小学校の運動会での悩みといえば、「種目を何にするか」
種目担当になった先生は、
「何の種目にしようかな?」
「この小学校の4年生は〇〇が例年通りの種目だから、昨年度と同じやり方にしよう」
「でも、昨年度と同じではつまらないのでは?」
「子どもたちが楽しめる種目にしたいな!」
と、さまざまな思いが湧いてきます。
運動会の種目は定番化しており、先生方は経験年数を重ねるごとに運動会がマンネリ化しがちな傾向にあります。
そこで、運動会の種目をアレンジしてみましょう。
定番料理に少し「味付け(工夫)」するイメージです。
今回の記事では、運動会種目のアレンジアイディアを紹介します。
運動会の定番の種目に味付け(工夫)をしよう!
運動会の種目をアレンジするために押さえておきたいポイントは2つです。
- 定番の種目に+10%の味付けをイメージする
- 子ども目線でアレンジを考える
味付けをし過ぎると、本来の種目のよさを失う可能性があります。
また、子どもたちや先生方の負担が増えることにもなりかねません。
子ども目線を大切にし、子どもたちも先生方もワクワクする+ 10%の味付け(工夫)を心掛けましょう。
ダンス・踊りなどの表現種目は「テーマ」を工夫しよう!
表現種目でまず悩むのは「定番の曲か? トレンドの曲か?」です。
どの曲を使うかはダンス・踊りのテーマによって決まります。
そして、このテーマこそが工夫点になります。
例えば、
- 中学年らしさを生かした「元気」をテーマにしたダンス
- 6年生でこれまでの成長を表現するテーマ
- SDGsの学習を生かし、「持続可能な社会」をダンスで表現
などです。
テーマを設定することで、先生方は指導するポイントが明確になり、子どもたちも「何をダンスで表現したらよいか?」を理解しながら練習に取り組めます。
集団体操・集団行動は体育の学習内容の発展技を
組体操の規模が縮小された現在、集団体操や集団行動が注目されています。
集団体操・集団行動のポイントは、体育学習の延長線上で工夫することです。
例えば、「マット運動」で取り扱った発展的な技である「補助倒立」や「ロンダート」「ブリッジ」などを取り入れることで、子どもたちは「体育で学習したからできそう!」「学習したポイントを思い出して頑張ろう!」と意欲が高められます。
運動会は、体育学習の成果を披露する場と心掛けて指導しましょう。
玉入れにはダンスをプラスしよう!
玉入れは低学年向けの種目として定番です。
近年は、ダンスをプラスした玉入れが増えています。
この玉入れダンスのポイントは、BGMで緩急をつけることです。
玉入れの時は「動のイメージ」、ダンスの時は「静のイメージ」。
玉入れの時は「激しさを表す曲」、ダンスの時は「可愛いらしさが伝わる曲」。
このようなイメージでBGMを選曲できると、低学年のよさが発揮される玉入れになります。
綱引きに「走る」をプラスすると
運動会といえば綱引き。
綱引きに「走る」をプラスするととても盛り上がります。
- 1チームを半分に分ける(30人ならば15人と15人)。
- 綱引きをする15人と、トラックを半周してから綱を引く15人(「お助けマン」とよく呼ばれています)を決める。
- ピストルで綱引き開始。
- 綱を引く15人は綱引きをし、走る人(お助けマン)はトラックを半周してから綱引きに加わる
この工夫は、「お助けマンが到着するまでは、耐える!」「綱引きに早く加われるように走ろう!」など、チームのために頑張るという集団意識を高められます。
棒引きには「ボーナス棒」を加えてみよう!
