漢字前倒し学習実践

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作成者:ryosuke sakai (Edupedia編集部)さん

1 漢字前倒し実践【基本編】

1  はじめに

 平成27年6月13日、鎌倉で開催された徹底反復研究会を取材しました。徹底反復学習に取り組んでおられる関根達先生の漢字前倒し学習について紹介します。

2  実践内容

徹底反復学習のポイント

•1. 適切なスピード
 •2. 適切なタイミング
 •3. 徹底反復
 の三点です。

なぜ漢字指導なのか?

・がんばった結果がどの子にも必ず出る
 ・短期間で結果が出やすい
 ・指導要領に則っている。特別な指導ではない
 ・複雑ではないので、パターンにはまりやすい
 ・児童が充実感や達成感を感じやすい
  ⇒「やればできる」「努力は嘘をつかない」ということを児童に実感してもらえます。

関根先生流漢字前倒し学習

一般的な漢字前倒し学習は、4月の間に国語科の授業のほぼすべてを漢字学習の時間に充てて行います。ただし、年度初めに行事が多いことや学年の統一感を損なってしまうこともあり、現実的には少々難しい状況です。関根先生の漢字前倒し学習では、生徒の得手不得手に合わせた指導、無理のない範囲での漢字前倒しを行います。
初めの2か月は45分の授業の中で、読みや部首や筆順、使い方を確認し、漢字の学び方も指導しながら3つ程の漢字を教えていきます。この2か月で1学期分の漢字テキストを終わらせます。そして6月は4,5月で学んだ漢字の徹底反復、定着を図ります。次に、7月の初めから終わりにかけては、簡単な文字はスルーしつつ15分で約17字を教えて、1か月で2学期分の漢字テキストを終わらせます。
こうして早く1,2学期の漢字テキストを終わらせ、夏休みの宿題として反復練習させることで定着を図ります。最後に、8月から始めて8月中に3学期の漢字テキストを終わらせます。3学期のテキストについては、難しい字のみ指導を行い、基本的には生徒の自主学習に任せます。3学期分のテキストは冬休みの宿題として反復させ、定着を図ります。
このようにして、8月までに1年間の漢字前倒し学習をすることで、1年間に何度も繰り返し練習できる時間が生まれます。

指導にあたって重要なこと

『漢字だけを教えるのでなく、漢字の学び方を教えること』、『無意味に漢字を反復させるのではなく、自分の苦手な字を中心に反復させ効率的な学習をさせるとともに、自主学習の習慣をつけさせること』、『定期的に児童に到達目標を設定させ、自主性を高め、児童の学習意欲を高めること(自分で設定した目標だからこそ児童たちも頑張ります。)』が重要です。

先生方に知ってもらいたいこと

漢字には「へん」や「つくり」などがあります。児童たちに「へん」や「つくり」を覚えて組み合わせるという手段を知っておいてもらうことで、覚えることにかかる労力は格段に小さくなります。また、部首を意識することによって漢字から意味を連想することもできるようになります。更に、漢字の成り立ちを教えることで、漢字が児童たちの頭の中でエピソード記憶として残りやすくなるため、象形文字などの成り立ちを楽しみながら教えることも有効です。

参考図書:『下村式 唱えておぼえる漢字の本』著:下村昇 偕成社

宿題で鍛えるための、漢字練習ルール

•毎日1ページ以上書かせること。
これは、漢字を書くことを含めた勉強のリズム作りにつながります。
•自分の能力にあった練習をする。
苦手な漢字の練習を主に行うことで効率的な漢字の反復練習を行えます。漢字の練習ではなくあくまで漢字の習得が目的であることを意識します。
•熟語で練習をして、できれば意味も調べる。
漢字を覚えても使えなければ意味がないので、練習時から熟語を定着させます。
•「とめ、はね、はらい」を意識して、濃い筆圧で書かせる。
丁寧な練習をすることで綺麗な字を書けるようになりやすいですし、濃い字で書く方が記憶に残りやすいのです。

指導にあたっての工夫

漢字小テストをコピーして、取り放題形式にして置いておき、空き時間にやってくるよう指導します。この小テストを満点合格するまで何度も繰り返させて、「反復」させると同時に、合格する達成感を児童たちに知ってもらい、学習意欲を高めます。ここで重要なことは、日付を必ず書くよう指導し、児童に自分の苦手な字を再認識してもらったり、自分の成長を実感してもらったりすることです。

良い循環を作るための意識改革

漢字の宿題をやってこない児童は必ずでてきますが、そうなってしまうと「頑張らないからできない。できないから頑張れない、あるいは頑張れない。」という負のループが出来上がってしまいます。それを「やるからできる。できるからやる。」という良い循環にしていけるように意識改革をしていくことも先生の重要な役目です。
必ず宿題をやって来ない子はいるはずです。そのような子に対して、多くの先生方も飴と鞭を使っていろいろとご尽力されていると思います。その中で、家へ連絡するというのは効果的です。保護者の方には何も言わず本人に取り次いでもらうと、保護者の方が「どうしたの?」と本人に聞く声が聞こえてきます。電話越しに本人に「宿題やったか?…今日頑張ってな。」と声をかけるだけで子どもは次の日に宿題をやってきます。
このような様々な手立てを使って、プライドを育て、宿題はやってきて当たり前という感覚を持ってもらえるようすることが大切です。まずは「できないからやらない」というところを断ち切れるように、授業の理解度に合わせたフォローアップ等を行ったり、授業を分かりやすい物にしたりしていきましょう。

3  実践者プロフィール

関根 達先生
神奈川県横浜市立東小学校 教諭
尾道市立土堂小学校にて教育実習後、横浜市立都岡小学校で6年間教鞭をとり、その後、現在の横浜市立東小学校に移る。現在4年目で今年度より教務主任を務める。
(2015年9月2日時点)

4  編集後記

今回、前々から気になっていた漢字前倒し学習を取材させて頂いて、漢字前倒しが洗練されてきて、具体的な方法の発見や優良な実践の蓄積がなされてきていることが分かり、感動しました。脳科学的にも記憶には反復がとても有効なので、今後さらに洗練されていって、児童の漢字定着効率がますます上がっていって欲しいと思います。
 僕が今回のご講演の中で印象的だと思ったのは、先生の熱意でした。ご講演中の内容でも熱意を強く感じましたし、ご講演の最後の方でも、「漢字指導は教師の執念」、「教師の頑張りは絶対に子供にも伝わる」等の熱い言葉を受けて、自分が児童であった時に先生方がどれだけ頑張って自分たちに指導して下さっていたのかを思い知りました。このような熱意を持った先生方の努力を広く伝えていけるように、これからも全身全霊をかけて記事を書いていこうと思います。

(編集・文責:EDUPEDIA編集部 酒井諒介)

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