本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、生活に関する調査、その報告をする活動を通し、目的を意識して、日常生活の中から話題を決めた材料を比較したり分類したりして、伝え合うために必要な事柄を選ぶ力を身に付ける。また、相手に伝わるように話の構成を考える力や、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などを工夫する力を養う。
単元の評価基準
知識・技能
- 相手を見て話したり聞いたりするとともに、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などに注意して話している。
- 考えとそれを支える理由や事例、全体と中心など情報と情報との関係について理解している。
思考・判断・表現
- 「話すこと・聞くこと」において、目的を意識して、日常生活の中から話題を決めた材料を比較したり分類したりして、伝え合うために必要な事柄を選んでいる。
- 「話すこと・聞くこと」において、相手に伝わるように、理由や事例などを挙げながら、話の中心が明確になるよう話の構成を考えている。
- 「話すこと・聞くこと」において、話の中心や話す場面を意識して、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などを工夫している。
主体的に学習に取り組む態度
- 話の中心や話す場面を意識して、言葉の抑揚や強弱、間の取り方などを工夫し、これまでの学習をいかして、進んで調査の報告をしようとしている。
単元の展開【全4次(8時間)】
第1次(1時)学習の見通しをも
① 学習の見通しをもつ。
教師:「みんなは、普段何時ごろに寝ますか。」
児童:「9時に寝ることが多いです。」
児童:「10時くらいかな。」
教師:「起きる時刻はどうですか。」
児童:「6時です。」
児童:「わたしは7時です。」
教師:「学校では同じ時間を過ごしているけれど、学校の外では過ごし方がそれぞれですね。この学習では、みんなの普段の生活について調べて発表する活動に取り組みます。生活に関する疑問をグループで調査して、クラスのみんなに発表しましょう。」
② 単元の目標を確かめる。
教師:「調べて分かったことや考えたことが、聞く人にはっきり伝わるように話しましょう。」
③ 調べることを決める。
教師:「睡眠時間や読んでいる本など、みんなの生活について知りたいことを出し合い、グループで調べることを決めましょう。」
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、調べたいことについてのアンケートを作りましょう。」
第2次(2時)質問を考え、アンケートを作る準備をする
① 学習の見通しをもつ。
教師:「調べたいことが分かるように、質問を考えてアンケートを作りましょう。」
※児童全員が、タブレット端末を利用できる環境であることを想定。
② アンケートを作るときのポイントを確かめる。
- 答えが予想できる場合は、用意した答えから選んでもらう(選択式)
- 答えが予想しにくかったり、さまざまな答えが考えられたりする場合は、答えを言葉や文章で書いてもらう(記述式)
③ 教師が作ったアンケートに回答する。
教師:「先生が作ったアンケートに回答してみましょう。」

教師:「回答結果は、このようになりました。」

児童:「すぐに集計できて便利だね。」
児童:「『自分の家や友だちの家ですごす人』が一番多いとすぐに分かるね。」
④ プリントを使い、質問を考える。
教師:「グループで、質問を考えましょう。」

⑤ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、考えた質問をグーグルフォームに入力して、アンケートを作りましょう。」
第2次(3時)グーグルフォームでアンケートを作成する
① 学習の見通しをもつ。
教師:「前回考えた質問をグーグルフォームに入力し、アンケートを作りましょう。」
② 考えた質問をグーグルフォームに入力する。
教師:「みんなで一緒に作成しましょう。まずは、『新しいフォームを作成』にある『空白』をタッチします。……」
1. 「空白のフォーム」を選択する

2. アンケートのタイトルを編集する

3. 質問を入力する

4. (選択式の場合)選んでもらう答えを入力する

※「ラジオボタン(答えを一つ選択できる)」と「チェックボックス(答えをいくつでも選択できる)」を説明する。
※記述式の場合は、「段落」を選択させる。

5. 「設定」を開き、「回答を1回に制限する」を選択する

6. 「公開」を選択し、回答の受け付けを選択してからリンクをコピーする

7. みんなが見られるところに、リンクを公開する
③ アンケートに回答する。
教師:「作ったアンケートをみんなに回答してもらいましょう。」
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、みんなに回答してもらった結果を確認しましょう。」
第3次(4時)アンケートの結果を確認し、発表する内容を考える
① 学習の見通しをもつ。
教師:「前回作ったアンケートの結果を確認して、発表する内容を考えましょう。」
② グループで、回答結果を確認する。
③ 結果を整理して、どんなことが分かるかを考える。
教師:「付箋を使って、結果を整理しましょう。予想通りだったことは、青色、予想とは違ったことは赤色の付箋に書きます。」