グラウンドの真ん中に並べられた複数の棒を自分たちの陣地に引き入れる棒引き。
一斉にダッシュする子どもたちの姿は迫力があります。
棒引きの工夫点はボーナス棒です。
普通の棒(1点)とは色が異なるボーナス棒(3点)を1〜3本を用意します。
ボーナス棒があると、「ボーナス棒狙い作戦」「普通の棒をたくさん取る作戦」など、作戦性が生まれます。
さらに、
- 1本5点のゴールデンボーナス棒
- 20秒後にボーナス棒を追加する
などさらなるルールを工夫することで、子どもたちは作戦をもっと考えるようになり、大いに盛り上がります。
リレーは子どもたちの実態に合わせて
小学校の運動会で行うリレーには主に「代表(選抜)リレー」「クラス全員リレー」などがあります。
リレーの工夫点は、一人が走る距離を変えるリレー(スウェーデンリレー方式)です。
例えば、第一走者はトラック1周、第二走者は半周といった形です。
「アンカー走者は1周」というのはよくあるルールですが、「長めの距離を走る走者」を増やすイメージです。
このルールのメリットは、「走るのが苦手な子は半周、得意な子は1周」と子どもたちの能力に配慮できる点です。
子どもたちの実態に合わせて取り入れてみてください。
この工夫点でリレーする場合、「1周・半周・半周・1周・半周・半周……」とわかりやすいルールにして、リレーに参加している子、競技に関わっている人、リレーを見ている人が理解しやすくする配慮が必要です。
子どもの主体性を高める運動会を
運動会種目をアレンジするポイントの一つに「子ども目線でアレンジを考える」がありました。
加えて、以下の4点を意識すると子どもの主体性を重視した運動会になります。
- 子どもたちから種目のアイディアを募る
- 子どもたちが作り上げる運動会
- 子どもたちが「楽しめる、挑戦できる、成長できる」
- 「やらされる運動会」からの脱却
運動会の練習は時間的な制約があり、教師主導の指導が中心です。
ややもすると「教師が運動会を作り上げている」「練習のやらされ感」がクローズアップされ、子どもたちにとって運動会の練習が苦しい時間になります。
そこで、子どもからアイディアを募ってみましょう。
私が紹介したアレンジの中には、子どもたちのアイディアがきっかけになって生み出されたものもあります。
時間的余裕があれば、子どもたちによる「運動会実行委員」を作り、子どもたちが主体的に運動会に取り組めるようにしたいですね。
運動会種目の練習で大切なこと
最後に、運動会の練習で大切なことをお伝えします。
安全第一が鉄則
運動会の練習は大けがが発生しやすいです。
運動会の練習になると「頑張り過ぎてしまう子ども・頑張らせ過ぎてしまう教師」の姿が見られます。
また、今回の記事では運動会種目のアレンジを解説してきましたが、子どもたちがケガをするリスクが高まるアレンジはしないようにしましょう。
運動会練習は、体育の授業と同じ視点で安全確保をします。
以下の点で安全な環境を整えましょう。
- 児童の健康状態
- 暑さ指数
- 休憩や水分補給のタイミング
- 場所の安全(危険物が落ちていないか、ロープが緩んでいないかなど)
- 練習時の教師の立ち位置
- 管理職・養護教諭の所在確認
- AEDの確保
何のための運動会か?
運動会は学習指導要領に記載がありません。
だからこそ「運動会のねらい(ゴール)」を明確にしたいです。
「運動会を通して子どもたちにどんな力を身につけてほしいのか?」
この問いに教師がはっきりと答えられるようにし、子どもたちを指導してほしいです。
「教師は黒子、主役は子どもたち」
子どもたちが運動会で最高のパフォーマンスができるように、教師は子どもたちの頑張りを支えましょう。
執筆者プロフィール
マー
小学校教員を15年務めた後、フリーのWEBライターに転身。教員時代は安全主任、体育主任、生徒指導主任、学年主任を担当。現在は「物事のよさをより多くの人に」をモットーに教育系記事、金融系記事を主に執筆。趣味は野球観戦とランニングで、野球やマラソン・駅伝を応援するブログを運営している。
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