本単元で身に付けたい資質・能力
本単元では、物語を読む活動を通し、場面の様子や登場人物の行動など、内容の大体を捉える力を身に付ける。また、セリフを付け加える学習を通し、登場人物の行動を具体的に想像する力を養う。
単元の評価基準
知識・技能
- 文の中における主語と述語との関係に気づいている。
- 語のまとまりや言葉の響きなどに気をつけて音読している。
思考・判断・表現
- 「読むこと」において、場面の様子や登場人物の行動など、内容の大体を捉えている。
- 「読むこと」において、場面の様子に着目して、登場人物の行動を具体的に想像している。
主体的に学習に取り組む態度
- 登場人物の行動を積極的に捉え、これまでの学習をいかして音読や劇遊びをしようとしている。
単元の展開【全3次(6時間)】
第1次(1時)物語に出会い、感想をもつ
① 教師の範読を聞く。
② 初見の感想を発表する。
(予想される児童の発言)
- どんどん人や動物が増えていくのが面白かった
- かぶが全然抜けないから驚いた
- 同じ言葉が何度も出てきたのが面白かった
③ 登場人物を確かめる。
教師:「『おおきなかぶ』には、どんな人や動物が出てきたかな。」
(登場人物)
・ おじいさん
・ おばあさん
・ まご
・ いぬ
・ ねこ
・ ねずみ
④ 教師を模倣しながら、全員で音読する。
教師:「先生の後に続いて、みんなで読みましょう。どこで誰が出てくるのかも確かめながら読めるといいですね。」
⑤ 本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- 「おおきなかぶ」を読んで、感想をもてた
- 登場人物を確かめられた
- 「おおきなかぶ」の音読ができた
教師:「次回は、もっと詳しく『おおきなかぶ』を読んでいきましょう。」
第1次(2時)登場人物やそのセリフを確かめる
① 前回の復習をする。
教師:「『おおきなかぶ』には、どんな人や動物が出てきたんだったかな。」
(登場人物)
・ おじいさん
・ おばあさん
・ まご
・ いぬ
・ ねこ
・ ねずみ
② 全員で音読をする。
教師:「どこで誰が出てくるのかを確かめながら読みましょう。」
③ 登場人物たちが登場した順を確かめる。
- おじいさん
- おばあさん
- まご
- いぬ
- ねこ
- ねずみ
④ 役に分かれて全員で音読をする。
教師:「列ごとで役に分かれてセリフを読みましょう。セリフ以外は、先生が読みます。」
教師:「自分の役のセリフの時は、立って読みましょう。」
⑤ 本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- 登場人物たちが登場した順がわかった
- 役に分かれて音読ができた
教師:「次回は、おじいさんの気持ちに注目して読んでみましょう。」
第2次(3時)おじいさんの気持ちを想像する
① 学習の見通しをもつ。
教師:「おじいさんの気持ちに注目しながら読みましょう。」
② おじいさんのセリフに注目する。
教師:「『あまいかぶになれ。おおきなかぶになれ。』」
児童:「先生、『あまいあまい』『おおきなおおきな』だよ。」
教師:「本当だ。どうして、おじいさんは同じ言葉を二回も言ったのかな。」
(予想される児童の発言)
- おまじないをかけている
- 「あまくておおきなかぶになりますように」とお願いしている
- 気持ちが強いから二回言っている
③ 第1場面と第2場面の間に、おじいさんが何をしていたか想像する。
教師:「おじいさんのセリフの後に、すぐにあまくておおきなかぶになったのかな。」
児童:「そんなすぐに成長しないよ。」
教師:「この間には、何も説明がないからわからないね。おじいさんは、この間何をしていたのかな。」
(予想される児童の発言)
- 水やり
- 雑草抜き
- おまじないをかけた
④ 第3場面のおじいさんの気持ちを想像する。
教師:「おじいさんは、毎日お世話をしていたんだね。あまくておおきなかぶに成長して、おじいさんはどんな気持ちになったのかな。」
(予想される児童の発言)
- 喜んだ
- 嬉しい
- 早く食べたい
- なんで抜けないんだ! 早く食べたいのに!
- 抜けないから悲しい
⑤ おじいさんの気持ちの変化に気をつけながら、第3場面まで音読する。
⑥ 本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- おじいさんの気持ちを想像できた
- おじいさんの気持ちに気をつけながら音読できた
教師:「次回は、セリフを考えて付け加えましょう。」
第2次(4時)セリフを付け加える
① 学習の見通しをもつ。
教師:「前回、おじいさんの気持ちを想像しましたね。その気持ちがわかりやすくなるように、セリフを考えて付け加えてみましょう。」
② 第3場面にセリフを付け加える。

