本単元で身に付けたい資質・能力
本単元の学習では、漢字がへんやつくりなどから構成されていることについて理解することができる資質・能力を身につけることを目的としている。
漢字の学習は1年生から始まり、系統立てて学んできている。しかし3年生は学習する漢字の数が一気に増える学年であり、漢字に苦手意識を持つのも3年生である。この単元の漢字の学習ではゲーム的要素を取り入れてなるべく苦手意識を無くし、少しでも楽しみながら学習に取り組めるようにする。
単元の評価基準
【知識・技術】漢字が、へんやつくりなどから構成されていることについて理解している。
【主体的に学習に取り組む態度】漢字がへんやつくりなどから構成されていることについて粘り強く理解し、学習課題に沿って漢字の構成を捉えようとしている。
意欲的に学習に取り組むための工夫
子どもの漢字の習得にはずいぶん差がある。意欲的に学習に取り組むための手立てとして、今回は学習のまとめとして最後にオリジナル漢字トランプをつくることを提案する。
学習に入る時点で、子どもたちに最後にトランプ作りをすることを伝える。そうすることによって、トランプ作りを目標に、子どもたちは最後まで楽しんで学習に取り組めるだろう。
漢字の苦手な子どもの中には、漢字の覚え方がわからず、とにかくまるごと覚えようとして苦労している子どもがいる。まず、漢字はパーツで組み立てられていること、パーツには形が表しているとおりの意味があることをまず教える。そしてパーツは「へん」と「つくり」や「かんむり」と「あし」などのセットがあることを続けて教える。
第3時での漢字トランプ作りはペアもしくはグループでの活動とし、漢字が苦手な子も楽しんで参加できるようにする。子どもたちの大好きなジョーカーは自分で考えたオリジナル漢字を作る。オリジナル漢字は漢字の組み立ての基本は押さえた上で、子どもたちの自由な発想で作らせる。また、トランプ用の紙は少し厚めの紙を用意し、雨のときの教室遊びで活用できるようにする。
漢字は何度も使うことで習得も早くなる。本単元の学習を通して、漢字への興味を持ち、少しでも漢字に親しめるよう楽しんで学習させたい。
単元の展開【全3時】
第1時 「へん」「つくり」を知る。
・「語」「詩」「話」などの漢字を提示し、左側がすべて「言」であることや、すべて「言葉」に関係のある漢字であることに気づかせる。
・左側の「言」を「へん」、右側を「つくり」ということを学習する。「つくり」にもおおまかな意味があることを教える。
・教科書130ページの2枚のカードを組み合わせて漢字を作る活動をする。130ページ上にある字をそのまま使い、カードとカードを鉛筆の線でつなげ、漢字を完成させる。漢字作りにとまどっている子どもには水色のカードが「へん」、黄色のカードが「つくり」であることをヒントとして伝える。
・131ページの設問に取り組み、自分の考えが正しいかどうか国語辞典で確かめる。
「きへん」「にんべん」「さんずい」のついた漢字はそれぞれ何に関係があるか、「動」「親」のつくりはどんな意味かを調べる課題である。
第2時 「へん」「つくり」以外の漢字の組み立てを知る。
・132ページを参考に、2枚のカードを組み合わせて漢字を作る。5つの漢字が部首でバラバラになっており、カードを組み立てて正しい漢字をつくる課題である。教科書上に鉛筆で線を引き、正しい漢字を完成させる。
・漢字の組み立てには「へん」と「つくり」だけでなく、「かんむり」と「あし」のペアもあることを教える。教科書132ページを使い、上下二つに分けられる漢字で上にあるのが「かんむり」、下にあるのが「あし」であることを確認する。「かんむり」や「あし」にも、おおまかな意味があることにも気づかせる。
「にょう」「かまえ」「たれ」という部首もあることを教える。
・133ページの設問に取り組む。国語辞典で答えを確かめる。
第3時 漢字トランプをつくる。
学習のまとめとして漢字トランプを作る。活動は子どもたちが取り組みやすいようにペアか4人組とする。教科書130ページと同じように、水色のカード、黄色のカードを事前に用意し、漢字トランプ作りのルールを知らせる。
・漢字トランプはペアかグループで考えて作る。
・水色カードは「へん」「かんむり」のトランプ、黄色カードは「つくり」「あし」のトランプになる。
・漢字は国語辞典を使って調べてもよいが、習っていない漢字や読めない漢字は使わない。
・できたカードを裏返して並べ、トランプの神経衰弱ゲームのようにして遊ぶ。
・ジョーカーのカードはオリジナル漢字としてよいとする。実際、子どもの発想は柔らかいので、「へん」に「木」、「つくり」に「木を10個」で「ジャングル」と言う漢字を作った子どもがいた。その場合は読み方を当てたらカードを取れるというルールにしてもおもしろい。
・カードは取れても読めなければならないなど、子どもの実態に応じてルールは柔軟につくるとよい。
・枚数は学級の実態によるが本物のトランプのように14枚ずつが作りやすい。26種類の漢字とジョーカーとなるので、3年生の子どもでも作ることができる枚数である。
漢字トランプの遊び方の例
・全てのカードを裏返し、神経衰弱のようにして遊ぶ。
・七並べのようにして遊ぶ。「つくり」の段、「へん」の段、「かんむり」の段、「あし」の段というふうに、4段にして並べる。それぞれの段の最後にジョーカーを並べる。
・ババ抜きのようにして遊ぶ。漢字が出来たらそのカードを出していく。手持ちのカードは早くなくなった子どもの勝ち。正しい漢字がわからなければ手持ちのカードの中にも漢字が出来ている場合があるので、その場合は先生がさりげなくフォローするか、そのままにしておくかは学級の実態によって工夫する。
・作った漢字トランプは、雨の日や学級活動の時間などで活用する。グループによっていろいろな漢字トランプができあがるので交換して遊んだり、メンバーを入れ替えて遊んだりするとよい。
第3時の板書例
参考URL:https://www.mitsumura-tosho.co.jp/kyokasho/s-kokugo/material2nen
(光村図書webサイト)
執筆者プロフィール
もりはな先生
元公立小学校教諭。「みんなで聴き合う・つながる授業」をモットーに、考えたくなる課題作りに取り組んできた。現在は、忙しい先生たちや子どもたちを応援するwebライターとして活動中。
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