本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、日本語を紹介する文章を書く活動を通して、目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりする力を身に付ける。また、英語やその他の外国語と日本語を比べる活動を通し、語句の係り方や語順について理解する力を養う。
単元の評価基準
知識・技能
- 語句と語句との関係、語句の構成や変化について理解し、語彙を豊かにする。
- 語感や言葉の使い方に対する感覚を意識して、語や語句を使っている。
- 文の中での語句の係り方や語順について理解している。
- 文章の構成や展開、文章の種類とその特徴について理解している。
思考・判断・表現
- 「書くこと」において、目的や意図に応じて簡単に書いたり詳しく書いたりする。
- 事実と感想、意見とを区別して書いたりするなど、自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫している。
主体的に学習に取り組む態度
- 日本語の特徴について理解を進んで深め、学習課題に沿って日本語の特徴を紹介する文章を書こうとしている。
単元の展開【全3次(4時間)】
第1次(1時)英語やその他の外国語と比べ、日本語の特徴を考える
① 教材を読み、問いをもつ。
教師:「みなさんは、日本語に、どのような特徴があると説明しますか。」
児童:「ひらがなや漢字を使います。」
教師:「文字に注目したんですね。他にはありますか。」
② 英語と比べながら、日本語の特徴について考える。
(黒板に、英語の文「I eat bread every day.」を書く。)
教師:「ここには、『I eat bread every day.』と書かれています。さて、日本語と違うところはどこでしょうか。」
児童:「全然違います。」
教師:「どんなところが違いますか。」
児童:「文字が英語です。」
教師:「そうですね。文字がひらがなや漢字ではなく、アルファベットが使われています。では、どんな意味なのか分かるように、日本語での意味を書きますね。」
(黒板に、日本語の訳を書く。)
教師:「みんなで読んでみましょう。」
児童:「私、食べる、パン、毎日。」
教師:「読んでみてどうですか。」
児童:「不自然だと思いました。」
教師:「では、自然な日本語の文にしてみてください。」
児童:「私は、毎日、パンを食べる。」
教師:「よくできました。さて、先ほどの不自然な日本語と何が違いますか。」
児童:「『私』は同じだけれど、他の言葉の並びが違います。」
児童:「不自然な日本語は、言葉と言葉の間に『は』や『を』がありません。」
③ 英語の否定文と比べながら、日本語の特徴について考える。
教師:「例えば、ここに『don’t』という言葉を入れてみますね。これは、『~しない。』という意味です。ということは、『don’t eat』で『食べない』という意味になりますね。日本語だとどうなりますか。」
児童:「私は、毎日、パンを食べない。」
教師:「英語の文と比べてみて、何か気づくことがありますか。」
児童:「日本語だと、最後まで『食べる』か『食べない』かが分かりません。けれど、英語だと、初めに分かります。」
教師:「その通りです。英語では、初めのほうで『食べる』か『食べない』かが決まります。」
※日本語では、「私(主語)」が省略されることがよくあるが、英語では基本的にしないことにも触れる。
④ その他の外国語と比べながら、日本語の特徴を考える。
(黒板に、フィリピノ語の文「Kumakain ako tinapay araw-araw.」を書く。)
教師:「ここには、『Kumakain ako tinapay araw-araw.』と書かれています。さて、日本語と違うところはどこでしょうか。」
児童:「英語と同じように、文字が違います。」
教師:「その通りですね。では、日本語での意味を書きますね。」
(黒板に、日本語の訳を書く。)
教師:「みんなで読んでみましょう。」
児童:「食べる、私、パン、毎日。」
教師:「日本語の文と比べてみて、どうでしょうか。」
児童:「言葉の並びが違います。」
教師:「では、韓国語ではどうでしょうか。」
(黒板に、「나는 매일 빵을 먹는다.」を書く。)
児童:「文字が記号みたいで、おもしろいです。」
教師:「そうですね。これは、ハングルという文字です。日本語での意味はこうです。」
(黒板に、日本語の訳を書く。)
教師:「みんなで読んでみましょう。」
児童:「私、毎日、パン、食べる。」
児童:「英語やフィリピノ語よりも、自然な日本語の文に近づきました。」
⑤ 英語やその他の外国語と比べて、分かったことをまとめる。
- 日本語は、ひらがなやカタカナ、漢字が使われる。
- 日本語と外国語では、主語や述語などの言葉の並び方が違う。
