本単元で身に付けたい資質・能力
- 本単元では、題材「おむすびころりん」を読む活動を通し、場面の様子や登場人物の行動など、内容の大体を捉える力を身に付ける。また、題材内の擬音語に注目し、読み方を工夫する活動を通して、語のまとまりや言葉の響きなどに気をつけて音読する力を養う。
単元の評価基準
知識・技能
- 語のまとまりや言葉の響きなどに気をつけて音読している。
- 昔話の読み聞かせを聞くなどして、我が国の伝統的な言語文化に親しんでいる。
思考・判断・表現
- 「読むこと」において、場面の様子や登場人物の行動など、内容の大体を捉えている。
主体的に学習に取り組む態度
- 昔話の内容を進んで捉え、これまでの学習をいかして音読しようとしている。
単元の展開【全3次(5時間)】
第1次(1時)読んだ感想を伝え合う
①教師の範読(またはCDなど)を聞く。
②初見の感想を発表する。
(予想される児童の発言)
- おおきなかぶの「うんとこしょ、どっこいしょ」と同じように、繰り返している言葉がある
- 「すっとんとん」って初めて聞いた。なんの音だろう?
- 初めは、おじいさんは困っていたけど、最後はハッピーエンドでよかった
引用:EDUPEDIA「『おむすびころりん』国語音読の授業アイデア」初見の感想一部(最終閲覧:2025年7月14日) https://edupedia.jp/archives/26123
③登場人物を確かめる。
教師:「『おむすびころりん』には、どんな人や動物が出てきたかな。」
(登場人物)
- おじいさん
- ねずみ
- おばあさん
④教師を模倣しながら、全員で音読する。
教師:「先生の後に続いて、みんなで読みましょう。」
⑤本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- お話を聞いて、感想をもてた
- 登場人物を確かめられた
- 「おむすびころりん」の音読ができた
教師:「次回は、詳しく『おむすびころりん』を読んでいきましょう。」
第1次(2時)お話の大体の内容を捉える
①全員で音読する。
教師:「おじいさんにどんなことが起こったか確かめながら読めると、さらにいいですね。」
②絵を見て、場面順に並べる。
教師:「ペアになって、絵をお話の流れと同じになるように並べましょう。」







③絵の並びを全体で確認する。
④絵を見ながら、おじいさんがしたことを確かめる。
教師:「おむすびはどうして転がったのかな。」
(予想される児童の発言)
- つつみをひろげたときに、落ちちゃったから
- おむすびが「かけだした」ということは、山の上で食べようとしたんだと思う
教師:「穴の中におむすびが落ちちゃったときと、二つ目のおむすびを転がしたときのおじいさんの気持ちは同じかな。」
(予想される児童の発言)
- 落ちちゃったときは、悲しい気持ち
- 二つ目のときは、おもしろがっている
教師:「おじいさんは、なぜ『こづち』をもらえたのかな。」
(予想される児童の発言)
- ねずみにおむすびをあげたから
- 親切だから
- 友だちになったから
⑤本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- 「おむすびころりん」を音読できた
- 絵を場面順に並べられた
- おじいさんの気持ちやしたことを確かめられた
教師:「次回は、音に注目しながらお話を楽しみましょう。」
第2次(3時)擬音語に注目して音読する
①全員で音読する。
教師:「『おむすびころりん』には、いろいろな音が出てきますね。音読をしながら、どんな音がどこで出てくるか確かめながら読みましょう。」
②お話に出てきた音を見つけて発表する。
(お話に出てくる擬音語)
ざっくざく
ころころ
ころりん
すっとんとん
ころん
ざあらざら
ざっくざく
③音の効果について考える。
教師:「『ころりん』はどんなふうに転がっている感じかな。」
(予想される児童の発言)
- 軽く
- 走るよりも早いスピード
教師:「『すっとんとん』ってどんな音かな。」
(予想される児童の発言)
- 中に入っちゃった音
- 中でぶつかりながら落ちていく音
④音の読み方を工夫して音読する。
教師:「いろいろな音が出てきましたね。自分なら、どんなふうに読みますか。ポイントに気をつけながら、工夫して読んでみましょう。」
(工夫のポイント)
- 声の大きさ
- 声の高さ
- 読む速さ
- リズム
(予想される児童の発言)
- 「おむすびころりんすっとんとん。」をリズムにのって読む
- 「まてまてまて」のところを少し速めに読む。おじいさんが焦っている感じにしたい
⑤本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- 「おむすびころりん」を音読できた
- お話に出てくる擬音語を見つけられた
- 擬音語の効果について考えられた
- 擬音語の読み方を工夫できた
教師:「次回は、音読の練習をしましょう。」
第2次(4時)工夫して音読する
① 学習の見通しをもつ。
教師:「音や登場人物の気持ちに合わせて、声の出し方や読み方を工夫して音読しましょう。」
②工夫のポイントを確かめる。
教師:「工夫のポイントは、『声の大きさ』『声の高さ』『読む速さ』『リズム』の4つです。例えば、『おむすびころりんすっとんとん。』はどんなことを工夫して読みますか。」
(予想される児童の発言)
- おじいさんがおもしろがっているところは楽しそうに読みたいから、明るい声で読む
- 穴の中から聞こえるときは、小さな声にしようかな
- 歌っているみたいにリズムよく読む
③班ごとに音読練習をする。
④本時の振り返りをする。
(本時の振り返り)
- 声の出し方や読み方を工夫して音読できた
教師:「次回は、音読発表会をしましょう。」
第3次(5時)音読発表をする
①学習の見通しをもつ。
教師:「友だちに音読を聞いてもらいましょう。聞く人は、友だちのよいところや質問を探しながら聞きましょう。」
②順に音読発表をし、各発表後に感想や質問を伝える。
(予想される児童の発言)
- どうしてその読み方にしたのですか
- おじいさんの楽しそうな様子がよくわかりました
- はじめとおわりの「おむすびころりんすっとんとん。」の読み方を変えていたところがよかったです
③単元の振り返りをする。
(単元の振り返り)
- おじいさんの気持ちや、したことを考えられた
- 工夫して音読し、発表できた
授業をふりかえって
本授業では、擬音語に注目させることを通して、物語の楽しさや臨場感に気づかせることを意識した。特に「ころりん」や「すっとんとん」などの言葉に目を向けさせ、それらがどのようにお話の場面や気持ちを表しているかを考えさせた。
また、擬音語の読み方に工夫を加える活動を取り入れたことで、児童らに言葉のまとまりや音の響きに注意して音読させるようにした。こうした活動を通して、単に読むだけでなく、「どう読めば何が伝わるか」を考えさせるきっかけを作ることができた。
参考・引用図書
光村図書『こくご 一上』
参考・引用URL
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/5917/1031/2528/06s_k_nenkei1_03.pdf(光村図書HP内)
執筆者
MUKOせんせい
元小学校教諭としての経験を活かし、中学・高校でも講師として教壇に立つこと多数。現在は、子育てに奮闘しながら、現場で働く先生方をサポートするウェブライターとして活動中。

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