本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、お話を書く活動を通して、「はじめ」「中」「おわり」のまとまりに分けて文章を書く力を身に付ける。また、「中」の部分では、誰が、何をしたかが分かるように書くことを意識し、主語と述語の関係に気づける力を養う。
単元の評価基準
知識・技能
- 文の中における主語と述語の関係に気づいている。
思考・判断・表現
- 「書くこと」において、自分の思いや考えが明確になるように、事柄の順序に沿って簡単な構成を考えている。
主体的に学習に取り組む態度
- 事柄の順序に沿って構成を粘り強く考え、学習課題に沿って物語を書こうとしている。
単元の展開【全6次(9時間)】
第1次(1時) 学習の見通しを持つ
① 学習の目標を確認する。
教師:「二年生になって、すきなお話は増えましたか。今度は、みなさんが作者になって、お話を書きましょう。」
教師:「絵を見てください。二匹のねずみが、木の実を探しに出かけましたね。みなさんだったら、その後、どんなお話にしますか。」
児童:「森に入って、冒険するお話にしたいです。」
児童:「新しい友だちに出会うお話にしようかな。」
教師:「『お話のさくしゃになろう』では、誰が、何をするか、どんなできごとが起こるかを考え、まとまりに分けてお話を書きましょう。」
② 学習の流れを確認する。
教師:「この学習では、まず、どんなできごとが起こるかを考えます。次に、考えたお話を、まとまりに分けて友だちに話します。そして、お話を書き、友だちと読み合って、感想を伝え合います。」
③ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、どんなできごとが起こるかを考えましょう。」
【板書例】
第2次(2時)絵を見て、どんな出来事が起こるかを考えて書く
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、どんなできごとが起こるかを考えましょう。」
② 出来事を考える。
教師:「(絵を見て)二匹のねずみは、最後には、木の実を持って帰ることができたようですね。この二匹は、どんなねずみで、どんなことが起こるのでしょうか。教科書の挿絵を見て、考えてもいいですね。」
児童:「森の中で大きなフクロウに出会って、友だちになるのはどうだろう。」
児童:「大きな穴の中に落ちてしまって、地下を探検するお話にしようかな。」
教師:「お話を考えるときは、どんな登場人物なのかも考えるといいですね。何という名前でしょうか。好きなことや得意なことは何でしょうか。」
③ 考えた出来事をノートにまとめる。
④ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、考えたお話を組み立てましょう。」
【板書例】
第3次(3時)考えたお話を、まとまりに分ける
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、考えたお話を組み立てましょう。」
② お話の構成について復習する。
教師:「お話には、『はじめ』『中』『おわり』がありましたね。『はじめ』には、どんなことを書くといいでしょうか。」
児童:「登場人物の紹介が必要です。」
児童:「これから何をするのかも書くといいと思います。」
教師:「その通りですね。『はじめ』には、登場人物の紹介や、お話のきっかけを書くといいです。」
(『中』『おわり』も同様に考える)
③ 教師の考えたお話を聞く。
教師:「先生もお話を考えてみました。この子は歌が大好きな『チュウ子』、こっちは木登りが上手な『ねずた』です。二匹は、木の実を探しに出かけました。……」
④ お話の感想を発表する。
教師:「『いいな。』と思ったところや、『こうしたらもっとおもしろくなりそうだ。』と思ったところを教えてください。」
児童:「『はじめ』を聞いて、登場人物がどんな子かよく分かりました。」
児童:「最初、二匹がフクロウのおじいさんのことを怖がるのはどうでしょうか。だんだん仲良くなると、もっと面白くなると思います。」
児童:「ねずたの特技を活かせるような場面があると、いいと思いました。」
⑤ 考えたお話をプリントにまとめる。
⑥ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、考えたお話を友だちに話しましょう。」
【板書例】
【プリント例】
【プリント記入例】
第3次(4時)考えたお話を、まとまりに分けて友だちに話す
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、考えたお話を友だちに話しましょう。」
② 考えたお話を、友だちに話す。
教師:「まずは、お隣の人と考えた話を話しましょう。感想を伝え合ったら、他の人に話しに行きましょう。」
教師:「聞いた人は、『いいな。』と思ったところや、『こうしたら持つとおもしろくなりそうだ。』と思ったところを伝えましょう。」
③ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、友だちのアドバイスを活かして、お話を書きましょう。」
第4次(5時)友だちのアドバイスを活かして、お話の「はじめ」を書く
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、友だちのアドバイスを活かして、お話の『はじめ』を書きましょう。」
