1 はじめに
こちらの記事は、静岡県で30年間以上続く教員サークル、シリウスのホームページに掲載されている教育実践法の一つをご紹介しています。
http://homepage1.nifty.com/moritake/
2 実践内容
オクラはどんな植物だろう
子ども達は生活科の学習やこれまでの生活の中で、身近に見られるものを観察したり草花や野菜を育ててきました。3年生ではオクラを教材として取り上げ、種まきから種取りまでの植物の一生を継続して観察し、植物が育つ順序や体の作りについて調べていることが主なねらいです。
子ども達には一粒ずつ種を配りました。種が小さいので大切に落とさないよう、そっと持って席まで戻っていく姿がかわいらしいです。さて、種をもらったところで、
オクラの種をよく見て観察カードに絵や文を書こう。(※青色=教師の発問/以下同様)
- 種みたいに線みたいなものがある。
- 大きさが5mmで黄緑の種。
- 思ったよりもちょっと大きかった。緑の種だなんて一度も見たことがない。
- オクラの仲間はなんだろう?
- オクラは葉っぱの色に似ている。
2回目の授業では発芽直後の様子を観察しました。
オクラの様子を観察して生き物きせつ新聞にまとめよう
- においはなくて、オクラはトンネルみたいになっている。ごわごわ固かった。
- さわったら固かった。まだ小さかった。
- 毛が生えていました。さわって見たらざらざらでした。
- においはあまりしない。縦5mm、横2cm5mm。
これから育てるオクラはどんな植物なのでしょう。育てる見通しを持つためにオクラについて調べました。
オクラはどんな野菜か調べてみよう。調べかた(図書室、家の人に聞く、インターネット、お店)
一口に調べるといってもいろいろな方法があります。情報集め、まとめ、整理していく中で情報を扱う力が育つのではないかと考えます。子どもたちの1番多かった方法は〈図書室〉でした。〈家の人に聞く〉という人が2人いました。子どもたちは早速、畑に詳しい先生のところに質問に出かけていきました。
オクラのレントゲン~オクラの根っこを調べよう
オクラが大きくなってきました。植物の体の作りについて学習をしました。
オクラが大きくなってきましたね。土の中には何かあるでしょうか
- ある。
- 根っこがある。
という声があがりました。そこで、
オクラの土の中はどうなっているでしょう。土の中をレントゲンで見てみよう。
こう声をかけ、土の中を想像することにしました。いろいろなタイプの根が現れました。
(図)
( )の中は自分が似ていると思った根の形です。Dタイプ(根本からいく本も分かれていく)と考えた子が多かったです。
観察に出かける前に、それぞれの働きについて考えました。
葉・茎・根はそれぞれどんな働きがあるでしょう。「○○しているところ」と書いてみよう。
〈葉〉
- 太陽を浴びているところ
- 栄養をためているところ
- 下の水分をもらって葉を伸ばしている
- よくわからない
- 根っこから栄養をもらっている
〈茎〉
- 栄養を渡しているところ
- 栄養を吸い上げているところ
- 栄養を葉のところまで運ぶところ
〈根〉
- 水分を取っているところ
- 水分をもらっているところ
- 土の水分を取って葉っぱのところへ渡している
- 土から水分をもらっている
〈葉〉は光を浴びているところ、栄養を食べているところ、〈茎〉は栄養を運んでいるところ、送っているところ、葉に栄養を渡しているところ、〈根〉は水分や栄養を吸っているところという考えが多かったです。
畑のオクラを掘って根っこを見てみよう。
オクラを掘って見てみると〈B〉のようになっていました。あちこちと根が分かれているのがわかります。
どうして根っこがあちらこちらに分かれているのか、わかりますか
と尋ねると
- 水を吸えるように
- 枝分かれしている方が水を集めやすい
などでの枝分れしている理由について、考えることができました。
オクラの根と花はどうなっている?
オクラが順調に大きくなってきました。植物の体の作りについて学習しました。
オクラが大きくなってきましたね。オクラの土の中には何かあるでしょうか。
- ある
- 根がある。
という声があがりました。そこで、
オクラの土の中をレントゲンで見てみよう。
何種類かのオクラの根っこの想像図が出されました。
土からオクラを抜いて根の様子を観察しよう。
オクラは大根のように中心がとても太くなっていて、そこから外に向かって根を出していることが分かりました。
次は実のできかたについて学習をしました。
オクラの実はどこにできるでしょう。絵の中に実のできる場所を書き込もう。
子どもたちの予想はA,B,Cの三つに分かれました。
一番おかしいと思うのはどれですか。
〈Aがおかしい〉
- Aのところにあるとオクラが重くて倒れてしまう。
- Aのところはまだこれから伸びていくから、Aにあると上に伸びれない。
こうして〈A〉が否定されました。〈B〉と〈C〉が残りました。ここで考えるためのヒントを与えました。
オクラは最初からオクラの実の形ができると思いますか。オクラの実ができる前は何だったか知っていますか。
- 蕾が出来て花が咲く。それでオクラになる。
順番としては、つぼみ→はな→実(オクラ)になることを確かめました。するとこのことをヒントに、
〈Bが正しい〉
- つぼみからオクラまで、実の場所は移動しない。
- つぼみからずっと同じところにある。
最終的に〈B〉が大勢を占めるようになりました。そこで畑に出かけて観察をしました。すると枝の分かれ目の上(人間でいうと肩のところ)に、つぼみやオクラのあることが分かりました。
3 プロフィール
静岡県教育サークル シリウス
1984年創立。
「理論より実践を語る」「子どもの事実で語る」「小さな事実から大きな結論を導かない」これがサークルの主な柱です。
最近では、技術だけではない理論の大切さも感じています。それは「子どもをよくみる」という誰もがしている当たり前のことでした。思想、信条関係なし。「子どもにとってより価値ある教師になりたい」という願いだけを共有しています。
4 書籍のご紹介
「教室掲示 レイアウトアイデア事典」(明治図書2014/2/21発売)
「学級&授業ゲームアイデア事典」(2014/7/25発売)
「係活動システム&アイデア事典」(2015/2/27発売)
「学級開きルール&アイデア事典」(2015/3/12発売)
5 編集後記
植物を育て、その成長とともに子どもたちに考えてもらいながら、植物の作りを勉強しています。実際に自分たちで育てたオクラを目で見ながら、そのつど観察しているので、より興味をもって学べたのではないでしょうか。
(編集・文責:EDUPEDIA編集部 河村寛希)
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