(予想される児童の発言)
- やったー!
- おいしそうだ。早く食べたいな。
- そうだ! みんなに見せて、自慢しよう。

(予想される児童の発言)
- なんでだよ!
- ひとりじゃ抜けないな。どうしよう。
- そうだ! おばあさんを呼んでこよう!
③ 班に分かれて、各場面にセリフを付け加える。
教師:「班に分かれて、セリフを考えましょう。登場人物たちの気持ちが分かるようなセリフだと、とてもいいですね。」
(第4場面の例)

④ 考えたセリフを発表する。
⑤ 本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- おじいさんの気持ちを想像してセリフを考えられた
- 班の人と一緒にセリフを考えられた
教師:「みんなで『おおきなかぶ』の音読劇をしたいと思います。次回は、その練習をしましょう。」
第3次(5時)音読劇の練習をする
① 学習の見通しをもつ。
教師:「『おおきなかぶ』の音読劇をするために、練習をしましょう。」
② 班で役割を決める。
③ 音読劇の練習をする。
④ 上手に練習ができている班の発表を聞く。
教師:「〇班ありがとう。〇班の音読を聞いて、よかったと思うところはありましたか。」
(予想される児童の発言)
- 音読しながら動きをつけていたところ
- 「うんとこしょ、どっこいしょ。」のところが、本当にかぶを引っ張っているみたいに読めていた
- 聞きやすい声の大きさだった
- はきはき読めていた
⑤ 音読劇の練習をする。
教師:「〇班の音読を聞いて、よかったと思ったところはどんどん真似してみよう。」
⑥ 本時の振り返りをし、次回の学習の見通しをもつ。
(本時の振り返り)
- 音読劇の練習ができた
- 他の班の音読を聞いて、よいところを見つけられた
- 友だちのよいところを、自分に活かせた
教師:「次回は、音読劇を発表しましょう。」
第3次(6時)音読劇をする
① 学習の見通しをもつ。
教師:「音読劇を発表しましょう。聞くときは、友だちのよいところを見つけながら聞きましょう。」
② 音読劇の発表をする。
③ 友だちの発表でよかったところや自分たちが工夫したことを発表する。
④ 単元の振り返りをする。
(単元の振り返り)
- 登場人物の気持ちを想像して、セリフを考えられた
- 登場人物の動きや気持ちを想像して、音読劇の発表ができた
授業をふりかえって
本授業では、文章として明記されていない「間(ま)」に注目させることをねらいとして、登場人物のセリフを考える活動を設定した。この「間」に着目することで、児童が登場人物の動きや気持ちを具体的に想像しやすくなると考えた。特に、おじいさんが種をまく場面から始まる心情の変化(期待→喜び→焦り)に注目させることで、物語の展開と登場人物の気持ちの関係を深く読み取らせたい。
参考・引用図書
光村図書『こくご 一上』
参考・引用URL
https://assets.mitsumura-tosho.co.jp/5917/1031/2528/06s_k_nenkei1_03.pdf(光村図書HP内)
執筆者
MUKOせんせい
元小学校教諭としての経験を活かし、中学・高校でも講師として教壇に立つこと多数。現在は、子育てに奮闘しながら、現場で働く先生方をサポートするウェブライターとして活動中。

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