- 日本語には、言葉と言葉の間に「は」や「を」がある。
- 日本語は、動作を表す言葉が後にくる。
- 日本語は、「私」のような主語が省略されることがよくある。
など
⑥ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、言葉や表現に着目して、日本語の特徴を考えましょう。」
第1次(2時)言葉や表現に着目して、日本語の特徴を考える
① 学習の見通しをもつ。
教師:「言葉や表現に着目して、日本語の特徴を考えましょう。」
② 英語との表現の違いに着目して考える。
教師:「英語で『brother』は『兄』という意味です。では、『弟』はどうでしょうか。」
教師:「『弟』も『brother』です。」
児童:「同じだったら不便。どうやって言い分けるのかな。」
教師:「英語で区別をつけるときは、別の言葉を加えます。ちなみに、『姉』も『妹』も『sister』と表します。なぜ、このような表現の違いがあるのでしょうか。」
児童:「英語を使う国では、それらを区別する必要があまりないのかな。」
③ 日本語の雨を表す言葉や、雨に関する表現について考える。
教師:「少しだけ降る雨のことを何と言いますか。」
児童:「小雨。」
教師:「では、たくさん降る雨はどうですか。」
児童:「大雨。」
教師:「その通りです。他に、雨を表す言葉や雨に関する表現はありますか。」
- どしゃぶり
- しとしと
- ぽつぽつ
- にわか雨 など
教師:「日本語には、雨を表す言葉や、雨に関する表現が豊富にありますね。どうしてだと思いますか。」
児童:「雨が多く降る国だからだと思います。」
児童:「季節が四つあるのも関係していると考えました。」
④ 言葉や表現に関して分かったことをまとまる。
- 日本語には、雨を表す言葉や、雨に関する表現が豊富にある。
- 英語と比べて、兄や弟など、兄弟を区別する言葉が多い。など
⑤ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、日本語を紹介する文章を書きましょう。」
第2次(3時)日本語を紹介する文章を書く
① 学習の見通しをもつ。
教師:「『日本語のここがおもしろい。』と思うところを一つ選んで、日本語を紹介する文章を書きましょう。これまで日本語の特徴を学習してきた中から題材を選んだり、インターネットで検索したりしてもいいです。次回、文章を書いたカードを、友だちと読み合います。」
② 題材を一つ選ぶ。
- 題材例①:言葉の順序について
- 題材例②:日本語の表記について
- 題材例③:外来語について
- 題材例④:世界各地で取り入れられている日本語について など
③ 選んだ題材について、カードに文章を書く。
教師:「表に、おもしろいと思ったことを短く簡単に書きましょう。裏には、詳しい説明を書きます。」
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、書いたカードを読み合いましょう。」
【カード作成例】
(表)

(裏)

第3次(4時)日本語を紹介する文章を友だちと読み合う
① 学習の見通しをもつ。
教師:「日本語を紹介する文章を読み合いましょう。」
② 日本語を紹介する文章を読み合う。
③ 友だちの文章を読んで、感想を発表する。
教師:「文章を読んで、『おもしろい』や『なるほど』と思ったことがあったら教えてください。」
児童:「日本語には、ひらがなやカタカナ、漢字など文字がたくさんあり、それらを上手く組み合わせることで、意味が分かりやすいということに『なるほど』と思いました。」
児童:「言う人によって、言い方が変わることに「確かに」と気づかされました。」
児童:「『しとしと』や『ぽつぽつ』など、音を表す言葉が多いことに『おもしろい』と思いました。」
授業をふりかえって
本授業では、まずは英語と日本語を比べる活動を導入に取り入れている。次に、英語と文字が似ているフィリピノ語を、そして、全く異なる文字を使っている韓国語を紹介する流れにした。英語やフィリピノ語は、語順が日本語と大きく異なるが、韓国語は似ていることなど、児童らが気づけるように板書等を工夫してほしい。
書く活動では、表に、読み手を引きつけるような簡潔な文章を、裏面に、詳しく説明する文章を書くように指導してほしい。
参考・引用図書
光村図書『国語 六』
参考・引用URL
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/2017/1031/3959/06s_k_nenkei6_03.pdf(光村図書HP内)
執筆者
MUKOせんせい
元小学校教諭としての経験を活かし、中学・高校でも講師として教壇に立つこと多数。現在は、子育てに奮闘しながら、現場で働く先生方をサポートするウェブライターとして活動中。
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