「苦いしおいしくないから!」
看「そっか。でも、嫌いな食べ物にも必要な栄養が入っているんだよね。だから、嫌いなものも食べられるようになったら、大きくなった時に今よりもっと強くて丈夫な体になって風邪をひきにくくなるんだ。みんなお母さんが用意してくれたご飯を好き嫌いしないで残さず食べるように頑張ってみない?」
子達「うん。」「頑張る!」「私いつも食べてるよ!」
看「よし。じゃあみんなに守ってほしいおやくそくについてお話しするよ。まず一個目に、これから3日間、今日みんなが連れてきてくれたおともだちにちゃんとお薬をあげられたらここのニコちゃんマークに色を塗って、飲ませてあげられなかったら困ったちゃんマークに色を塗ってね。もう一つ、××くんが、3日間、嫌いなものも残さずに食べられたらここのニコちゃんマークに色を塗って、食べられなかったら困ったちゃんマークに色を塗ってね。」
子「はい!」
看「よーし。じゃあ最後に、◎◎ちゃんを診てくれたお医者さんに、ありがとうございましたを言おうか。」
子達「ありがとうございました!」
医「うん。どうぞお大事にね。ばいばい。」
子達「ばいばい!」

3 参考文献

子供の健康や、小児医療などに関わる文献を紹介します。分かりやすく参考になるものを選びましたので、教室で保健指導などをする際にぜひご覧ください。

  1. 『チームで支える!子どものプレパレーション 小児看護ベストプラクティス』及川郁子 監修、古橋知子・平田美佳 責任編集(中山書店)(2012)
  2. 『こどもにやさしい病院 ─わたしはチャイルド・ライフ・スペシャリスト─』藤井あけみ 編集(小学館)(2010)
  3. 『こども健康ずかん』大津一義 監修(少年写真新聞社)(2009)
  4. 『小児医療の現場で使える プレパレーションガイドブック 楽しく効果的に実施する知識とポイント』田中恭子 編集(日総研出版)(2006)

4 投稿団体

IFMSA-Keio Teddy Bear Hospital
https://www.facebook.com/keiotbh?fref=ts

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