風やゴムの力~遊びを通して学ぶ~(シリウス)

1 はじめに

こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/

2 実践内容

<目次>

  1. 遊びの中で発見しよう
  2. 仮説を立てて実験してみよう
  3. 遊びを通して理解を深めていく
  4. ゴムを使って走らせてみよう
  5. ロケットを飛ばそう

1 遊びの中で発見しよう 

風の力やゴムの力について学び始めた。3年生の子どもたちにとって予想をして実験をして確かめる理科らしい初めての単元となる。まず最初にに風やゴムについてどんなイメージを持っているのか図で表した。

風・ゴムと聞いて思い浮かぶことを図で表してみよう。
連想ゲームのように風やゴムという言葉から思い浮かぶことを数珠つなぎのようにつなげていった。

最初のイメージを持ったところで風やゴムで遊んだ。

  • 小さな風船をうちわであおぐ
  • 扇風機の風で風船飛ばし
  • 風船バレー
  • 輪ゴム当て

こうした活動をしながら、子どもたちは自然に風やゴムの性質に気づいていった。たくさん遊んだ後、最初のイメージに新しく思いついたことを描き加えていった。「伸びる」「飛ばす」といった言葉が付け加えられた。

次の時間は、こうした風やゴムの特性がよく表れる遊びをした。風の力で小風船を飛ばし、止まった紙の上が得点となる。得点を得るためには、風の強さをコントロールしなくてはいけない。送風機の風の強さをスイッチで切り換えながら風船を飛ばした。

こうして十分遊んだ後で風の強さと風船が飛ぶ距離の関係について尋ねた。

風の強さと転がり長さのことで思ったこと、気づいたこと。

  • 風を強くしてしまうと、点数の点のところに行かないので風の強さを「中」にしたり「小」にしたほうがいいと思います。
  • 風の強さが強すぎると行かない。送風機に風船の丸い方(先端)を向ける方が長く飛ぶ。
  • 風の強さを弱くすると飛びにくいけれど点数はよく取れる。強くすると風船は飛びすぎるけれど向きを調整すると、点数が取りやすい。
  • 風の強さを一番小さくして機械を下に向けると、たまに点数のところに入る。

次にウィンドカーを作った。口でフッと吹いて机の上から落ちないギリギリのところで止める遊びである。息(風)の強さを調節しながら慎重に吹いた。これらの活動を通して風の強さによって物を動かす力が違うのではないかという考え(仮説)が生まれた。

2 仮説を立てて実験してみよう

これまでの風船やウィンドカーを使った遊びから、風は強さによって物を動かす力が違うのではないかという仮説を持つようになった。そこでこの仮説を確かめるための実験を行うことにした。

理科は、問題が生まれる→仮説を立てる→実験をして確かめる→結果から考察をする、という学習の流れがある。これを問題解決学習と呼ぶが、理科に限らず生活の様々な場面で使える。この問題解決の流れを3年生で初めて学んだ。まず

風が強くなると風が物を動かす力は強くなるだろうか。

予想(仮説)

  • 私は強くなると思う。それは強い風が来ると軽い物が飛んでいくけれど弱いと動きません。よく強い風が吹くと葉っぱが飛ばされるから。
  • 家で洗濯物干して家の中で見ていたら、風が弱いときには少し揺れただけで風が強い時は大きく揺れたり洗濯ものが落ちてしまうときがあったから。
  • 予想は強くなると思う。風は強いのも弱いのもあるから。
  • 中くらいの風が一番いい。風を強くしても弱くしてもすぐに止まってしまう。それは風船を飛ばしたとき「中」が一番飛んだから。

子どもたちの予想は3人が〈風は強いとものを動かす力が大きい〉1人が〈強すぎず弱すぎず中くらいの風がいい〉であった。この違いは経験の違いから来るものである。

これを実験という同じ条件のもとで確かめていく。今回は風を送ってどこまで車が走ったかを調べた。結果、風が強いと物を動かす力が大きいことがわかった。

実験からわかったこと

前回の実験からわかったこと(考察)を出し合ってみると

  • 風が弱いとき車は近くで、強い風は遠くに行った。風の強さでそれぞれ進む距離が違う。
  • 強い力だと軽い物はすぐに動いてしまう。
  • 風の力を強くすると車は一番遠くまで進んだ。
  • 風の力は強い方が遠くまで行くことがわかったけれど、風船みたいに丸い形の時には中ぐらいの風の方がよく飛んだ。

車が進む距離は風の強さによることがわかったが、子どもたちは重さと形の関係についても言及していた。この内容は3年生で教える以上の内容である。こうしたことに気がつく子どもたちは素晴らしいなと思った。

子どもたちが帆の形や車の重さを変えているので、もの形や重さを変えた時の違いを調べた。

帆の形や重さを変えてわかったこと、思ったこと。

  • 積み木を5個以上乗せるとなかなか動かない。後ろに乗せても前にしても動かない。
  • 積み木を乗せて重さがあると進まない。帆を細長くしたら風を下に向けて当てた方がよく進む。おでん型にすると間の隙間を風が通ってしまうからあんまり進まない。
  • 私は帆をひし型にしてみた。最初は上だけでやって、後から下にも同じ形をつけてみました。そうしたらスピードはあまりないけれどスーッと動いていきました。
  • 帆の形を変えたとき、○は進まなかったけれど□は進んだのでそういうことがわかりました。