教師:「結果を整理して、どんなことが分かるかを考えましょう。また、分かったことから、発表会で伝えたいことをまとめましょう。」

④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回からは、発表会の準備をしていきましょう。」
第3次(5時)発表する内容の組み立てを考える
① 学習の見通しをもつ。
教師:「発表会に向けて、どのような組み立てで発表するかを考えましょう。」
② 組み立てを考えるときのポイントを確かめる。
- 「初め」では、話題や調べたきっかけ、目的を話す
- 「中」では、調べたことや、調べて分かったことを話す
- 「終わり」では、考えたことや、伝えたいことを話す
③ プリントに沿って、組み立てを考える。
教師:「誰が何を発表するのか、担当する人も決めましょう。」

④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、伝えたいことが分かりやすく伝わるような資料を作りましょう。」
第3次(6時)発表会で使う資料を作る
① 学習の見通しをもつ。
教師:「伝えたいことが分かりやすく伝わるような資料を作りましょう。」
② 資料の特徴を確かめる。
- 「実物や写真」は、形や様子が分かりやすい。
- 「棒グラフ」は、数量を比べやすい。
- 「折れ線グラフ」は、数量の変化が見やすい。
- 「表」は、具体的な数字が読み取りやすい。
教師:「放課後をどこで過ごすかのアンケート結果は、どんな形にするといいと思いますか。」
児童:「それぞれの人数を比べたいと思うので、棒グラフにするといいと思います。」

③ グーグルスプレッドシートで資料を作る。
教師:「伝えたいことが分かりやすく伝わるには、どんな資料を作るといいでしょうか。実際に、一緒に資料を作りながら考えてみましょう。」
1. グーグルフォームの「回答」を開き、「スプレッドシートで表示」を選択する

2. スプレッドシートの「挿入」にある「グラフ」を選択する

3. 「グラフエディタ」の「グラフの種類」より、好ましいグラフを選択する

※作成したグラフは、スクリーンショットで画像として保存しておくと、発表会で使いやすい。
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、発表会にむけて練習をしましょう。」
第3次(7時)発表会の練習をする
① 学習の見通しをもつ。
教師:「発表会にむけて練習をしましょう。」
② 教科書p122からの発表の例を参考に、何に気をつけて発表したらよいかを考える。
- 大事なことや特に伝えたいことは、強く、ゆっくり言う
- 資料を見る時間を取ったり、見てほしい部分を指し示したりする
- 調べて分かったことを、分けて話す
など
③ 発表の練習をする。
教師:「練習の様子を録画して、見返してみましょう。」
④ 次回の学習の見通しをもつ。
教師:「次回は、発表会を開きましょう。」
第4次(8時)発表を聞き、質問やよかったところを伝える
① 学習の見通しをもつ。
教師:「みんなの発表を聞いて、質問をしたり、発表のよかったところを伝えたりしましょう。」
② 順に発表を聞き、質問やよかったところを発表する。
③ 単元の振り返りをする。
教師:「みんなの前での話し方で大切なことは、何だと思いますか。」
児童:「考えたことや伝えたいことをはっきりさせることだと思います。」
教師:「大事なことがはっきり伝わるように、どのように工夫しましたか。」
児童:「みんなが聞き取りやすい声の大きさで話すように工夫しました。」
児童:「話す速さが早くなりすぎないように気をつけました。」
教師:「これから調べたことを話すときは、どのようなことに気をつけたいですか。」
児童:「調べて分かったことを整理して、伝えたいことをはっきりさせて発表したいと思いました。」
授業をふりかえって
本授業では、グーグルフォームでアンケートを作成し、そのデータを基に、スプレッドシートで資料の作成を行っている。これらのツールを初めて利用する児童が困難に直面しないよう、授業内容を以下のように工夫した。まず、アンケート作成の活動では、事前に質問内容を考えさせた後(2時間目)、実際にグーグルフォームに入力する時間(3時間目)を設けることで、児童の活動量が多くなりすぎないようにした。次に、グーグルフォームとスプレッドシートを利用する際には、作業を一つひとつ全体で確認しながら進められるようにした。
参考・引用図書
光村図書『こくご 四下』
参考・引用URL
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/5717/1031/3365/06s_k_nenkei4_03.pdf(光村図書HP内)
執筆者
MUKOせんせい
元小学校教諭としての経験を活かし、中学・高校でも講師として教壇に立つこと多数。現在は、子育てに奮闘しながら、現場で働く先生方をサポートするウェブライターとして活動中。
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