② お話の「はじめ」を書く。
教師:「『はじめ』には、いつの話か、どこの話かを書きましょう。昔話など、みなさんが知っているお話の書き出しを真似してもいいですね。」
③ 自分が書いたお話を声に出して読み、書き間違えがないか確かめる。
④ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、お話の『中』を書きましょう。」
※原稿用紙を回収し、添削する。
【板書例】
第4次(6時)友だちのアドバイスを活かして、お話の「中」を書く
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、お話の『中』を書きましょう。」
② お話の「中」を書く。
教師:「文章を書くときは、だれが、何をしたかが分かるように書きましょう。人物が話した言葉は、かぎ(「 」)を使って書きましょう。」
③ 自分が書いたお話を声に出して読み、書き間違えがないか確かめる。
④ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、お話の『おわり』を書きましょう。」
※原稿用紙を回収し、添削する。
【板書例】
第4次(7時)友だちのアドバイスを活かして、お話の「おわり」を書く
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、お話の『おわり』を書きましょう。」
② お話の「おわり」を書く。
③ 自分が書いたお話を声に出して読み、書き間違えがないか確かめる。
④ 題名を考える。
⑤ 「中」の挿絵を描く。
⑥ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、できあがったお話を読み合いましょう。」
※原稿用紙を回収し、添削する。
【板書例】
第5次(8時)できたお話を読み合って、気づいたことや感想を伝え合う
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、できたお話を読み合いましょう。まずは、お隣の人のお話を読みます。読んだら、『感想カード』を書きましょう。書いた感想カードは、この箱(教室のどこかに設置する)に入れてください。その後は、読みたいと思うお話が置かれている席に着いて、お話を読みましょう。読み終わったら、カードに感想を書いて、同じように箱に入れてください。」
※机上には、自分の書いたお話を置かせておく。
② 感想カードの書き方を確認する。
教師:「カードには、『いいな。』『おもしろいな。』と思ったところを書きましょう。そのカードを使って、次回ゲームをしたいので、どんなところがいいと思ったか、詳しく書いてくださいね。」
③ お話を読み合う。
④ 次回の学習の見通しを持つ。
教師:「次回は、みなさんが書いた感想を発表してもらって、誰の作品の感想かクイズをします。」
※カードは、A5サイズで短い感想が書けるようなものを想定。
※次回、感想カードを使うので、回収して内容を確認する。
第6次(9時)お話の感想を発表し、振り返りをする
① 学習の見通しを持つ。
教師:「今日は、みなさんが書いた感想を発表してもらいます。」
② お話の感想を発表し、誰の作品か当てる。
教師:「感想を発表する人は、お話の題名や書いた人の名前は言わないでください。〇〇さん、お願いします。」
児童:「ものづくりが得意な『トト』が、大きな葉っぱで船をつくって川を渡り、猫から逃げるところが面白かったです。このお話を書いたのは誰でしょう。」
③ 振り返りをする。
教師:「だれが、何をしたかが、分かりやすく書けたのは、どこですか。」
児童:「お話の『中』です。」
教師:「お話の組み立てを考えるとき、どんなことに気をつけましたか。」
児童:「いつの話か、どこの話かを書き出しで書くようにしました。」
児童:「お話の『はじめ』に、登場人物の名前や得意なことを書くようにしました。」
教師:「次は、どんなお話を書いてみたいですか。」
児童:「次は、人間の女の子が活躍するお話を書きたいです。」
授業をふりかえって
本授業では、お話を読んだ後、感想を文章化する流れにした。感想を記入式にすることで、個々の時間を取りやすくし、より多く作品を読めるようにしている。また、9時間目に、カードの感想を全体で共有することで、「自分も〇〇さんの作品を読んでみたい」という気持ちが芽生えるのではないかと考えた。単元終了後も、教室内に作品を掲示する等し、児童が読むこと、読んでもらうことを楽しめる環境を設定してほしい。
第4次の原稿用紙に書く活動では、「はじめ」「中」「おわり」を1時間ごとに分けて書くことで、書きまちがいを減らし、直す手間を減らすことをねらっている。文章を書くことが苦手な児童は、原稿用紙を3枚分用意し、1枚ずつ書かせる等、それぞれの学習課題に合わせて設定してほしい。
参考・引用図書
光村図書『こくご 二下』
参考・引用URL
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/7617/1031/2777/06s_k_nenkei2_03.pdf(光村図書HP内)
執筆者
MUKOせんせい
元小学校教諭としての経験を活かし、中学・高校でも講師として教壇に立つこと多数。現在は、子育てに奮闘しながら、現場で働く先生方をサポートするウェブライターとして活動中。
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