小学1年 算数 スモールステップで考える「わかりやすくせいりしよう」

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目次

本単元で身に着けたい資質・能力

本単元では、目的に応じてデータを集めて分類整理し、適切なグラフ(絵や図)に表すことができる能力を養う。また、統計的な問題解決の良さに気付き、データそのものや分析結果を日常生活や学習に生かそうとする態度を育む。

単元の評価基準

  • 知識・技能:ものの個数について、簡単な絵や図に表したり、読み取ったりすることができる。
  • 思考・判断・表現:目的に応じてデータを分類整理することができる。
  • 主体的に取り組む態度:タブレットを用いたデータの分類整理を、積極的に行おうとする。

本実践の意図

やり方を教え込んでしまえば(作業として)できるようになる本単元。しかし、今回は整理の仕方を自ら発見するとともに、「整理の仕方」を集合の概念の基礎と位置づけをすることにより、思考・判断・表現において一段上の目標を掲げたい。

以下の3点にポイントを絞り、明確なスモールステップを踏ませた授業構成とする。

  1. 整理されていない状態でも数えることができる。
  2. 同じもの(犬、鳥等)ごとに整理して数えることができる。
  3. 同じグループ(空を飛ぶもの、生き物等)ごとに整理して数えることができる。

また、ICTを活用することにより、具体的な操作を通して体感的に学びを進める。

授業実践

本時では、車4台、飛行機3機、犬5匹、鳥3羽を数える問題のみを扱う。

授業の始めにめあて確認をし、すぐに数える作業にはいる。

最初はPowerpointのアニメーションや動画を使い、動くものを数えさせる。

「難しい!」「動いていなければ数えやすい!」と児童に認識をさせたのち、以下の問題(画像)を提示する。

1.整理されていない状態で数える

ここでは、以下の手順で授業の進行を行う。

  1. 児童のタブレットには問題を配信せず、前に映した状態で考えさせる。
  2. 各自考えがまとまったところで考え方の共有をし、数え間違いや時間の浪費につながることを体感させる。
  3. 児童のタブレットに問題を配信し、正解は何か、どうしたらはやく正確に数えることができるのかを考えさせる。ただし、共有する問題では、自動車や犬の画像を動かすことはできない仕様にする。
  4. 3)で考えたことを共有する。

期待する児童の工夫は以下の通りである。

  1. 画像にチェックを付けながら数える。
  2. 画像の種類に対応する記号(車なら□、鳥なら△等)や絵を同じ数だけ書いて、それを数える。

期待する工夫が出てこなかった場合には、なぜ数えにくいのかを考えさせ、以下の2点に注目をさせる。

  1. それぞれの画像が重なっていること
  2. 同じ種類の画像が点在していてまとまりがないこと

どちらのルートでも、キーワードとして種類ごとに数える」「画像を動かすというのが出てくるだろう。

2.同じ種類ごとに整理して数える

1.のキーワードをもとに、以下の手順で授業の進行を行う。

  1. 児童のタブレットに問題を配信する。ただし、共有する問題では、自動車や犬の画像を動かすことはできる仕様にする。
  2. 何がどれだけおおいのかが一目でわかるように、整理をさせる。
  3. 2)で考えたことを共有する。

予想される児童の解答は以下の通り

整理1

整理2

整理3

整理4

整理5

縦横のどちらもそろえると、数が比べやすいことに気付かせる。

最後に、各自整理した画像と照らし合わせながら、次の色塗り表の該当箇所に同じ数だけ色を塗り、1対1対応(転記)の練習をする。

3.同じグループごとに整理して数える

最後に、出題の方法を少し変えて考えさせる。

  1. いきものと そうでないもの おおいのは どちらですか。
  2. そらを とべる ものと とべないもの おおいのは どちらですか。

このように、場面に応じて何が同じグループかを見極めていかなければならない問題を取り扱う。

同一のデータであっても目的(場面)に応じてその見方を変えるのは、複数の視点でデータを分析するときに大変重要な力である。

ICT活用の具体的な方法と考え方

パワーポイントで「1対1対応の練習」の資料作成をする場合、画像を左クリックし、

メニューバーにある「図の形式>色」を活用することで簡単に色を抜くことができる。

また、今回は扱う画像をフリー素材から持ってきたが、児童に書いてもらうことでより楽しく学ぶことができるだろう。

ICT活用は、頑張ってたくさんのものを準備しなければならないと考えている教員も多くいるが、簡単に今よりも良い教材が作れることもある。作成において以下のことを意識すると良い。

  1. 年度(教員)を越えて使いまわす教材

⇒様々な人の観点を含めた良いものを手間と時間をかけて作る。

  1. 個人授業(特に単発)で使う教材

⇒できるだけ簡単に、そして児童を巻き込んで作る。

最後のひと工夫

本来データの活用とは、答えを出すためのものではなく、導き出された答えから何が分かるのかを分析することに意味がある。本授業実践の反省をあげるなら、見やすさや分かりやすさを重視して答えを出すところまでしか考えられていないことである。

例えば、「友だちとお泊り会をする際、何を食べたいかアンケートをとった。最も人気のある食べ物は何か。」を考えさせる。お泊り会のご飯に「人気のある食べ物」が出てきたら、遊びに来てくれた友だちの満足度が高まるだろう。答えが分かったおかげで次の行動に移せる問題にすることも肝要である。

執筆者

まき先生

中学高校で数学を教えている。体系的に教えるためには算数から学びなおす必要があると感じ、算数の授業案についても学習をすすめている。

実践的かつつながりを意識した授業案の作成に努める。

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この記事を書いた人

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