自分たちの気づきの中から授業を発展させることができた。

3 遊びを通して理解を深めていく

風はものを動かす力があることを確かめる活動を行って理解をさらに深めた。

風を使ったいろいろな遊びをしてみよう。

1 風輪

「風輪」作りをした。画用紙を切って曲げるだけの単純なつくりであるが、風の強い日にはコロコロとどこまでも転がっている。初めはコツをなかなか掴めなかったが、やり方がわかると遠くまで転がそうと一生懸命だった。

2 風船を浮かせる

送風機の上に風船が浮かんだ。ふわふわと浮かんで落ちてこないのである。これも風の力(上に押し上げる力)が関係していることがわかった。2人が「オジャマー」になって横からうちわで扇ぐとバランスが崩れ、他の子は風船が下に落ちないように下から必死で扇いでバランスを取ろうとした。

3 ウィンドカーレース

うちわで風を起こしてウィンドカーを走らせた。子どもは大好きな活動である。一つはその場で扇いでどこまで転がるか、もう一つは後から扇いで追いかけ、早くゴールさせるレースである。うちわ片手にダーッと追いかけていく姿は何ともかわいいものだ。

 

4 ゴムを使って走らせてみよう

風について分かったところで今度はゴムの力について扱うことにした。単元の始めに風船で遊んだとき、風船はゴムが伸びたり縮んだりした。輪ゴムでもこのことを確かめた後

ゴムを引っぱる長さを変えるとゴムの力は変わるだろうか。

〈変わる〉

  • ゴムを長く伸ばすと遠くまで行くけれど、短く伸ばすと近くまでしかいかないから。
  • 小さく引っ張るとちょっと飛ばす力が弱くて、中くらいにすると飛ばす力は普通で、強く引っ張ると大きくなるので変わるんではないかと思います。

〈びみょう〉

  • ゴムは1回すごく伸ばすと伸びるけれど、そのあとは小さくなるので微妙。
  • 長さを変えてゴムの力が変わらなかったら同じ強さだから。

このように最初は意見が一致しなかったのだが、話し合ってみると、全員が〈変わる〉に意見変更した。予想を立てたところで実験をおこなった。車に輪ゴムをつけて、引っ張る長さを変えながらどこまで転がるかを調べた。

結果は表の通りである。

進んだ長さ(マス目の数)
ゴムの伸び 1回目   2回目 3回目
  2    18    21    21
  3    20    24    27
  4    31    28    32
  5    37    24    32

多少の個人差はあったが、輪ゴムを引っ張る力が伸びれば伸びること車は遠くまで動いた。

5 ロケットを飛ばそう

ゴムの性質を利用しておもちゃ作りをした。これまで学習してきたことを生かして、より高く飛ぶロケット作りをした。
まずは紙コップ2個と輪ゴムを1本渡して、紙コップロケットを作った。上の紙コップを下に引いて手を離すとポヨーンと30cmくらい飛んだ。でも「ロケット」と聞いた以上、子どもたちの願いは「もっと飛ばしたい」である。

今まで学習したことを生かして、もっと高く飛ぶロケットになるように改造しよう。

長い筒をめざとく見つけ、もっとゴムが伸びるようにした。また輪ゴムの本数を2本、3本と増やしてもっと伸びるようにした。

ロケットを改造したところはどんなところですか。

  • 土台を長くして土台が長いとよく飛ぶと思った。あとゴムの長さを3個にしてみたら高く飛びました。
  • 輪ゴムを増やす。長い棒を使ってカップの穴が空いている方に通し、そのまま下に引っぱると天井までつく。
  • ゴムを2回つなげて二つの輪ゴムを作り、紙コップにはめたのが工夫です。
  • ゴムを2本つけてタコさんみたいに周りを切る。真ん中にできる四角の部分にテープを2~3枚つけて、棒をコップにはめてできあがり。

子どもたちは工夫したおかげで、床から天井まで勢いよく飛ぶロケットができた。ゴムの働きについてこんなことがわかった。

ゴムの実験をやって思ったこと、考えたこと。

  • 私はゴムロケットのことで、ゴムロケットは輪ゴムを3個つなげたり土台の棒を長くしてみたら高く飛びました。
  • ゴムロケットはゴムが2本と発射台が高くないと飛ばないことがわかった。ゴムで車を動かしたけれど、最初のKさんのを見たら、目盛を10以上にすると(ゴムを引っかけてあるところが)ちぎれることがわかった。
  • ロケットは初めは飛ばなかったけれど、ゴムをがったいさせたら上にすごく飛びました。レースカーはまっすぐにスタートさせるとどこにも当たらずに遠くに行けました。
  • ゴムを伸ばして切れないくらいにしたら、天井までつきました。ゴムを伸ばしきった方がよく飛ぶ。

このように楽しみながら実験をする中で、ゴムの持つ力について学ぶことができた。子どもたちの笑顔をたくさん見ることができて、私自身も楽しかった。

3 プロフィール

静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。

4 書籍のご紹介

「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)

「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)

「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)

「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)

5 編集後記

実際に手を動かしたり工作をしたりしながら、風やゴムの力を体験的に学んでいくのが効果的です。私も小学生の頃にウィンドカーレースを行い、どうすれば風を受け進みやすいかを考え、クラスで一番になることができました。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 水島淳)

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